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【さらば革命的世代】(2)元闘士であることを隠して… (2/4ページ)
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彼らが当時、自らの存在をかけた“闘い”をしていたことは確かだろう。だが、そうした思いの強さを感じる分、なぜその後、急速に運動から離れていったのかという疑問も残る。
リンチ死事件があった47年の連合赤軍事件や内ゲバを理由にあげた人もいたが、改めて聞くと「運動自体が無くなってしまったから」「生活のため」などと答えた。中には「どうしてなんでしょうねえ…」ともらすだけの人もいた。いまだに、答えを探しているのかもしれない。
メンバーの一人で、首都圏の公立図書館で働いている男性公務員(58)は「話しても100%理解されることはない」とし、職場でも元闘士だということは伏せている。学生運動に参加していたことが周囲に知れ、職場に居づらくなって、辞めざるをえなくなった人もいたという。男性は「職をかけてまで周りに話をしようとは思わなかった」と話した。
3年前に印刷関係の大手企業を早期退職した男性(62)も就職時に大学中退の学歴を隠し、あえて高卒と偽った。企業側に学生運動をしていたと知れると採用されないと思ったからだという。息子2人は32歳と28歳でともに社会人になっているが、学生時代について語ったことはない。「長男には理解してもらえるかもという思いがあるが、二男は現代っ子。話せば対立してしまう」
日大闘争は、ビラ配りを禁じたり、入構に学生証検問をする大学に対する民主化運動であり、20億円を超える巨額の使途不明金など、不正経理に対する抗議運動という側面もあったとされる。
メンバーの都内の会社社長(59)は「インテリの集まる東大闘争が『大学解体』を掲げる賢い連中の反乱だったとすれば、日大は百姓一揆。革命とか左翼とかではなく、間違ったことに『おかしい』と言っただけ」と振り返る。