2008年05月15日 更新

ニャニャンと世界進出♪和歌山のたま駅長、仏映画デビュー

お客さん、いらっしゃ〜い。世界の猫好きを貴志駅に“招く”猫駅長のたま。映画デビューでさらに人気が出そう=和歌山・紀の川市

お客さん、いらっしゃ〜い。世界の猫好きを貴志駅に“招く”猫駅長のたま。映画デビューでさらに人気が出そう=和歌山・紀の川市

 和歌山電鐵貴志川線貴志駅の駅長、三毛猫のたま(メス、9歳)がフランスのドキュメンタリー映画に出演することが14日、分かった。たま駅長は、同電鐵が正式に社員として雇い入れ、昨年1月に駅長に就任したスーパー猫。すでに写真集やグッズが発売され人気だが、同作出演をきっかけに、世界の愛猫家の注目を集めそうだ。

 たま駅長が出演するのは、フランスの女性監督、ミリアム・トネロットさんがメガホンをとる「人間の鏡としての猫」。10匹の猫と暮らし、自身が猫好きのトネロット監督が、インターネットの動画サイトで、電車利用者のアイドルになっているたま駅長を見て興味を覚え、昨年、出演を依頼した。

 といっても、たま駅長にフランス語はわからないので、監督は通訳を介し、和歌山電鐵に企画書を送付。同電鐵は、すでに同線の“顔”であるたま駅長のさらなる集客力を願い、快諾した。

 同作には、たま駅長以外にも、人間の臨終を知らせる米国の「オスカー」、首にカメラをぶら下げて散歩するドイツの「リー」が出演。東京にある猫の高級マッサージ店や一緒に泊まる猫を選べる米国のホテルなど、猫にまつわる場所も取り上げるという。

 貴志駅売店の飼い猫だったたまは、平成18年4月に設立された和歌山電鐵の小嶋光信社長が、翌年1月に辞令を交付して同駅の駅長に任命し、同居していた母親のミーコ、ちびの2匹も助役に就任。全国でも例がない猫駅長は、愛猫家のみならず話題を呼び、一度は廃線の危機にあった貴志川線を活気づけた。

 世界デビューが決まり、グルーミングに余念がないと思いきや、普段から体のお手入れに熱心なたま駅長は、ポーカーフェースで日常業務=客招き、をこなしているという。撮影は16、17日の2日間を予定。「わたくしごときがお役に立てて何より。これをきっかけにたくさんの人が貴志川線に乗って、会いに来てくれると、わたしも元気が出るニャー!」と喜んでいる(注・たま駅長の表情を読み取った、同電鐵広報担当者談)。

★勤務9時〜5時

 貴志川線(14.3キロ)は南海電鉄が運営していたが、赤字を理由に路線廃止を表明。地元住民の要望に応え、運輸観光大手の両備グループ(本社・岡山市)が経営を引き継ぎ、岡山電気軌道の完全子会社として、18年4月に和歌山電鐵が設立された。たまの駅長就任は、“招き猫”になって欲しいとの願いが込められている。小嶋社長によると、駅長就任の依頼に、たまは「やるやる!と目で訴えた」という。たま駅長がかぶっている制帽は、社員の制帽の縮小サイズ。月〜土曜日の午前9時から午後5時頃まで勤務し、乗降客を迎えている。

★ソフトバンクCM出演中、犬のカイ君がライバル!

 テレビ番組やCMに出演し人気者になった動物で、現在もっとも有名なのは、ソフトバンクモバイルのCMで白戸家の父親を演じている北海道犬のカイくん。また、テレビ東京系「ポチたま」で旅するラブラドール犬のまさお君が人気だったが病死し、息子のだいすけ君が後を継いで出演中。直立するレッサーパンダの風太くん(千葉市動物公園)やオヤジのようなしぐさが笑いを誘ったカンガルーのハッチ(長野・須坂市動物園)などはニュース報道がきっかけで人気が出た。