ためしてガッテン
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   いきなりプロ級!
たまご料理の裏ワザ

2003年9月3日放送

 今回の番組について

食欲の秋、とても身近な「卵料理」。どれもシンプルでありながら、美味しく・見た目もよく仕上げるのが難しい卵料理。今回は、次の3つをご家庭でも簡単に作れる、ためしてガッテン独自の裏ワザ的レシピを中心に紹介します。

  • 一流ホテルの朝食に出るような、半熟フワフワの「オムレツ」
  • 高級料亭で出るような、なめらか・ふるふるの「茶わん蒸し」
  • 今大流行の「なめらかプリン」

 オムレツ編「まだまだ未熟半熟オムレツ」

目標のオムレツと、現実のオムレツの違いを明らかにしました

  • 《目標》 一流シェフのオムレツとは?
    … 外皮が薄く(1ミリ)、中が均一にトロトロの半熟。
  • 《現実》 大方の素人のオムレツとは?
    … 外皮が厚く(8ミリ)、中は硬いか生卵状態。

素人の作り方は、フライパンにといた卵を流し入れて、皮を作って巻いていくという方法です。うまくいかない理由には、こんなジレンマがあります。

  • 中までちょうどよい半熟を作ろうとすると、外皮が厚くなりフワフワにならない。
  • 外皮を薄く仕上げようとすると、中身は火が通らず、生のまま。

では、目標のオムレツは、このジレンマをどう解決しているのでしょうか? その糸口として、理想的な半熟の温度を調べました。

 「発見!これがかたま卵温度」

卵の中身を抜き取った殻に、「白身だけ」「黄身だけ」「全卵(白身+黄身・よく溶いて混ぜたもの)」を再注入した3種の「変わり卵」を作りました。そして、「65℃」「70℃」「75℃」のお湯で3種の卵をゆでました。

白身 黄身
65℃ ゲル(半液体) 液体
70℃ ゲル(半液体) 固体
75℃ 固体 固体

65℃では白身が固まりかけていたのに、70℃では白身を追い越して黄身が先に固まってしまいました。

白身と黄身は固まる温度が違います。目標のオムレツは「中身が均一にトロトロ半熟」なので、卵は「よくかきまぜた全卵」にする必要があるとわかりました。

では全卵はどうでしょうか?

全卵
65℃ 液体
70℃ 半液体
75℃ 固体

75℃では硬くなってしまうので、70℃~75℃の間に理想の半熟があることになります。実験を重ねた結果、全卵の理想的な半熟の温度は72.5℃と判明しました。

ということは、目標のオムレツはおよそ《皮は75℃、中身は72.5℃》で作られていることになります。

こんなに微妙な温度差を、どうやって実現するのでしょうか? 実は、「皮を作って巻いていく」という作り方に間違いがあったのです。

 「巻かずにマク!プロの技」

フランス料理のプロを育てている先生に、オムレツの作り方を教えてもらいました。

  1. まずよく溶く:ボウルの底に箸を押し付け左右に切るように
  2. フライパンに卵を入れたら、激しくかき混ぜ、スクランブルエッグを作るように。
  3. 鍋を水平に激しく振ることで、液状の卵を高温の鍋肌に追いやり、全体をまんべんなく加熱する。鍋フリ回数を数えてみたら20秒に47回も振っていました。
  4. 全体が半熟になったら、フライパンの先へ寄せて木の葉形に整える。
  5. フライパンの柄を軽く叩いてオムレツを徐々にひっくり返していく(トントン返し)。薄い皮(膜)はこの段階で勝手に出来てしまう。皿に盛ってできあがり。

つまり、皮を先に作るのではなく、まず全体を半熟に仕上げるのです。そうすると、皮(膜)は勝手にできてしまうのです。すなわち、オムレツとは「半熟卵(スクランブルエッグ)に薄い膜ができたもの」だったのです。

しかし、「均一にトロトロ半熟」を作るには《鍋フリ20秒に47回》、「薄皮1ミリ」を作るには《トントン返し》という熟練の技が必要です。これを誰でも家庭で簡単に作る方法はないものでしょうか?

 「Let's オムレツ ガッテン流」

そこでいよいよガッテン流の裏ワザ紹介です。ご家庭にあるフッ素樹脂加工のフライパンなら、熟練の技がなくても簡単にプロ級のオムレツが作れるんです。

調理例

ガッテン流・オムレツの作り方

《ご家庭にあるフッ素樹脂加工のフライパンで》

  1. フライパンを強火にかけてバターを入れる。最初大きかったバターの泡がだんだん小さくなり、消えかけたらフライパンを火からおろし、濡れ布巾で10秒ほど冷ます。
  2. フライパンを再び強火にかけ、卵を流し入れる。
  3. フライパンの温度は、濡れ布巾で冷ました上に、冷たい卵を流し入れたため80℃位になっている。これは卵が固まる温度とほぼ同じ。だから誰でもゆっくりめの鍋フリで半熟作りができる(30秒間に15回ほどの鍋フリが目安)。理想的な半熟は、鍋を傾けるとトロ~リと卵がゆっくり流れる程度。
  4. ここで卵をフライパンの先に木の葉形に寄せて、再び濡れ布巾の上で少し冷ます。
  5. フライ返しを使って、丁寧に卵をひっくり返し、フライパンの縁から皿に移して完成!

鍋の種類とプロの早技の関係

プロが《鍋フリ20秒で47回》や《トントン返し》という早業をこなすのは、「そもそもオムレツは鉄のフライパンで作るもの」だったからです。鉄のフライパンはかなり高温(200℃位)に熱しておかないと、卵がこびりついてしまうという難点があります。ゆえにプロは、鍋は高温で、なおかつ理想的な半熟を損なわないために早業を身に付けていたのです。

しかし、フッ素樹脂加工のフライパンなら、鍋が低温でも卵がこびりつくことはありません。ですから、理想の半熟を作り、形を整え、膜を作る一連の作業は、鍋を低い温度にしてゆっくりやっても失敗しません。これをおすすめするのがガッテン流オムレツの作り方です。

※参考:番組でお伝えしたオムレツの材料は、次の通りです。

  • 卵:3個
  • バター:大さじ1
  • 牛乳・生クリーム:お好みで
  • 塩:1~2つまみ

 茶わん蒸し編「ちゃわんと蒸したのに、作り方もちゃわんのに」

家で作る茶わん蒸しは表面にスが入ってきれいにできないことが多いようです。レシピも料理本によってまちまち。どうすればいいのでしょう?

2件のお宅の親子に、それぞれ茶わん蒸しを作ってもらいました。作り方は標準的な「強火2分+弱火15分」で、全員が同じ作り方で作りました。しかし、結果は四者四様でした。いったい何が違うのでしょうか?

レシピどおりでも出来がばらつくのは、「弱火」が人によって違うからです。そのため、できあがりの温度が違い、明暗を分けてしまうのです。

理想は80℃台前半です。プロは、なぜか見事に83℃をキープしていました! その秘密は、温度を一定に設定できる業務用蒸し器を使い、83℃に設定して作っていたからでした。

でも、業務用蒸し器なんて、家庭では用意できません。そこで、ガッテンが独自の秘けつを発見しました!

ガッテン流:温度を一定に保つ方法

プロと同じように80℃台前半で一定にするには、強火4分+消火8分(火を止めて余熱で8分)

茶わん蒸しの温度の変化:

茶わん蒸しの温度の変化

 実習コーナー

ガッテン流茶わん蒸し (4~5人分)

調理例

  • 材料
    • 卵:2個
    • だし:350ミリリットル(アサリの酒蒸しの煮汁を足して合計350ミリリットル)
    • アサリ:10個(酒少々で蒸したもの)
    • 青ネギ:少々
    • 調味料
      • 塩:2つまみ
      • 醤油:小さじ2分の1
      • みりん:小さじ1
  • 作り方
    1. だしは人肌程度に温め調味料を入れてよく混ぜる
    2. 卵を溶きほぐしたものに [1] を加え、漉し器等で漉す。
    3. アサリを器に入れて [2] を入れてから、青ネギを浮かべ表面の泡を取る。器はふたかラップをする。
    4. 蒸す(強火4分+火を止めて余熱蒸らし8分)

応用例:なめらかプリン (7人分)

プリンと茶わん蒸しはよく似た料理なので、同じ方法でプリンも作れます。

調理例

  • 材料
    • 牛乳:400ミリリットル
    • 生クリーム:200ミリリットル
    • 全卵:1個
    • 卵黄:4個
    • 砂糖:70グラム
    • バニラエッセンス:少々
  • 作り方
    1. 牛乳と生クリームは一緒に電子レンジで人肌ぐらいに温める
    2. [1] にバニラエッセンスを加える。
    3. 卵をよく溶き、砂糖を加える。(泡立てぬように。卵をときながら砂糖を徐々に入れること。砂糖が固まってダマになるのを防ぐ)
    4. [2] と [3] を混ぜ、漉し器等で漉す。
    5. 器に入れて蒸す。蒸すときは蒸し器のフタをタオルで包んで、水滴が落ちるのを防ぐ。
    6. よく冷やして完成(強火4分+火を止めて余熱蒸らし8分)

※番組では、容器は200ミリリットルの耐熱ガラスを使用しました。ただし、耐熱の容器であればどのようなものでもかまいません。

参考:キャラメルソースの作り方

  • 材料
    • 砂糖:100グラム
    • 水:大さじ2
    • 熱湯:60~80ミリリットル
  • 作り方
    1. 鍋に砂糖を入れて水で全体を湿らせてから中火にかけてキャラメル色に焦がす。
    2. 焦げつかないよう鍋底を濡れ布巾で一瞬だけ冷やし、素早く熱湯を注ぐ。
    3. 再び中火にかけて全体が均一になったら冷やす。(冷蔵で1ヶ月くらい保存可能)

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