ためしてガッテン
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   別格の味! お好み焼き革命

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2006年3月1日放送

追加情報

今回の番組について

子どもから大人までみんなに人気のお好み焼き。なかでも最近、人気を急上昇させているのが、広島生まれのお好み焼き「広島風」。

一般に広く認知されている、小麦粉に具を混ぜて焼くいわゆる「関西風」とどう違うか調査を行ったところ、広島風お好み焼きは関西風のうまさとはまた違う別次元のおいしさを持っていることが判明しました。その秘密は、ある材料の生かし方、作り方にあったのです。

今回のガッテンは、知ってるようで知らない広島風お好み焼きの魅力に徹底的に迫り、家庭でおいしく作れる鉄則を初公開! あわせて関西風をフライパンで作る技もお伝えします。

オープニングクイズ

  • 問題:お好み焼きの原型と言われる食べ物は?
    答え:一銭洋食。
    ※大正の終わりから昭和の初めにかけて屋台を中心に売られていた。水で溶いたうどん粉を鉄板の上で軽く伸ばして焼き、ネギや昆布などをのせウスターソースとしょうゆで味付けして食べていた。ウスターソースで味付けしていたこと、子どもでも気軽に買えたことから一銭洋食と呼ばれた。
  • 問題:世界一の広島風お好み焼きの直径は?
    答え:3メートル。
    ※広島で毎年作られている。使っているキャベツはおよそ150キログラム、およそ2000人前のお好み焼き。なお、関西風のお好み焼きでは、8メートルという記録がある。
  • 問題:ホットプレートで作る関西風お好み焼きの鉄則で大事なのは?
    答え:厚さは2センチ。
    ※ホットプレートは店の鉄板より火力が弱いので中が生焼けになってしまうこともある。薄くすることでそんな失敗を減らすことが可能になる。

「お好み焼きはおどろき焼きじゃけえ」

広島風お好み焼きを作ったことがないという東京の大学生6人に広島風お好み焼きを作ってもらったところ、いずれもプロが作るものと比べて、キャベツの甘みが今ひとつでした。しかし、手際が悪いAさんだけが唯一の高得点(80点)を獲得しました。お好み焼きをおいしく作るには、モタモタ作った方がいい!という意外な結果が!

  • テキパキしたBさん: 69点 12分23秒
  • 慎重なCさん: 70点 15分13秒
  • モタモタしたAさん: 80点 18分02秒
  • 達人: 15分11秒

キャベツの甘みの違いは、作り方のどこから生まれたのでしょうか?

「お好み焼き、押さえる? 押さえない?」

キャベツの甘みが足りなかった大学生は、いずれもお好み焼きを焼くときにへらで押さえていました。一方、達人はお好み焼きをひっくり返してから8分間押さえず、最後だけ軽く押さえていました。また、高得点だったAさんもまったく押さえていませんでした。押さえる・押さえないが両者の最大の違いだったのです!

キャベツの加熱時間だけを見ると

  • テキパキしたBさん: 69点 3分55秒
  • 慎重なCさん: 70点 6分33秒
  • モタモタしたAさん: 80点 8分28秒
  • 達人: 8分02秒

調理中は押さえないほうが、お好み焼きの内部の温度が早く上がる

押さえて調理したお好み焼きと、押さえないで調理したお好み焼きの内部温度を比較したところ、意外にも、押さえないほうがキャベツの温度(中心部)が早く上昇することがわかりました。

  • 押さえた場合: 3分56秒で84℃まで上昇。
  • 押さえなかった場合: 3分35秒で100℃まで上昇。その後は100℃で安定。

グラフ・キャベツの中心部の温度

なぜ、お好み焼きを押さえないとキャベツの温度が早く上がるのか?

お好み焼きを押さえなかった場合、内部では以下のような現象が起きていると考えられます。

加熱することでキャベツから水蒸気が出ますが、お好み焼きの上部には小麦粉でできたクレープ状の生地があり、これがフタの役割をするため、逃げ場を失った水蒸気がお好み焼きの内部で充満します。いわば、キャベツは蒸されている状態です。水蒸気の温度はおよそ100℃なので、それに触れているキャベツの温度も100℃に近づいて安定します。

これに対して、お好み焼きを押さえた場合には水蒸気が逃げてしまうので、思っているほど温度が上がりません。広島風お好み焼きはいわば「お好み蒸し」の状態にすることで、キャベツに効率的に熱を加えることができていたのです。

なぜ、キャベツを蒸すと甘く感じられるようになるのか?

キャベツの千切りを、[1]蒸す [2]ゆでる [3]生 の3パターンで調理し、食べ比べたところ、蒸したキャベツが圧倒的に甘く感じられました。その理由は次の通りです。

  • キャベツを蒸すと、細胞壁が緩やかに壊れる。これによって細胞に元々含まれていた旨みのもとであるアミノ酸や甘みのもとである糖が出やすい状態になる。こうしたキャベツを口に入れると、細胞壁が緩んでいる効果で瞬間的に旨みや甘みを感じることができる。
  • 一方、ゆでたキャベツは細胞壁が激しく損傷するため糖やアミノ酸がゆで汁の中に流れ出てしまう。蒸した物に比べ、甘みを感じないだけでなく、食感もクタクタになる。
  • 更に生のキャベツはしっかり噛まないと、糖やアミノ酸が出てこないので蒸したものと比較すると、甘みを感じにくい。

広島風お好み焼きの最大の長所は、キャベツを甘くおいしく、しかも大量に食べられることだったのです。

キャベツを甘く調理する極意

太めの千切りにしたキャベツ200グラムを、220℃で8分間蒸し焼きにします。これ以上蒸し焼きにすると、焦げる可能性が高くなるので要注意!

「生地改正なるか?うすパリ実験」

続いては、キャベツのフタの役割をしている薄い生地について。どうやったら薄くてパリパリの食感の生地を作ることができるのでしょうか?

広島風お好み焼きの生地を調べたところ、プロは生地のもととなる溶き粉を作るとき、薄力粉と水を1対1で混ぜて半日寝かせていることが判明しました。また、調理科学を専攻している大学生による実験でも、プロのように半日寝かせた溶き粉を使用するほうが、薄くてパリパリの生地を作れることが判明しました。製粉メーカーの研究所を訪ねると、溶き粉を寝かせることで、小麦粉(薄力粉)に元々含まれていたタンパク質=グルテンが広がって、薄くのばしやすい状態になっていたことが分かりました。

しかし、生地を半日寝かせるのは手間がかかります。そこでガッテンでは、同じような効果が得られる裏技を考えました。その方法とは薄力粉と水に加えて、牛乳を入れるものです。

配合は、薄力粉100グラム、水100ミリリットルに対して、牛乳が50ミリリットルです。牛乳を混ぜると、牛乳に含まれるタンパク質が作用してグルテンが広がったのと似たような状態になり、初心者でも容易に薄い生地を作ることができるようになるのです。

「鉄則完成!鉄板の鉄人登場」

いよいよ鉄則の完成に向けて最後の難関、「温度の調整」について調べました。

お好み焼きの本場、広島で35年間にわたってお好み焼きを焼き続けている鉄人にガッテン隊が挑戦! 科学の力で自信を持って臨んだものの、鉄人に「そのお好み焼きは商品にならない!」と厳しい指摘を受けてしまいました。

キャベツやほかの具の盛り方も生地の伸ばし方もまったく同じはずなのに、何が違うのでしょうか!? 温度を視覚的に表すことができるサーモグラフィを使って調べたところ、鉄人は1枚の鉄板内にできた2種類の温度を巧みに使い分けていることが判明しました。

生地をのばすときは鉄板の170℃の部分、キャベツを蒸し焼きにするときは220℃の部分を使っていました。温度を使い分けることこそが、プロ並みの広島風お好み焼きを作る上で不可欠だったのです。

ホットプレートで作る広島風お好み焼きの鉄則

  1. 生地をのばす
    配合は、薄力粉100グラム、水100ミリリットル、牛乳50ミリリットル。
  2. 具をのせる
    キャベツは太めの千切り200グラム。ネギ、もやし、豚肉などの具はお好みで。温度は170℃。(ひっくり返すのに不安なときは、つなぎとして生地のもとをかけておく)
  3. ひっくり返す
    蒸し焼き8分。温度は220℃。
  4. 8分たったところで軽く押さえる。
  5. タマゴにのせる
  6. ひっくり返す
  7. ソースを塗る
  8. キャベツが超甘く、生地が超うすい広島風お好み焼きが完成!

実習コーナー「フライパンで作るサクサクふわふわの関西風お好み焼き」

関西風お好み焼き(2枚分)

写真・調理例 豚玉ネギかけ

写真・調理例 もちチーズ焼き

写真・調理例 しそごはん焼き

  • 材料(2枚分)
    • 生地
      • 薄力粉 100グラム
      • 牛乳 50ミリリットル
      • 水 60ミリリットル
      • 山芋(大和芋) 20グラム
      • か粒だし 5グラム
    • 具材
      • キャベツ(粗くみじん切りにしたもの) 200グラム
      • 卵 2個
      • 豚バラ肉 6枚
      • お好みの具
        • 豚玉ネギかけの場合: 青ネギ 適宜
        • もちチーズ焼きの場合: もち、チーズ 適宜
        • しそごはん焼きの場合: しそ、冷やごはん 適宜
  • 作り方
    1. ボウルに、薄力粉・牛乳・水・山芋(すりおろしたもの)・か粒だしを入れ混ぜる。さらにキャベツ・タマゴを加えて混ぜる。
    2. フライパンを強火で1分空焼き。
    3. 生地を流しこみ、豚バラ肉をのせる。フタをし中火で3分焼く。
    4. 生地を裏返し、フタをし、中弱火で9分焼く。

※豚玉ネギかけの場合:
青ネギはソースをかけたあと、最後に生のままかける。

※もちチーズ焼きの場合:
もちを入れるのは生地を作る段階で。チーズをのせるのは焼き上がる2分前、再びフタをして焼く。

※しそごはん焼きの場合:
冷やごはんは生地を作る段階で、しそは生地をフライパンに引く段階で入れる。生地をまず半分だけひき、しそをのせてから残りをのせる。

ポイント

  1. 生地を混ぜる際は空気を含ませるようボールの底から上に縦方向に混ぜる
  2. 焼く際にはフタをする。火の温度調節も大切に!

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