「お米+“○○”のコンビに秘密あり」
近年、大変おいしくなっていると評判のコンビニおにぎり。その作っている様子を見せてもらうと、まず熱々のご飯をそのまま三角形に整え、空気を強い圧力でおにぎりの中に吹き込むことで、ふんわり感を出していました。
※空気を入れるのはこの会社が開発した最新の製造方法です。すべてのコンビニおにぎりで空気を吹き込んでいるわけではありません。なお、各メーカーとも、さまざまな方法で、おいしくするための技術開発を行っているようです。
普通のおにぎりは米がすき間なくぎっしり詰まっています。しかし、空気入りのおにぎりは米と米がほどよく離れており、その差は一目瞭然です。
液体窒素でおにぎり大実験
おにぎりの中に空気が入っていると、どのような違いがあるのでしょうか?
普通ににぎったおにぎりと、空気が入ったおにぎりの2種類を液体窒素に入れて凍らせます。そのおにぎりを木づちでたたいてみると、普通のものはいくつかの固まりに分かれるだけでしたが、空気入りのものはバラバラに砕けました。これと同じことが口の中で起きるかどうかで、味わいがまったく異なってくるのです。
おにぎりを食べている口の中をX線で透視して調べてみました。ふつうに握ったおにぎりでは、口に入れてよく噛んでも、大きな固まりに分かれるだけで、なかなかほぐれません。横から見ても、舌の上にしばらくとどまっています。一方、空気が入ったおにぎりは、口に入れるとすぐにバラバラになって形がわからなくなるので、どんどん口の奥にまで広がり、口の中全体で味わうことができるのです。
「おねば」は、接着剤にもうまみにもなる
炊飯時のお米の変化を顕微鏡で調べました。沸騰してから5分後、米粒にたくさんの小さなひびが入って、そこから水がしみこんで膨張し、お米の表面に薄い膜のようなものができます。これは、デンプンやアミノ酸などのうま味が中から出てきて、表面にくっついたものです。この「おねば」が、ご飯のおいしさの秘密の一つです。
おにぎりを普通ににぎると、お米の表面の「おねば」が粘って、米同士が面と面でくっつきます。つまり、「おねば」が強い接着剤になって、ご飯を圧着させる状態になります。一方、空気入りのおにぎりは、米粒が点と点で接しているため、口の中で一粒ずつばらばらに広がります。
表面の「おねば」を単なる接着剤にしてしまうのか、それとも、うまみとして味わえるようにするかが、大きな違いだったのです。
|