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【さらば革命的世代】(3)秋田明大「まだ何もしていない」 (1/4ページ)
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■カリスマ
「全共闘のシンボル」といわれた男は、瀬戸内海の小島で自動車修理工場を営んでいた。日大全共闘議長だった秋田明大(あけひろ)さん(61)。数年前に20歳年下の中国人妻と再婚し、現在は4歳の息子と3人暮らし。過疎化が進む島で、経営状態は決して良くない。油まみれの作業服にジャンパーを羽織り、盛んにタバコに火をつけた。
「運動せんかったら、と考えることもありますよ。船乗りになっとったらとか、若いうちに工場を始めてりゃあ、もっともうけられたとか。まあ似たりよったりの人生とも思うけど…」
40年前の昭和43年。海外ではソ連がチェコに侵攻し、国内では3億円事件が起きた。終戦から23年、戦後生まれの学生が増えていた。その年の5月、日大では20億円を超える大学の使途不明金問題を機に学生の不満が爆発。政治活動が禁止されていた日大キャンパスで、秋田さんらは数百人の学生とともにデモを強行した。区間はわずか200メートル。それでも、開学以来初めて行われた学内デモの意味は大きかった。
「ビラ配りもできない日大で学生運動を始めた男」「リーダーの名は日大なのに『メイダイ』」。その名前はカリスマ性を持って瞬く間に全国の同世代の学生たちに広がった。同年9月には日大当局との大衆団交を指揮し、古田重二良会頭ら理事全員が退陣を表明。全共闘運動も頂点を迎えたが、秋田さんら幹部は翌年3月、公務執行妨害などの容疑で逮捕される。「伝説の200メートルデモ」から1年にも満たず、日大の運動は急速にしぼんだ。