ホッキョクグマ:米、絶滅危惧種に指定 北極海開発は容認

 【ワシントン草野和彦】ケンプソーン米内務長官は14日、ホッキョクグマを絶滅危惧(きぐ)種に指定すると発表した。生息地である北極海の氷冠が減少していることが理由。しかし、北極海周辺の天然資源開発は容認する意向で、保護強化を求めてきた環境保護団体からは「名目だけの指定になりかねない」との批判が出ている。

 今回の指定は、北極海の氷(9月時点)の減少を予測した10モデルを根拠に行われた。7モデルで、今世紀末までに97%が消滅するとの結果が出た。

 指定により、推定2万~2万5000頭が生息するホッキョクグマの狩猟や、生息地を破壊する行為は禁止される。

 一方、北極海での天然資源開発について内務省は「現行法に基づき環境的に健全な方法で行うことが可能」と結論付け、容認する姿勢を明確に打ち出した。ブッシュ大統領の方針に沿ったものだ。

 ホッキョクグマの絶滅危惧種指定は、07年に内務省魚類野生生物局が提案したが、同長官は詳細な調査を指示して決断を延期した。しかし、環境保護団体の申し立てを受け、カリフォルニア州の連邦地裁は先月、内務省に対し今月15日までに指定の可否を決定するよう命じていた。

 ニューヨーク・タイムズ紙によると、今回の指定を受け、内務省を相手取った訴訟を検討している環境保護団体もある。

毎日新聞 2008年5月15日 22時22分(最終更新 5月15日 22時24分)

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