延命治療中止、どこまで刑事責任負うべき

射水市事件で担当医を書類送検

畦間 優(2008-05-15 10:30)
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 富山・射水(いみず)市民病院で、延命治療を巡り末期がん患者ら7人の人工呼吸器を外すなどして死亡させた疑いで、富山県警は担当の部長医師(52)を近く殺人容疑で書類送検することを決めた。

 問題が明るみに出たのは2006年3月。それが2年もたって、なぜ今になって書類送検か。

 新聞報道などによると、富山県警ではその後慎重に検討を重ねてきたが、このほど、富山地検に捜査当局としての判断を委ねることにしたのだという。

 延命治療中止のための呼吸器外しは、医療者による殺人なのか? 

 当該部長医師は、「殺人とは思っていない」というコメントをこれまで度々明らかにしている。過去の同様の事案では、呼吸器を外したことと死因との因果関係の立証が難しく、不起訴処分になったケースがある、という。

これでは医師が気の毒だ

 射水病院の件を機に、尊厳死や延命治療とその限度、延命治療を中止するプロセスの未整備などが問題化し、社会的な話題にもなった。日本救急医学会と厚生労働省は2007年、延命治療中止に関する指針をとりまとめたが、この中に「医師の免責基準」は定められていない。

 だが、延命治療を望まない人(患者や家族)もいる。

 これでは医師に気の毒な面が残る。延命治療の中止が許される「ケース」が分からないと、不安で判断も鈍りかねないだろう。まして結果論でどうこう言われれば、医師は割を食うだけだ。

 増えているのか目立つのか、昨今は医療事故が多いと感じる。確かに、あってはならないうっかりミスや「そんなことが」と考えさせられることもある。

 遺族や家族だと立場が異なるかもしれないが、そこまで医療関係者に責任を求めるのか――と、素人目には医師や関係者が気の毒と映る面があるのも、うそではない。

 医療事故防止が何より大事だと思うが、責められたり要求されるばかりで、医師志望者が減りはしないか、心配になる。

 医師と患者、その家族の相互信頼は大切だ。だが同時に、しっかりした決まり――「法律」を整える必要がある。


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