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   超ヘルシー魚! カレイ新調理術

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(試験開設)

2005年4月20日放送

今回の番組について

高タンパク・低脂肪で、消化吸収も抜群! ビタミンもバランス良く含まれる魚、カレイ。ところが家庭では煮付けに使われる程度で、その舌触りも和食の達人の料理に比べるとボソボソ。そこで旬を迎える大分県の「城下ガレイ」の産地を訪ね、カレイの生態をつぶさに観察! ヒラメとの肉質の違いを通して、カレイの煮付けを抜群においしくする極意を探求! さらにイタリアンや中国料理などバラエティに富んだカレイ料理の数々を伝授します!

※今回の番組では、これから旬を迎える「マコガレイ」を使って実験や調理を行いました。

オープニングクイズ

  • 問題:次のうち、エンガワで有名なカレイの名前は?
    カラスガレイ/ヘビガレイ/トラガレイ/ビーフカレイ
    答え:カラスガレイ
  • 問題:タウリンが不足すると、ヒラメの稚魚はどうなる?
    答え:水中を漂う時間が長くなる

「カレイVSヒラメ これが勝負のわカレイめ」

カレイとヒラメでそれぞれ刺身と煮つけを作り、どちらが美味しいか食べ比べをしてもらったところ、煮つけはカレイの圧勝、刺身は引き分けという結果でした。

カレイの味と歯ごたえ

刺身ではカレイは淡白で歯ごたえが強く、ヒラメは濃厚な味でやわらかいという特徴がありました。

刺身の歯ごたえを比較したところ、カレイのほうがヒラメより1.6倍歯ごたえがありました。ところが、煮つけにすると刺身とは逆に、ヒラメよりカレイのほうが柔らかくなりました。

グラフ「カレイとヒラメの歯ごたえの強さの比較」

カレイのこうした性質は、ある魚と共通しています。マグロ、カツオ、タイ、サバ、ウナギの中で、カレイが最も近いのは、実はウナギです。

「カくレイた生い立ちの秘密」

海底で生活する道を選んだカレイは、進化の過程でほかの魚が持っている「浮き袋」を退化させ、全身の筋肉を使って泳ぐようになりました。そのため、筋肉どうしのつながりを強化する役目を持つ“ある物質”が豊富になったのです。一方、浮き袋があるカツオには、この物質はカレイの半分ほどしか含まれていません。刺身の歯ごたえも、カツオはカレイの半分ほどしかありませんでした。

カレイの食感の秘密

“ある物質”とは、コラーゲンでした。コラーゲンは、特に激しく動かす体の部分に多く分布します。全身をくねらせて泳ぐウナギやカレイには、全身にコラーゲンが豊富に分布します。

調べたところ、マコガレイには、ヒラメより約3割コラーゲンが多く含まれ、筋肉の“より内側”まで分布していました。こうした違いが、カレイとヒラメの食感に影響していたと考えられます。

「おいしい煮つけ、にーつけた」

煮つけが大好きという主婦に作っていただいたカレイの煮つけを、日本料理の達人にチェックしてもらったところ、「もう少し柔らかいほうがおいしい」という意見でした。達人の煮つけは主婦のものに比べて「舌触りが全然違う、柔らかい」煮つけでした。

主婦の煮つけと達人の煮つけの違い

主婦と達人、それぞれ煮つけを作ったときにできた煮こごりを比べてみると、主婦の煮こごりは固く、達人の煮こごりはプルプルと柔らかく、仕上がりが違っていました。これは、主婦の煮つけでは、煮汁にコラーゲンがたくさん出てしまったことを表しています。

達人のカレイの煮つけの作り方

  1. 霜降りをする(80度くらいのお湯にサッと湯通しして、冷水につける。カレイの表面を固め、コラーゲンを閉じ込めると同時に、うろこやぬめりが取りやすくなる)
  2. 水からカレイを入れる(カレイは4切れ程度までなら、以下の調味料の分量で大丈夫です)
    • 水 200ミリリットル
    • 調味料
      • 酒 200ミリリットル
      • しょうゆ 60ミリリットル
      • 砂糖 大さじ1
    • 昆布 5センチ角
  3. 強火で7~8分加熱
  4. 火を止め、余熱で5分置いて完成

※達人は、カレイがかたくなる前に火を止めていました。

グラフ「主婦と達人のカレイの食感の比較」

ご家庭で作る場合の注意事項

レンジの火力が弱い場合、火が通りきらない可能性があります。もし強火で煮て5分経っても沸騰しない場合は、加熱時間を1~2分延ばし、8~9分加熱してください。

7分煮たカレイと、30分煮たカレイで“味の染み込み具合”を比べた所、どちらも中は白く、味が染み込んでいないことがわかりました。

「カレイの煮つけは、煮つけてはいけない」

「煮つけ」は、「(野菜や魚肉などを)調味した汁がしみこんで味がつくように煮る」という意味です。カレイは長時間加熱するとコラーゲンが逃げ、身が固くなり、味も染み込まないことから、ガッテンでは「カレイは煮汁をつけて食べるのが良い」ということをお勧めしました。

達人が教えるワンランクアップの煮つけ術

カレイの野菜煮つけ

調味液(水・酒各200ミリリットル、しょうゆ60ミリリットル)に、カレイ、野菜(ネギやタケノコ、シイタケなど)を加え、水から7~8分煮ればできあがり。

カレイの煮おろし

  1. カレイに小麦粉をまぶし、表面に色が付く程度まで揚げる。
  2. 沸騰した煮汁に大根おろしと一緒に入れ、3分ほど加熱して完成。

※衣をつけて揚げることでコラーゲンの流出を抑えられるので、霜降りは必要ありません。

コラーゲンの健康効果、最新情報

以前ガッテンでは、コラーゲンを摂取すると骨密度を上昇させる効果があることをお伝えしましたが、なぜそうした効果が生まれるのか、よくわかっていませんでした。コラーゲンをいくら摂取しても体の中で全てアミノ酸に分解されてしまうと考えられていたからです。

最新研究では、摂取したコラーゲンの一部はアミノ酸まで分解されずに、アミノ酸が2~3個くっついた“ペプチド”の状態で吸収され、それが線維芽細胞というコラーゲンを合成している細胞を活性化することが突き止められました。

実習コーナー「中国風&イタリアンでカレイを満喫!」レシピ

カレイの姿蒸し(2人分)

写真・調理例

  • 材料
    • カレイ 1枚(300グラム)
    • 塩・こしょう 少々
    • ネギ
      • 上の青い部分 →15センチの長さに切る(カレイの下に置く)
      • 白い部分 →細切りにして25グラム
    • しょうが スライスしたものを1枚
    • たれ
      • スープ
        • 水 50ミリリットル
        • 鶏がらスープの素 大さじ1と3分の2
      • しょうゆ 大さじ1
      • 油 小さじ1
      • 砂糖 小さじ4分の1
    • 香菜 適量
  • 作り方
    1. カレイの内臓、うろこ、エラを取り除き水洗いする。背ビレ(上側の一番長いヒレ)の付け根(白いお腹側)に沿って、頭から尾まで包丁で切れ目を入れる。深さは3センチ程度。
    2. カレイに塩こしょうをふり、ネギの青い所を皿に載せ、その上にカレイとしょうがをのせる
    3. 蒸し器に皿ごと入れて、3分半から4分蒸す。(魚100グラムにつき1分10秒が目安です。)
    4. 鍋にたれの材料を入れて加熱。蒸しあがったカレイにかけ、ネギの細切り(白い部分)、香菜をのせて完成。

※切り身だとコラーゲンが流出しやすいため、この料理には向いていないとのことでした。

カレイの黄ニラ炒め(4人分)

写真・調理例

  • 材料
    • カレイ 1枚(600グラム)。5枚におろして食べやすい大きさの切り身にする(番組では2センチ×7センチに切りました)。
    • 下味用の調味料
      • 塩 2グラム
      • 卵白 7グラム(1個分以下)
      • 片栗粉 2グラム
      • サラダ油 7グラム
    • 白ネギ 1本(ザク切り)
    • しょうが 10グラム(スライス)
    • 黄ニラ 1束
    • 紹興酒 小さじ1(他の酒でも可)
    • 調味料
      • 油(適量)
      • スープ
        • 水 20ミリリットル
        • 鶏がらスープの素 大さじ1強
      • 塩・砂糖・こしょう 適量
      • ごま油・片栗粉 各小さじ3分の2
  • 作り方
    1. カレイは5枚におろし、さらに食べやすい大きさに切っておく。
    2. 下味用の調味料をカレイにまぶす。
    3. 熱したフライパンに油を入れ、[2] を炒める。2分ほど火を通したら取り出し、クッキングペーパーの上にのせ、余分な油を取る。
    4. 白ネギ、しょうがを入れて、カレイを炒める。紹興酒(他の酒でもよい)を入れてから調味料を加え、最後に黄ニラを加えてサッとあえたら完成。

イタリア風カレイ料理「カレイの焼き蒸しハーブ風味」(2人分)

  • 材料
    • カレイ 1枚(400グラム)(丸ごとでも、切り身でも可。)
    • あさり 10個(大きめのもの)。カツオだしのだし汁でも代用可能。
    • じゃがいも 2個(5ミリにスライス)
    • にんにく 1かけ(つぶして使う)
    • 小麦粉 適量
    • 塩こしょう 少々
    • オリーブオイル 適量(カレイが少しつかるくらいが目安)
    • 白ワイン 大さじ2
    • 水 120ミリリットル
    • ハーブ 適量(タイム、セルフィーユ、エストラゴン、イタリアンパセリなどを2~3種)
  • 作り方
    1. カレイの内臓とうろこを取り、火が通りやすいよう、包丁で身(表裏)に切れ目を入れる。
      (例:表側の黒い部分には×印、裏側の白い部分には、中央に一本縦に切れ目を入れる)
    2. 内臓を取ったお腹にハーブを詰め、表裏まんべんなく小麦粉をつける。
    3. にんにくと多めのオリーブオイルを中火にかけ、にんにくに色がついたら取り出す。
    4. カレイの白い側を上にして強火で焼く。狐色になったらひっくりかえす。焼き時間の目安は2~3分
    5. カレイを取り出し余分な油を捨て、ジャガイモを敷き詰めて焼く。
    6. じゃがいもに焼き色がついたらカレイを置き、ハーブ、あさり、白ワイン、水を加え、フタをして強火で蒸す。
    7. あさりは口が開いたら取り除く。カレイはスプーンで汁をかけながら焼く。蒸し(焼き)時間は2~3分
    8. 塩こしょうをお好みでふり、まわりにあさりを置いて完成。

まとめのガッテンタワー「カレイ!こんなに知らなかったとは!!」

  • ん!? ヒラメと何が違うわけ? → カレイはコラーゲン3割増
  • しとふわ!! 達人の煮つけ、謎の極意 → 霜降り後、加熱7分余熱5分
  • 骨もよろこぶ! ???効果 → コラーゲンペプチドで、肌・骨 再生力アップ

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