県は14日、県内29の自治体病院(市町村立、一部事務組合立)の2007年度決算見込みを公表した。不良債務額が過去最高の約168億8千万円と、06年度に比べて7.8%(約12億2千万円)増え、7割近くの20病院が不良債務を抱える厳しい経営状況。県は一層深刻化する医師不足も踏まえ、「限られた医療資源の有効活用に向け、各圏域で医療機能を再編成する必要性がますます高まっている」と抜本的改革を訴えている。

 県市町村振興課が今年4月現在の概算値を集計し、14日に青森市で開かれた自治体病院事務(局)長会議で公表した。病院数は田子病院(田子町)の診療所化で、06年度より1減。07年6月に診療所化した国保平川病院(平川市)は4、5の2カ月分の決算で算定した。
 不良債務を抱える病院数は06年度の19から20病院に増加。起債が制限される不良債務比率10%以上の病院数は14から13に減少した。
 経常損益は約64億5千万円の赤字で、06年度比で赤字幅が3.0%(約1億8500万円)拡大。総体として経営の一層の悪化を示す形となっている。
 同課によると、田子、平川両病院を除いた現存病院だけで見ると、医業収益総額は06年度に比べ幾分伸びているが、材料費の増大などで医業費用総額の伸びが上回っている状況。医師不足や診療報酬のマイナス改訂、外来を中心とした患者数減少などで医業収益が伸び悩んでいる。
 国は経営効率化や再編・ネットワーク化を柱とする公立病院改革プランを08年度中に策定するよう各自治体に求め、プラン策定に伴う財政支援措置として、不良債務解消に向けた特例債発行を打ち出している。同課によると、今のところ県内では数団体が活用したい意向を示している。
 同課は「特例債起債の要件は、その活用がプラン策定と計画的な推進に資すること」と強調、国のヒアリングがある今年秋ごろまでにしっかりしたプラン素案を策定するよう呼び掛けている。