ある日、彼はいつものように雇われ農夫として働いていましたが、ふと手を休めて側にいた仲間に、
「ああ、苦しいときの仲間というのはいいものだなあ。もし、金持ちになってもお互い忘れないようにしよう。」
と言いました。それを聞いた者が、
「なに言ってるんだ。雇われ農夫のお前が金持ちになるなんて笑わせないでくれよ。」
と言うと、陳勝は天を仰ぎ、
「ああ、燕雀いずくんぞ鴻鵠の志を知らんや(ツバメやスズメのようなちっぽけな鳥が
と言って嘆息したのです。
その後、陳勝は徴用されて兵役につくことになりましたが、
「諸君は、雨に遭って約束の期限に遅れた。これは秦の法律では斬罪に当たる。ここで逃げても死罪は免れない。どうせ死ぬのだ。
同じ死ぬ身ならば大いに名を挙げてみようじゃないか。
こうして、陳勝は同僚の
しかし、勢いは変わらず、ついに秦は3代で滅び、劉邦によって再び中国は統一されます。
中国史上、陳勝呉広の乱は単なる農民一揆としてしか学校では教えません。しかし、一介の農民でありながら、その弁舌をもって同士を集め、 決断力と行動力をもって一時とはいえ王となった陳勝の能力はもっと評価されて良いのではないかと思います。”燕雀〜”と”王侯将相〜”の名言を さらっと言い、それを実行する陳勝を、孔孟の思想家よりもずっと魅力的に感じてしまうのは私だけでしょうか?