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NIKKEI NET

社説1 国内消費が鈍り、海外依存強める米企業(5/12)

 米国の企業業績の低迷が続く。サブプライム問題の打撃が国内経済、特に個人消費に響いているためだ。多くの米企業は新興国を収益源として逆風を乗り切ろうとしている。

 米主要企業の約9割が1―3月期決算の発表を終えた。未発表企業の予測も加味すれば、純利益は前年同期を17%下回る。ハイテクバブル崩壊後の2001年から02年にかけての時期以来となる3四半期連続減益は確実だ。最も大きく足を引っ張ったのは巨額の損失を続けた金融機関だが、それ以上に注目すべきは消費関連企業の不振である。

 コーヒーチェーン最大手スターバックスの3割近い減益は象徴的だ。「住宅価格下落とエネルギー価格上昇で、経営環境は最悪」(同社の声明)。保有する住宅の価値が下がって購買力が鈍っているところにガソリン高が襲い、他店より割高な同社の飲料を敬遠するまで消費者心理が冷え込んだ構図が浮かび上がる。

 ダウ工業株30種平均は3月の安値からおよそ1割上昇した。株価の回復を背景に「サブプライム問題は最悪期を終えた」との声も市場関係者から出ているが、景気の先行きに楽観的になるのはまだ早い。実体経済のさまざまな面に影響が広がるのは、むしろこれからである。

 経営破綻の増加が大きな懸念材料だ。利子や元本の支払い不履行に陥った米企業の社債の額は、今年すでに昨年1年分を上回っている。カネ余りの時期に信用度が低い企業にも資金を注いできた金融機関が、自らの財務体質が弱まり、リスクにも過敏になった結果、投融資を手控えているからだ。信用度の低い企業ほど資金繰りは厳しく、経営悪化は雇用や消費をさらに圧迫する。

 一方で新興国に活路を見いだそうとする米企業の動きも目立つようになった。ゼネラル・エレクトリック(GE)は金融事業の不振が響いて減益になったが、新興国での売り上げは38%も伸びて収益全体を下支えした。GEの売上高に占める海外市場の比率は半分を超えている。米主要企業全体でも01年に約3割だった海外売上比率が06年には4割強に上昇しており、ドル安もあって今後さらに高まる見通しだ。

 日本企業も内需の停滞や米景気の減速を受けて、収益源を新興国に移しつつある。新興国市場をめぐる競争は一段と激しくなるが、日本企業は必ずしも優勢ではない。米国内で販売が低迷するゼネラル・モーターズ(GM)は新興国ではトヨタ自動車を一歩リードしている。日本企業も新興国戦略を再点検する時だ。

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