後期高齢者(長寿)医療制度を担当する厚生労働省の職員が、自ら執筆した解説書の中で、死期の近づいたお年寄りの医療費が非常に高額として終末期医療を「抑制する仕組み」が重要と記していたことが分かった。23日の衆院厚生労働委員会で長妻昭議員(民主)が指摘した。制度導入の本音の一端が浮かんだ形だ。
解説書を書いたのは高齢者医療企画室長補佐。今年2月刊行の「高齢者の医療の確保に関する法律の解説」(法研)で、75歳以上への医療費が「3日で500万円もかかるケースがある」としたうえで、「後期高齢者が亡くなりそうになり、家族が1時間でも1分でも生かしてほしいといろいろ治療がされる」「家族の感情から発生した医療費をあまねく若人が負担しなければならないと、若人の負担の意欲が薄らぐ可能性がある」などと記述、医療費抑制を訴えている。
また、補佐は今年1月に金沢市内で開かれた一般向けフォーラムで講演し、独立型の保険とした理由について「医療費が際限なく上がっていく痛みを後期高齢者が自ら自分の感覚で感じ取っていただくことにした」とも発言していた。【野倉恵】
毎日新聞 2008年4月24日 11時24分(最終更新 4月24日 12時22分)