「カツ丼対決 よーい丼!」
料理の本を見てみると、一般的にはカツ丼の作り方はこのように書いてあります。
- カツを揚げる
- 丼汁(どんつゆ)でタマネギを煮る
- カツを入れ、溶き卵を回し入れ煮る
- 半熟になったら完成!
では、実際にこのレシピに沿って作れば「幸せカツ丼」が作れるのでしょうか。調べてみました。
カツ丼店店主と主婦(栄養士)に、カツ丼の作り方で対決してもらいました。主婦はカツにかけた卵が半熟になるように、すぐ火を消して蒸らします。一方の達人は、揚げたカツを強火で30秒煮ていました。
カツ丼好きの人たちに試食してもらったところ、両方おいしいという評価でしたが、よく聞いてみると、主婦のカツ丼は「肉が硬い」「白身がかたまっていない」「分離して一体感がない」という評価でした。一体何が違うのでしょうか。
達人の柔らかカツのポイント
達人のポイントは、素早い調理にありました。カツを揚げた後の放置時間が短いのです。達人も主婦も、カツの揚げ時間はおよそ2分でしたが、その後の煮る時間は、達人が30秒。一方、主婦は10秒加熱した後、1分半蒸らしていました。
調理科学の専門家が詳しく温度を計測してみると、カツを揚げた後に長時間置いておくと、温度が上がり、肉に火が入って、その結果硬くなってしまうことがわかりました。一方の達人は、カツを揚げた後、素早く鍋に入れていたために、硬くならなかったと考えられます。
達人の卵のポイント
- 卵の加熱は強火で!
達人は鍋を強火で30秒加熱し、鍋の中の空気の温度を高くすることで、白身の外側を固めていました。しかし、加熱が短時間なので、内側の白身までは熱が入らず、中は生のままなのです。

- 卵を混ぜない
達人は卵とじのためにかける卵をほとんど混ぜません。卵の白身には40種類の様々なタンパク質が含まれていて、それぞれが固まる温度が異なるため、温度によってさまざまな食感が味わえるものなのです。黄身と白身を混ぜすぎてしまうと、一様な食感になってしまい、白身が本来持っている多様な食感を味わうことができなくなってしまいます。
以上のように作った「幸せカツ丼」は多様な食感を味わえます。
- 白身上: ふんわりふわふわ
- 白身中: ぷるんぷるん
- 白身下: べちゃ
- 黄身: とろーりねっとり
- カツの衣: サクサク
- 肉: じゅわ〜
- たまねぎ: しんなり
- ご飯: さらさら
達人風のカツ丼 レシピ(1人前)
調味料、材料を用意して、手際よく作ってください。
- 鍋にタマネギを薄くスライスしてつゆを沸騰させる。丼汁50ミリリットル。
- 2分間カツに衣をつけて揚げる。
- 卵を割って、3回くらいつぶすように切る。
- カツを食べやすい大きさに切って親子鍋に入れ、上から卵をかける
(※白身が上に残り、黄身が周りに落ちるように)
- 30秒強火で煮て完成!
一体感を感じる厚みは1センチ
幸せカツ丼の食感と一体感を出す上で、意外に見逃しやすくて、それでいて大事なポイントが、カツ丼を作る以前にありました。それは肉の厚さです。
5ミリ〜2センチの4種類の厚みの肉を使ったカツでカツ丼を作り、食べ比べてみました。分厚い豪華な肉がベストかと思いきや、40人中18人に「最も一体感を感じる厚み」と高く評価された厚さは、1センチでした。
カツ丼を作るためにスーパーなどで肉を買うときには、厚いトンカツ用よりも、薄めのソテー用のほうが、より向いているといえます。
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