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   大発見!マーボー豆腐 激うま調理術

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2006年9月13日放送

今回の番組について

横浜中華街の100人アンケートで、好きな中国料理の第2位に選ばれた麻婆豆腐。家庭の料理として、レトルトも普及。レシピ通りに作ればそこそこ美味しく作れちゃう料理です。

しかしガッテンが達人の技から見つけた3つの鉄則を知れば、「ソースのコク」「豆腐の柔らかさ」「とろみ加減」がまるで違う“別次元の麻婆豆腐”が完成します!

「別次元の麻婆豆腐」とは?

中国四川省が発祥である麻婆豆腐は、本来“非常に辛くてしびれる”という特徴があります。そのような本場の味が好きな人もいるでしょうし、逆に口に合わないという人もいると思います。

そこで番組では、嗜好に個人差がある辛さや風味のよしあしには触れず、「コクのあるソース」「フルフルとした柔らかい豆腐の食感」「モサモサしないとろみの加減」の3点をレベルアップさせる麻婆豆腐を目指しました。なぜならそれは、「肉と調味料を炒める」「豆腐を煮込む」「とろみを付ける」という麻婆豆腐作りの基本の3工程に対応したものだからです。

麻婆豆腐の一般的なレシピを見てみると…

一般的なレシピはだいたい次のようになっています。

  1. 肉の色が変わるまで炒め、調味料を入れる
  2. スープを入れ豆腐を煮る
  3. 水溶きかたくり粉を入れ、とろみがついたら皿に盛る

これら3つの手順に対して、誤解や、達人たちの鉄則(コツ)があることを順に見ていきます。今回は、陳建一さん、長坂松夫さん、斎風瑞(さい・ふーみ)さんの3人の達人のコツを詳しく分析!

写真・3人の達人

「“即効”そこそこ味からの脱出」

同じ材料と調味料を使い、9人の主婦が麻婆豆腐作りに挑戦。完成品を互いに試食し、「プロ並み」「そこそこ」「いまいち」の3段階で評価してもらうと、「そこそこ」3人、「いまいち」6人という結果でした。

しかし、麻婆豆腐を作る達人たちのVTRを見てもらってからもう一度作ると、「プロ並み」6人、「そこそこ」3人という結果になりました。ソースのコク、豆腐の柔らかさ、とろみが違うのです。

「ひき肉 皮肉な勘違い」

ひき肉の炒め方を主婦と達人とで比較しました。3人の達人たちは、肉の色が褐色に変わっても加熱し、肉から出る脂が透明になるまで炒めていました。一方、主婦は「どうせ後で煮るから」と、肉に赤色が残っている段階で炒めるのをやめていました。

主婦と達人たちの肉・調味料の炒め時間

肉を炒め始めてから
調味料を入れるまで

調味料を入れてから
スープを入れるまで

主婦

20秒

20秒

陳建一さん

50秒

40秒

長坂松夫さん

50秒

30秒

斎風瑞さん

90秒

90秒

斎さんは肉が焦げるのを防ぐため、鍋を熱した後、一度火を止めた状態で肉を投入、鍋肌に肉がくっつかないのを確認して火をつけるため、ほかの達人と比べてもさらに時間がかかっています。

主婦のやり方(40秒)と、陳さんのやり方(90秒)で、ソースを味覚センサーで比較しました。肉と調味料は同じものを使いましたが、コクは90秒のほうが1.5倍多くなっていました。

グラフ「加熱時間と味覚」

「マー!ボー然!豆腐大変身!」

豆腐の煮かたを主婦と達人で比較しました。主婦たちは、ソースをよく絡ませようと何度もかき回します。一方、長坂さんたちは、お玉の背で2〜3回かき回した後は触らずにじっくり煮込みます。さらに片栗粉でとろみを付けた後、“あるもの”を加えていました。これこそが豆腐をフルフルにする秘策です。

レコードの上に高さの違う豆腐を載せ、その高さを少しずつ高くしながら、DJがスクラッチし、どこまで豆腐が倒れずに持ちこたえるかを比べたところ、“あるもの”を加えたほうは2センチの高さの差をつけて勝利! さて、達人たちが入れていた“あるもの”とは?

達人たちが入れていたものは油でした。油あり、油なしの豆腐を食べ比べてみると、油ありはプルンプルンの食感になります。

油で豆腐の食感が変わる理由

豆腐は、脂質の周りをたんぱく質が取り囲んだ構造をしていて、油を加えることで沸点が上昇します。さらに、ソースと一緒になっている豆腐の温度も、90度から100度〜110度に上がります。

沸点が上昇すると、豆腐のたんぱく質が切れやすくなり、脂質が豆腐の8割を占める水と混ざります。この脂質は水と混じるとクリーミーな状態になる性質があり、これがプルンプルンの食感を生むのです。

主婦と達人の豆腐の煮込み時間

豆腐の煮込み時間

主婦

40秒

陳さん

1分

長坂さん

1分50秒

斎さん

2分

木綿豆腐を使う陳さんは、豆腐に弾力をつけるため、事前に塩ゆでしていました。このため、他の2人よりも煮込み時間が短くなっています。長坂さん、斎さんは絹ごし豆腐を使い、柔らかさを生かすため、水切りせずに煮込んでいます。

油はいつ、どのくらい入れるの?

油を入れるタイミングは、豆腐を煮込み、水溶き片栗粉を入れた後です。あとで紹介しますが、その後に40秒再加熱します。

分量は大さじ1〜3です。ごま油でも良いですが、その場合、大さじ1以上入れると、風味がきつくなります。

「とろみ絶妙!最後の火あげ」

主婦と達人のとろみのつけ方を比較しました。陳さんと斎さんは、水溶き片栗粉を入れてとろみを付けた後、鍋底が焦げるぐらいまで40秒再加熱。一方、主婦たちは、とろみが付いたと思ったらすぐ火を止めていました。

水溶き片栗粉を入れた後に加熱するかしないかで、とろみの付き方の違いを比較しました。加熱したほうは、しないほうに比べ、透明度が高くなりました。さらに鍋から流してみると、加熱なしはぶつぶつ切れるのに対し、加熱ありはとろみが全体についていました。

加熱するととろみがつく理由

でんぷんが水と混じり糊状になることを糊化(こか)といいます。マーボー豆腐に一般的に使われるジャガイモでんぷんは、約60℃以上になると糊化を始め、完全に糊化すると透明になる性質があります。

とろみがついたと思ってすぐに火を止めると、糊化が不完全に終わり、でんぷんが粉状に残ってモサモサした食感となるのです。

まとめ「ガッテン流マーボー豆腐」

※分量は2〜3人分

  • 材料
    • 油 大さじ7
    • 豚ひき肉 100グラム
    • トウバンジャン 大さじ1と2分の1
    • テンメンジャン 大さじ1と3分の1
    • 鶏がらスープ 60ミリリットル
    • 絹豆腐(1センチ角) 1丁
    • 酒 大さじ1強
    • しょうゆ 大さじ1と2分の1
    • (お好みで)花サンショウ(ほあじゃお) 小さじ3分の2
    • 水溶き片栗粉(片栗粉 大さじ2を水 大さじ2で溶いたもの)
    • ねぎみじん切り 大3
  • 作り方
    1. 中華鍋を1分強火で熱し大さじ1の油をひく。
    2. 中火にし、ひき肉を入れて大さじ3の油を入れて肉の脂が透き通るまでしっかり炒める。
    3. トウバンジャンとテンメンジャンを入れて全体に同じ色になるくらい炒める。(20秒)
    4. 鍋肌からスープを入れ、豆腐を入れる。
    5. お酒、しょうゆを入れて中火の弱にして豆腐の水分を飛ばすように煮る。(1分)
    6. 花サンショウをいれ(※お好みで)、水溶き片栗粉を4回くらいに分けて入れる。
    7. ねぎのみじん切りを入れて化粧油大3を入れて強火にし40秒ほどグツグツ煮てできあがり。

まとめ

  1. 肉の色が変わるまで炒め、調味料を入れる
    →肉から出る脂の色が透明になるまで炒め、調味料を入れる
  2. スープを入れ豆腐を煮る
    →スープを入れ、かき回さずにじっくり豆腐を煮込む
  3. 水溶きかたくり粉を入れ、とろみがついたら皿に盛る
    →水溶きかたくり粉を入れ、油を入れてしっかりとろみがつくまで強火で40秒加熱

実習コーナー

斎風瑞流マーボー豆腐(2〜3人分)

写真・調理例

  • 材料
    • 豚荒びき肉 100グラム
    • 油 大さじ1と小さじ2
    • ショウガ(みじん切り) 小さじ1と2分の1
    • にんにく(みじん切り) 小さじ1と2分の1
    • トウバンジャン 小さじ2
    • ネギみじん切り 大さじ2
    • 鶏がらスープ 200ミリリットル
      ※水200ミリリットルに対して市販の鶏がらスープのもとを小さじ2分の1とかしたものでもOK。
    • 酒 大さじ1
    • しょうゆ 大さじ1と2分の1
    • 砂糖 小さじ1
    • テンメンジャン 小さじ1
    • 絹豆腐(1.5センチ角) 1丁
    • コショウ 少々
    • 水溶き片栗粉(片栗粉小さじ2に水小さじ2をといたもの)
    • ごま油 大さじ1
    • 青ネギ(小口切り) 大さじ1
  • 作り方
    1. 中華鍋を1分加熱し、油をなじませ、火を消してひき肉を入れる。
    2. 鍋肌にひき肉がつかないのを確認したら、火を強火にし、肉の脂が透明になるまでしっかり炒める。
    3. 弱火にし、小さじ2の油をたしてからにんにく、しょうが、豆板醤を入れて肉の隅で炒める。香りが出てきたら、全体が同じ色になるまで炒める。(この間25秒)
    4. ネギ、テンメンジャンを入れてさらに炒める。(この間15秒)
    5. 鶏がらスープ、お酒、砂糖、しょうゆ、豆腐を入れて強火で煮る。
    6. グツグツ水分が煮詰まり鍋肌に焦げのようなものができるまで1分から2分煮る。
    7. 水溶き片栗粉を入れ、コショウで味を整え、ごま油を入れて40秒ほど煮る。
    8. 最後にネギをちらしてできあがり。

オイスターマーボー(2〜3人分)

写真・調理例

  • 材料
    上記の「斎風瑞流マーボー豆腐」の材料に以下のものをプラスします。ただし、青ネギ(小口切り)大さじ1 は必要ありません。
    • カキ 200グラム
    • 片栗粉 適量
    • オイスターソース 小さじ1
    • ニラ(1センチに切ったもの) 5本
  • 作り方
    1. 下ごしらえとして牡蛎に片栗粉をまぶし、熱湯に20秒ほどくぐらせ氷水にとる。水気をきり、半分に切る。
    2. 中華鍋を1分加熱し、油をなじませ、火を消してひき肉を入れる。
    3. 鍋肌にひき肉がつかないのを確認したら、火を強火にし肉の脂が透明になるまでしっかり炒める。
    4. 弱火にして小さじ2の油をたしてからにんにく、しょうが、豆板醤を入れて肉の隅で炒める。香りが出てきたら、全体が同じ色になるまで炒める。(この間25秒)
    5. ねぎ、オイスターソースを入れてさらに炒める。(この間15秒)
    6. 鶏がらスープ、お酒、砂糖、しょうゆを入れ、豆腐とカキを加えて強火で煮る。
    7. グツグツ水分が煮詰まり、鍋肌に焦げのようなものができるまで、1分から2分煮る。
    8. ニラ、水溶き片栗粉を入れ、ごま油を鍋肌から入れて、コショウで味を整え、40秒ほど煮てできあがり。

※作り方の [2]〜[4] は、「斎風瑞流マーボー豆腐」の作り方の [1]〜[3]、[6]〜[7] は [5]〜[6] と同じです

マーボー冬瓜(2〜3人分)

写真・調理例

  • 材料
    上記の「斎風瑞流マーボー豆腐」の材料に以下のものをプラスします。
    • 冬瓜 8分の1カット
    • 鶏ガラスープ 400ミリリットル
    • 酒 小1
    • 塩 少々
  • 作り方
    1. 下ごしらえとして、冬瓜の皮を剥き、わたの部分を切り落として1.5センチの大きさに切る。鶏がらスープが煮立ったところにお酒、塩で味をつけて冬瓜を5分〜6分ほど煮る。
    2. 中華鍋を1分加熱し、油をなじませ、火を消してひき肉を入れる。
    3. 鍋肌にひき肉がつかないのを確認したら、火を強火にし肉の脂が透明になるまでしっかり炒める。
    4. 弱火にして小さじ2の油をたしてからにんにく、しょうが、トウバンジャンを入れて肉の隅で炒める。香りが出てきたら、全体が同じ色になるまで炒める。(この間25秒)
    5. ねぎ、テンメン醤を入れてさらに炒める。(この間15秒)
    6. 鶏がらスープ、お酒、砂糖、しょうゆを入れ下ごしらえした冬瓜を入れて強火で煮る。
    7. グツグツ水分が煮詰まり、鍋肌に焦げのようなものができるまで、1分から2分煮る。
    8. 水溶き片栗粉を入れ、ごま油を入れて、コショウで味を整え40秒ほど煮る。
    9. 最後に青ねぎをちらしてできあがり。

※基本の作り方は「斎風瑞流マーボー豆腐」と同じです。[1] と [6] だけ違います。

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