BitTorrent:SSHでファイアウォール/ISPの帯域制御を回避

2007年10月19日

ISPによるヘビーユーザに対する追加課金に関する議論が日本でも巻き起こっているが、ヘビーユーザではない私個人としては、「帯域制御が緩和されるのであれば」ありかもなぁと思っている部分がある。もちろん、追加課金が始まってみたら、私自身もその範囲に入っていた、などということになると、相当痛い話にはなるのだけれども(BtoCは対象外っていってもどこまでをそう取ってくれるのかはわからないし。Jamendoでのダウンロードとかね)。とはいえ、そのような話はまだまだ先のことになるだろうし、とりあえずはこの帯域制御のためにBitTorrentが利用できないという人もいるだろう。そうした人向けにSSH(Secure SHell)を利用した帯域制御/ファイアウォール回避のための方法をご紹介するよというお話。

原典:TorrentFreak
原題:BitTorrent: Bypass any Firewall or Throttling ISP with SSH
著者:Ernesto
日付:October 14, 2007
URL:http://torrentfreak.com/bittorrent-over-ssh-071014/

複数のネットワークにおいて、BitTorrentを利用できないことがある。たとえば、職場や学校、ComCastでの接続、パブリックホットスポットなどを利用しているのであれば。しかし、この問題を解決するための、簡単な方法がある。セキュアな接続(SSH)を利用することで、大半のファイアウォール、帯域制御アプリケーションを回避することができる。

ここに、そのセットアップのための比較的シンプルな3ステップのガイドを提示しよう。

ただ、この方法はSSHプロバイダーのサーバを不自由なものとしてしまうという理由で、SSHを介したBitTorrentという方法を、永続的な解決法としてはお勧めしない。もし、長期的な解決を模索しているのであれば、RelakksなどのVPNサービスをチェックしてみるべきだろう。

1. SSHアカウントの取得

この作業のためには、まずSSHアカウントが必要となる。このリストの中のフリーShellプロバイダーを試すことができるだろう。ちなみに私は、わずか1ドルの寄付を必要とするsilenceisdefeatを利用している。しかし、アカウントはすぐにアクティベートされ、非常に快適に利用できている。

2. Puttyの ダウンロード、インストール、設定

Puttyをダウンロード、任意の場所に保存し、実行しよう。セッション画面では、ホスト名(私の場合は、ssh,silenceisdefeat.org)、ポート番号(22)を入力し、接続タイプボックス(SSH)にチェックを入れる。

次にSSH > Tunnelsの設定を開き、ソースポートの入力とダイナミック(Dynamic)にチェック。私はポート23456を利用しているが、利用可能であればどのようなポート番号を選んでもかまわない。

 

ここまで終えたら、セッションを保存するといいだろう。次にPuttyを起動したときに、また同じ情報を入力する必要がなくなる。準備が整ったら、セッション画面の「Open」ボタンをクリック。コマンドラインインターフェースが立ち上がる。そこにShellプロバイダーから受け取ったユーザネームとパスワードを入力。

3. BitTorrentクライアントの設定

最後のステップは自分のBitTorrentクライアントの設定である。ここではuTorrentとAsureusを扱うが、その他のクライアントでも似たような設定となる。

uTorrent:Options>Preferences>Conectionと進み、Proxyの欄にポート番号(私の場合は23456)、socksのタイプを4または5、localhostを入力。

Azureus:Tools>Options>Conection>Proxy Optionsと進み、「トラッカーとの通信にプロキシを利用」と「SOCKSプロキシを使用」にチェック。次にポートの欄にポート番号を(私の場合は23456)、ホスト名の欄にlocalhostを入力。

ここまで終えたら、BitTorrentクライアントを再起動すれば、準備は完了である。SSHを介したBitTorrentは通常の接続よりも幾分低速である。しかし、BitTorrent接続が遮断、抑制されているときには、それは優れた解決策となる。

Mac OS Xユーザは、こちらの素晴らしいチュートリアルで詳細を参照して欲しい。ここではMacでAzureusを用いた場合の方法について説明されている。

まぁ、このような方法では、基本的には速度は大幅に低下するので、ヘビーユーザの方にはお勧めできないかも。BitTorrentをたまに使う程度、もしくはJamendoなどからダウンロードをしたいのだけれども、制限がきつすぎて50MB程度のファイルすら落とすのが大変だ、というユーザにはあまり向いていないだろう。そのようなユーザの方には、このような利用よりは別のISPを探すことをお勧めしたい。

個人的には、現在のような一律の帯域制御はあんまり好ましくないなぁと思っている。もちろん、一部のヘビーユーザが帯域を占有しているという問題があるというのは理解しているのだけれども、WinnyにしてもBitTorrentにしてもWinMXにしても、一部のヘビーユーザが帯域を占有しているのだ、と主張する割には、帯域「規制」を受けているのは、ユーザ全体だったりする。

もし、一定の転送量を越えた時点で追加課金を行うというのであれば、個人的にはそれよりも、一定の転送量を上回った場合には、転送速度を低下させる、もしくはそこに至るまでにも段階的に低下させていくという方がまだいいような気がする(そのような速度低下を回避するために追加課金する、という方がよいのかなぁと)。それが可能であれば、そこそこ利用したいというユーザであっても快適な利用ができるし、ISPとしても多くのユーザの理解を得つつ帯域制御が行えるではないかなぁと思う。

それはそうと、SSHのお話。まぁ、このような利用をしたい方ならお分かりかと思うけれど、VPNにせよ、プロキシにせよ、SSHにせよ、接続先が常に安全であるという保証はないので、選択の際はご注意を。で、更に言えば、フリーShellを提供してくれているのは、大抵の場合個人だったりするので、あまりに過剰な利用を続ければ、すぐにBANされたりする。ということで、そちらもご注意をば。まぁ、あらかじめメールで利用目的と、どの程度の利用かはあらかじめ伝えておいたほうがいいかも。


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