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   究極のカツ丼 プロ級調理術

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2007年1月24日放送

今回の番組について

丼の王様カツ丼。カツ丼を食べると幸せな気持ちになるといいます。その秘密は、実は人間の脳に隠されていました。卵と肉の加熱方法の極意さえ知れば、誰でも簡単に幸せカツ丼を家庭で簡単に作れるのです!

オープニングクイズ

  • 問題:丼ものの起源は室町時代にあるといいます。いったい、いつどんな人が食べていたのでしょうか?
    答え:僧りょが修行の合間に食べた
    ※どんぶりもののルーツとされる「芳飯(ほうはん)」とは、ごはんの上に、味付けした具をのせた「かざり飯」のこと。元々はお寺の精進料理で、野菜などを細かく切って味をつけ、白、黄、赤、緑、黒の五色の具をごはんの上にきれいにかざり、すまし汁をかけて食べていたそうです。
  • 問題:「丼(どんぶり)」には「器」とは別の意味があります。それは何?
    答え:(職人の)腹掛けについた物入れ
  • 問題:東京大学の学生のうち、受験の願掛けでカツ丼を食べた割合は?
    答え:3割
    ※ガッテンが50人の東大生に聞いたところ、3割の学生が、入試の前に「受験に合格する(=勝つ)」に願掛けしてカツ丼を食べたと答えました。

「これが脳のカツ丼(活動)だ〜」

お店でカツ丼を食べるところを観察すると、カツ定食は9分40秒で食べ終えていたのに対し、カツ丼は5分5秒で、4分以上早く食べ終わっていました。そのとき脳内では何が起きているのでしょうか?

ガッテンが「脳」大実験で調べたところ、喜びの脳波だけでなく、カツ丼はカツ定食に比べて、しっかり(集中)・すっきり(覚せい)という2種類の感覚が強く出ていました。

カツ丼の「覚せい」の脳波の傾向は登山にそっくり!

以前の小野アナの実験(1998年7月8日放送「バテない夏山登山術」)と比べると、登山とカツ丼は脳波の傾向がよく似ていました。カツ丼は食べ始めに覚せいの度合いが上がり、食べ終わりで覚せいの度合いが落ちるのです。登山も、登りはじめから山の中腹にかけて覚せい度が上がり、頂上で度合いが下がっていました。


「登山や岩登り中に興奮状態が極限にまで達し、恐怖感が麻痺すること」を「クライマーズハイ」と呼びます。カツ丼を食べるときには「カツ丼ハイ」とでもいうような状態になっているといえます。

「カツ丼対決 よーい丼!」

料理の本を見てみると、一般的にはカツ丼の作り方はこのように書いてあります。

  1. カツを揚げる
  2. 丼汁(どんつゆ)でタマネギを煮る
  3. カツを入れ、溶き卵を回し入れ煮る
  4. 半熟になったら完成!

では、実際にこのレシピに沿って作れば「幸せカツ丼」が作れるのでしょうか。調べてみました。

カツ丼店店主と主婦(栄養士)に、カツ丼の作り方で対決してもらいました。主婦はカツにかけた卵が半熟になるように、すぐ火を消して蒸らします。一方の達人は、揚げたカツを強火で30秒煮ていました。

カツ丼好きの人たちに試食してもらったところ、両方おいしいという評価でしたが、よく聞いてみると、主婦のカツ丼は「肉が硬い」「白身がかたまっていない」「分離して一体感がない」という評価でした。一体何が違うのでしょうか。

達人の柔らかカツのポイント

達人のポイントは、素早い調理にありました。カツを揚げた後の放置時間が短いのです。達人も主婦も、カツの揚げ時間はおよそ2分でしたが、その後の煮る時間は、達人が30秒。一方、主婦は10秒加熱した後、1分半蒸らしていました。

調理科学の専門家が詳しく温度を計測してみると、カツを揚げた後に長時間置いておくと、温度が上がり、肉に火が入って、その結果硬くなってしまうことがわかりました。一方の達人は、カツを揚げた後、素早く鍋に入れていたために、硬くならなかったと考えられます。

達人の卵のポイント

  1. 卵の加熱は強火で!
    達人は鍋を強火で30秒加熱し、鍋の中の空気の温度を高くすることで、白身の外側を固めていました。しかし、加熱が短時間なので、内側の白身までは熱が入らず、中は生のままなのです。

  2. 卵を混ぜない
    達人は卵とじのためにかける卵をほとんど混ぜません。卵の白身には40種類の様々なタンパク質が含まれていて、それぞれが固まる温度が異なるため、温度によってさまざまな食感が味わえるものなのです。黄身と白身を混ぜすぎてしまうと、一様な食感になってしまい、白身が本来持っている多様な食感を味わうことができなくなってしまいます。

以上のように作った「幸せカツ丼」は多様な食感を味わえます。

  • 白身上: ふんわりふわふわ
  • 白身中: ぷるんぷるん
  • 白身下: べちゃ
  • 黄身: とろーりねっとり
  • カツの衣: サクサク
  • 肉: じゅわ〜
  • たまねぎ: しんなり
  • ご飯: さらさら

達人風のカツ丼 レシピ(1人前)

調味料、材料を用意して、手際よく作ってください。

  1. 鍋にタマネギを薄くスライスしてつゆを沸騰させる。丼汁50ミリリットル。
  2. 2分間カツに衣をつけて揚げる。
  3. 卵を割って、3回くらいつぶすように切る。
  4. カツを食べやすい大きさに切って親子鍋に入れ、上から卵をかける
    (※白身が上に残り、黄身が周りに落ちるように)
  5. 30秒強火で煮て完成!

一体感を感じる厚みは1センチ

幸せカツ丼の食感と一体感を出す上で、意外に見逃しやすくて、それでいて大事なポイントが、カツ丼を作る以前にありました。それは肉の厚さです。

5ミリ〜2センチの4種類の厚みの肉を使ったカツでカツ丼を作り、食べ比べてみました。分厚い豪華な肉がベストかと思いきや、40人中18人に「最も一体感を感じる厚み」と高く評価された厚さは、1センチでした。

カツ丼を作るためにスーパーなどで肉を買うときには、厚いトンカツ用よりも、薄めのソテー用のほうが、より向いているといえます。

実習コーナー

写真・調理例

ガッテン流カツ丼・4人分バージョン

  • 材料
    • 豚肉(1センチの厚さ) 80グラムのものを4枚
    • 小麦粉、卵、乾燥パン粉 各適量
    • 玉ねぎ(スライスしたもの) 160グラム
    • 丼つゆ
      ※市販のめんつゆ200ミリリットルでも代用可
      • しょうゆ 大さじ4
      • みりん 大さじ4
      • 砂糖 大さじ1
      • 水 65ミリリットル
    • 卵 4個
  • 作り方
    1. 豚肉の筋切りをする。
      ※全体的に包丁の背でよく叩く。このとき8ミリくらいの厚さにするイメージで。
    2. カツに衣をつける。
      ※小麦粉を全面につけてよ〜く溶いた卵にくぐらせて、乾燥パン粉をしっかりつける。
    3. 油100ミリリットルを26センチのフライパンに入れて標準バーナーで1分30秒強火で加熱。
    4. カツを入れて強火で2分揚げる。パズルのようにはめないときれいに揚がらない。
    5. カツを裏返して1分揚げる。
    6. その間に、丼にご飯をよそっておく。
    7. フライパンからカツを取り出しまな板に乗せる
    8. 残ったフライパンの油を出し、ペーパータオルでふきとり、めんつゆと玉ねぎを入れて強火で加熱。
      ※このときしっかり油をふき取らないとこげ味がする場合もあります。
    9. この間、揚げ上がったカツを1.5〜2センチ幅くらいに切る。
    10. フライパンに、トンカツを入れる。
    11. 卵を4個割り、黄身を切るようにハシを2往復して混ぜる。混ぜすぎ 厳禁!
    12. フライパンに、カツの上に卵の白身がのるように卵を入れてフタをして30秒強火で煮る。
    13. 丼の上にフライ返しなどでよそって完成!

※調味料などすべて用意しておき時間をなるべくオーバーしないようにスムーズに作業することに集中してください。
※2口のコンロのうち、火力が弱い方の「標準バーナー」を使ってください。
※フライパンの厚さもあるのでこの時間を基準に加熱時間を調節してください。

ガッテン流カツ丼・2人分バージョン

  • 材料
    • 豚肉(1センチの厚さ) 100グラムのものを2枚
    • 玉ねぎ(スライスしたもの) 80グラム
    • 丼つゆ 100ミリリットル
    • 卵 2個
  • 作り方
    1. 豚肉の筋切りをする。
      ※全体的に包丁の背でよく叩く。このとき8ミリくらいの厚さにするイメージで。
    2. カツに衣をつける。
      ※小麦粉を全面につけてよ〜く溶いた卵にくぐらせて、乾燥パン粉をしっかりつける。
    3. 油100ミリリットルをフライパンに入れて標準バーナーで1分半強火で加熱。
    4. カツを入れて強火で1分30秒揚げる。
    5. 中火にしてカツを裏返して1分揚げる。
      ※油をスプーンですくってかける
    6. その間に、丼にご飯をよそっておく。
    7. フライパンからカツを取り出しまな板に乗せる。
    8. フライパンの油を出し、ペーパータオルでふきとり、めんつゆと玉ねぎを入れて強火で加熱。
      ※このときしっかり油をふき取らないとこげ味がする場合もあります。
    9. この間、揚げ上がったカツを1.5〜2センチ幅くらいに切る。
    10. フライパンに、トンカツを入れる。
    11. 卵を2個割り、黄身を切るようにハシを2往復して混ぜる。混ぜすぎ 厳禁!
    12. フライパンにカツの上に卵の白身がのるように卵を入れてフタして30秒強火で煮る。
    13. 丼の上にフライ返しなどでよそって完成!

まとめのガッテンタワー

  • カツ丼の幸せは登山級
  • カツ丼の調理時間はカップラーメン級
  • カツ丼の食感はデパート級

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