「こっちがおいし〜イモん」
つづいては具に注目します。名人のコロッケが美味しかった理由として、子どもたちは「ソースがいらないほど、濃い味がして美味しかった」と言っていました。実は、ここに大きな秘密があります。
コロッケ名人の店の冷蔵庫の中には、男爵イモが保存されていました。実はこのイモ、去年の秋に獲れたジャガイモなのです。
ジャガイモは低温保存で甘くなる!
名人が使っていた男爵イモの入手先である北海道を訪ねました。去年の秋に獲れたジャガイモを保存している農場を見学すると、貯蔵庫の中には去年の雪が保存されていて、そのそばにジャガイモが置かれていました。ジャガイモのまわりの温度は4.2度、湿度は99%。
新じゃがと1年保存したジャガイモを糖度計で比較すると、新じゃがの糖度は6.1%で、1年保存したものは16.4%でした。実は、ジャガイモは低温で長期間保存すると甘くなるのです。
ジャガイモを、温度0〜4度、湿度80〜90%の環境で保存すると、ジャガイモ特有の酵素が働くため、ジャガイモのデンプンのごく一部が分解されて、糖を増やしてくれるのです。この現象は「低温糖化」と呼ばれています。
北海道では、8〜9月に収穫された新じゃがを出荷し、残りは低温で保管しながら順次出荷をしています。つまり、スーパーで出回る北海道産ジャガイモは、11月以降から春先まで一定期間、低温で保管されたものなのです。新じゃがとは書かれていない北海道産が目印です。
冷めてもおいしい秘訣のひとつ、それは甘みを増やしたジャガイモを使っていたことでした。しかし、この時期においしい新じゃがでも、冷めても美味しいコロッケを作れないものでしょうか?
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