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調査捕鯨:船から「鯨肉持ち出す」 環境団体、乗組員ら12人告発へ

 日本の調査捕鯨船「日新丸」の乗組員が調査捕鯨の鯨肉を持ち出したとして、環境保護団体「グリーンピース・ジャパン」が15日午後、乗組員ら12人を業務上横領の疑いで東京地検に告発する。団体側は、乗組員1人が帰国後に、宅配便で自宅にあてて送った1箱に鯨肉が入っていたことを確認したとしている。転売などその後の処分の仕方については分からないという。

 告発状によると、財団法人「日本鯨類研究所(鯨研)」から調査捕鯨を委託された「共同船舶」(東京都中央区)所属の乗組員が、帰国後の4月、自宅などにあてて発送した宅配便のうち1箱を配送所で確保し、鯨ベーコンの原料になるウネスと呼ばれる高級肉23・5キロ(10万~30万円相当)が入っていたことを確認した、としている。同時に12人が47箱を発送したことを、発送伝票と社員名簿で確認しているという。

 東京都内で15日会見したグリーンピース・ジャパンの佐藤潤一・海洋生態系問題担当部長は「内部告発があり、今年1月から調査していた。持ち出しは、関係者の間では公然の秘密」と話した。配送する箱を宅配業者から無断で回収した調査方法については「横領行為の証拠を入手するためで問題ない」と説明している。

 鯨肉は通常、捕鯨船内で解体し、食用部分を共同船舶が市場で販売、収益は調査費用(約60億円)の一部にあてている。共同船舶は「乗組員は1人10キロの鯨肉を土産とするほか、3・2キロまでの購入が認められている。また、他の乗組員が買わなければ、その分の購入も可能だ」と話している。

 調査捕鯨には、水産庁から補助金約5億3000万円が鯨研に出ている。水産庁遠洋課は「事実関係を確認したい」と話している。

毎日新聞 2008年5月15日 東京夕刊

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