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「土産ない」一転「10キロ無料で」 鯨肉疑惑で船会社

2008年05月16日00時06分

 日本の調査捕鯨で捕られた鯨肉を乗組員が無断で持ち出したとされる疑惑で、調査船を運航する共同船舶(東京)は15日、「土産」として全乗組員に各10キロを無料で渡す慣行があることを明らかにした。14日までの取材では、無断持ち出しの可能性を否定した上で「土産もない」としていたのを一変させたものの、調査主体の日本鯨類研究所(鯨研)などの説明とはなお食い違いをみせている。

 共同船舶によると、土産はベーコンの原料となるウネスという部位8キロと赤身2キロほど。調査団の乗組員は約250人で、計2.5トンになる計算。さらに「1人あたり約3キロは有償で買える。買わない人の分を別の人が買うこともできる」としている。

 鶴本多次郎常務は「土産は商業捕鯨のころからの慣習。土産分にあたる代金は鯨研に支払っており、問題はない。量も妥当と考えている」と話した。

 だが、土産を渡すのは下船前。本来なら調査船が帰って約2カ月後に水産庁が販売価格を認めて市場に出回るが、それより前に鯨肉が動くことになる。鯨研も、土産分の鯨肉について、共同船舶に販売しているとは説明しておらず、鯨研が1人数キロ程度を渡しているとしてきた。

 調査船で製造部門の責任者を務めていた60代の元乗組員も「土産はもらっていたが、一切れ750グラムの赤身が2〜3切れだった」と語る。

 農林水産省の白須敏朗事務次官は15日の記者会見で「(1人当たり)10キロなら特段の問題はない」と土産の慣行を容認した上で、「きちんとした費用負担なり、明確な形の処理がされていないのであれば、きちっと対応しなければならない」と述べ、調査を徹底していく意向を示した。

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