温室効果ガスの国内排出量取引制度に関する環境省の検討会(大塚直座長)は15日、京都議定書の削減目標達成のため、12年度までの導入を念頭に制度の骨格案をまとめた。政府初の試案で、産業界に配慮した案など4案を併記した。21日の政府の地球温暖化問題に関する懇談会の分科会に報告し、導入の議論を加速させる狙い。
検討会は(1)12年度まで(2)13~20年度(3)21~50年度--の3期に分けて制度を具体化するよう提案した。
焦点となる排出枠の割り当て方法では、4案を示した。一定の生産活動当たりの排出量(原単位)の業種別指標を基に配分し、生産増で排出枠の割り当ても増える日本独自案、化石燃料による排出分は大口消費者に割り当てる一方、電力使用による排出分は電力会社に割り当てる欧州連合類似案、化石燃料の輸入・販売業者にのみ割り当てる案、製造・運輸業者など化石燃料や電力の大口消費者に割り当てる案で、このうち日本独自案は13年度以降は他の案に替える「移行期案」の位置づけだが、産業界出身の委員から評価された。産業界全体の削減目標が達成できるよう、各企業から一定の排出枠を拠出させて「基金」を設け、調整弁にする。
また、超過に対し課徴金を課す罰則や、国際競争が厳しい業種で途上国からの輸入品に排出枠購入を義務付けるなどの「国境調整」策も求めた。大塚座長は「東京都が10年度に排出量取引を導入すれば追随する県も出る。国全体で早く導入する方が望ましい」と話した。【山田大輔】
毎日新聞 2008年5月15日 23時07分