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弁護士:「就職できへん」 司法改革で合格者倍増、事務所満杯2けた悲鳴--大阪

 「売り手市場」と言われる就職状況の中、弁護士を志す人たちは「就職氷河期」を迎えている。大阪では今秋に修習を終える61期生約300人のうち、弁護士事務所などへの就職が決まらない人が2けたに上りそうだ。過去はほぼ100%の就職率を誇っており、前代未聞の事態。司法制度改革による法曹人口増に受け皿が追いつかないためで、いきなり独立せざるを得ない「ソクドク(即独)弁護士」も登場し始めた。

 17回の挑戦で司法試験に合格し、昨秋、弁護士となった中井真雄さん(41)=大阪弁護士会=は裁判所近くの大阪市北区に事務所を構える。新人は弁護士事務所に就職して実績を積むのが通例だが、年齢の高さから約20カ所に打診しても決まらず、通称「ソクドク弁護士(ソク弁)」になった。知人の弁護士に仕事を回してもらい、修習時代の貯金を取り崩しながら生活する。

 大阪弁護士会に所属する同期(60期)約250人のうち、ソク弁は他に3人。政府が司法試験合格者を年々増やし、10年度には年3000人を目指すという司法改革の影響だ。

 改革が始まる前年の01年度は司法試験合格者が990人だったが、07年度は2099人と倍増。大阪弁護士会・就職支援特別委員会メンバーの中本和洋弁護士は「既存の事務所だけでは新人を受け入れきれなくなりつつある」と話す。

 収入面でも厳しくなる一方。日本弁護士連合会によると、新人弁護士(60期)のうち、年収が600万円未満と答えた割合は45%に上り、前年度の22%の2倍となった。

 大阪弁護士会は、司法試験合格者が多すぎるとの立場から、今夏までに司法改革の見直し案をまとめる方針。ある幹部は「経験不足から弁護士の質が低下し、依頼者に被害が出てからでは遅い」と心配する。

 中井さんは4月、母校・立命館大学で弁護士志望の学生に話す機会があった。「弁護士になってももうかるかはわからない。結局は何をやりたいかが大切だ」。自分への励ましでもあった。【北川仁士】

毎日新聞 2008年5月8日 大阪夕刊

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