子育て

文字サイズ変更
ブックマーク
Yahoo!ブックマークに登録
はてなブックマークに登録
Buzzurlブックマークに登録
livedoor Clipに登録
この記事を印刷
印刷

おかあさん:授かりたい タレント・向井亜紀さん/4止

代理出産でもうけた双子の出生届受理の申し立てを最高裁決定で退けられ、会見する向井さん(左)と夫の高田延彦さん夫妻=2007年4月11日撮影
代理出産でもうけた双子の出生届受理の申し立てを最高裁決定で退けられ、会見する向井さん(左)と夫の高田延彦さん夫妻=2007年4月11日撮影

 ◇この人生で良かった

 代理出産で生まれた4歳の万里(ばんり)と結太(ゆうた)。向井亜紀(43)は最近、「僕たちはママのおなかから出てきたの」と聞かれた。「シンディのおなかだよ。ママのおなかは病気で膨らまなくなっちゃって、小さな赤ちゃんだったとき、シンディのおなかにお引っ越しさせてもらったの」と話した。

 03年12月、向井夫妻は親子関係を確定させるため、申請済みだった米国ネバダ州地裁の命令に従い、州に出生届を提出する。そして12月31日、向井を母、高田延彦(46)を父と記した出生証明書の発行を受けた。

 向井は翌月、自分を母とする出生届を東京都品川区に提出。しかし、受理されなかった。「分娩(ぶんべん)者を母とする」。1962年の最高裁判決が、向井夫婦の願いを阻んだのだった。

 向井は05年、出生届を受理するよう審判を申し立てた。2審の東京高裁は受理を命じたが、最高裁は07年、申し立てを退け、出生届の不受理が確定した。万里、結太は米国籍パスポートを持ち、「保護者同居人が日本人」との在留資格で向井、高田と暮らす。

 向井は言う。「私は子どもを産んでいない。けれど、2人の幸せを願って、ほめてはしかり、抱きしめ、そして毎日お弁当を作っている。日本では親子と認められなかったけれど、アメリカ人である子どもたちにとっては、私が正式な母親。胸を張らなくちゃダメですよね」

 今年4月、国内の幅広い科学者からなる日本学術会議は、「代理出産原則禁止」とする報告書を国に提出した。一方、5月に発足した超党派勉強会(会長、野田聖子衆院議員)は、今夏をめどに代理出産を認める議員立法の素案をまとめる方針だ。

 「『人生をやり直したい』と立ちすくむこともある。でも高田に『やり直したら子どもたちはここにはいないよ』と励まされます。私の人生は、これでよかったんだと思う」。向井の表情が少し緩んだ。(敬称略)【福沢光一】=この項、おわり(次は、古代史学者の直木孝次郎さんが登場します)

==============

 連載への感想や意見をお寄せください。〒530-8251(住所不要)毎日新聞「おかあさん」係(ファクス06・6346・8204)。メールはokaasan@mbx.mainichi.co.jp

毎日新聞 2008年5月16日 大阪朝刊

子育て アーカイブ一覧

 

おすすめ情報