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2008-04-09

糸柳和法のこと

11:38

今まで自分の日記で糸柳のことを書いたりしてこなかったんだけど、なんか借金も無くなったみたいだし肩の荷が下りた気がするのでこっそり書いておこうと思う。

糸柳は複数のカード会社から借金をしていて、株式会社ドワンゴから給料が振り込まれると同時に銀行から現金を引き落とさなければ、カードの支払いで無一文になるみたいな状態で、8月の給料日に寝すぎてたら銀行に行くのが間に合わなくて無一文になって家賃が払えなくなった。このままでは死ぬとか渋谷でWeb系を惨殺をするとか、そんなことをtwitterで話していたところに「住所だけじゃなくて銀行口座も公開するといいよ」と書き込んだら*1、本当に銀行口座を晒した*2のでお金を振り込む流れになった。俺は面白半分で400円振り込んで(がっかりさせようと思って)、そのあと時間差で10万円を振り込んだ。振込み人名義は「ビツクマツククエ」と「ヤチンハラエ」で、俺のほかにも二人ぐらい、小額の金銭を振り込んでいた。

ちょうど振込み手続きを済ませたぐらいの日に、糸柳とオフラインで会う機会があった。会わないでどんなやつなのか想像してた方が面白そうだと思っていたので、できれば会いたくなかった。port801勉強会というのが開催されていて、その懇親会の帰りにsendが連れてきた。jazzanovaとかダメな感じの三十代の大人たちと一緒に酒を飲んだ。糸柳は酒を飲めなかったがjazzanovaの電話で勝手に怪しいバイトの求人に応募したりとやりたい放題だった。基本的にひたすら糸柳の身の上話*3を聞かされるといった感じだった。俺は糸柳には気持ち程度のお金を振り込んでおいたと伝えた。

その後、月曜日にはした金が振り込まれて、糸柳は軽く発狂していて、その様子をニヤニヤ見ていた。他に振り込んだのはmercysluckとNStylesだが、いずれもはした金だった。その翌日に10万円が振り込まれたが、インターネットに絶望した糸柳は銀行口座のチェックを怠っていたため、即座にカードローンの引き落としに使われて預金残高が0になった。糸柳の貯金は再び0になったが、その結果クレジットカードが一枚復活して糸柳は20万円の借金をした*4。面倒くさいので10万円振り込んだのはjazzanovaということにしておいた。*5

話はこれで終わらなくて、その翌週に、発狂した糸柳の母親が不動産屋に執拗な嫌がらせをしていて、糸柳はマンションを追い出されることになって、早急に引っ越さなければならない状況になった。ちょうどその頃、週末に会社で夜遅くまで仕事をしていたら、人身事故による電車の遅延やらなにやらで、終電が混みあっていて電車に乗り損ねた。会社に戻っても良かったのだけど、サイボウズラボに遊びに行くことにした。zigorouさんに連絡したらamachangが徹夜で仕事をしているはずだというので、そのままサイボウズラボに向かった。amachangは普通に仕事をしていてJavaScriptやら次世代ブラウザやらの話なんかをした。

サイボウズラボでインターネットして遊んでいたら、糸柳がなにやらskypeで会議通話をしていて、途中から人数が増えたのでteamspeakサーバーを立てて音声チャットが開催された。俺は途中から参加した。otsuneとかlomoとかyuisekiとかkotorikoとか。あと何人か、10人以上聞いていたと思う。途中から録音されていて、何人か保存されているファイルを持っている。終わりがけの頃にヘッドフォンを片耳ずつ使ってamachangも会話に参加したりした。

糸柳は、頼れる人間が居ない、会社がつぶれて給料が出ない、精神病院に入院、といったことが重なって140万円の借金を抱えるに至った。家賃は10万円で月収が20万円ぐらいだと言っていた。どうせ10万じゃ足りなかったようだ。俺はカードローンの踏み倒し方とか、自己破産の方法とか調べながら、音声チャットで話していた。練炭を買って自殺すれば全てが解決するが飼っている猫がかわいそうだ、とか意味の分からないこと言っていた。シリアスな話になると皆が黙って、皆が黙ると糸柳が歌いだす*6。「猫を里子に出せ」と言ったら三味線の皮にされるからダメだ、という話が面白かった。全く関係ないがlomoの声はかわいかった。

糸柳は淡々とした整った文体の文章を書くし、まるで台本を読んでいるかのように喋り続けることができるので、普通に接していれば精神に異常があるようには思えない。頭が良い人間なのだろうと思う。一見正常に見えても、精神に異常を抱えた人間はあっさりと死んだりする。明日突然こいつが死んだならば、何もしなかった自分を悔やむだろうな、と思った。

俺は糸柳に100万円を貸すことにした。金利の高い借金の整理と、引越し費用に使うように。朝方に糸柳と暇人のjazzanovaがサイボウズラボに来ることになった。俺と糸柳とamachangとjazzanovaで5時間か6時間ほどファーストキッチンで話した。話がループしているのが誰の目に見ても明らかなのに、何度も何度も平行線のまま同じことを話した。jazzanovaは殆ど黙っていた。後で知ったのだけどjazzanovaは孤児院で育った。amachangはお金で解決するのは良くないと言って、最後まで反対していた。amachangは初対面の糸柳に対して、住む場所が無いなら俺と一緒に住もう、とまで言っていた。

自分でも何でこんなことになってるのか良く分からなくなっていたけれど、俺がお金を持っていて、糸柳が借金を抱えているのなら、そうするのが当然のことのように思えた。22歳の頃、何もかも上手くいかなくてダメになり、正真正銘の引きこもりになった時に、インターネットで知り合った人が助けてくれた。自己破産して生活保護状態でもネットは使えんのかなーとか、そんなことを考えた。amachangはネット回線を引いてないみたいなことを書いていた*7ので、amachangと一緒に住んだら糸柳は死ぬんじゃないかと思った。最低限の生活で生きていけるのなら、日本の社会制度を最大限利用すれば、まず死なないだろうけれど、最低限の生活をしたら多分糸柳はあっさり死ぬ。少なくともネットからは消える。

俺はお金に困ったことが無い。両親とも健在だったし、ネットさえあれば欲しいものは手に入った。親に頼って生きるのも会社に頼って生きるのも、大して変わらないと思ってた。でも、職を得て仕事をして、金を自由に使えるってことは素晴らしいことだと理解した。引きこもりが人に金をあげたいからと言って親から100万円を引き出すのは無理で、仕事をして貯金をして初めて自分はそういうことができる立場になったのだと思った。インターネットで知り合った人間に気まぐれで100万円を寄付するようなことがもっとあっても良いと思う。そういう社会を実現するためには積極的に実践していくしかないのだし、俺はいずれ大金持ちになるのだから100万円程度の金の使い道に悩む必要は無い。*8

人助けでもなんでもなく、単なる面白半分の気まぐれだ。念のため書いておくと、俺は大金持ちでもないし慈善事業に興味は無い。単に糸柳がインターネットから消えたら面白くないなと思っただけだ。母親はどうかわからないが、父親は多分褒めてくれるだろう。糸柳の母親は発狂していて、父親は自殺している。俺は恵まれているし、早急にお金が必要になるようなことも無い。

コンビニで100万円の現金を下ろして、糸柳に手渡した。最初から返ってくることなど期待していなかったが、110万円以上の金銭を受け取ると贈与税*9がかかるので借金ということにした。ネットで借用書のテンプレートをダウンロードして、サイボウズラボのプリンタで印刷して、その場で互いの住所と本名を書いてハンコを押した。百万程度の金額で俺を殺しにくるなと散々念を押した。

100万円を渡す様子はustreamで中継して録画*10していたのだけれど、amachangからサイボウズラボのロゴが映ってるから撮りなおしてくれと言われた。俺は「プログラマを助けるのにサイボウズラボを使って何が悪いのか」などといって押し通そうとしたが、新入社員のamachangがかわいそうなので、もう一度撮影しなおした。次の日ぐらいにamachangがお金の使い道について悩んでいるみたいな記事*11を書いていて、IRCで経緯を話すと、otsuneが「malaもamachangも自分の成功体験を人に押し付けたがるタイプだな」ということを言っていた。糸柳とはその後も何回か会う機会があって、風邪を引いて寝込んでいるときに見舞いに来てくれたり、一緒に美術展を見に行ったり*12した。

書くの忘れた。サイボウズラボの秋元*13さんが「20万?OLの給料じゃん、それ」と言っていて、お前はブログ書くだけでどんだけもらってんだと思った。

それから色々あって、今年の三月の初めに俺が京都に引っ越すということになって渋谷の北海道で小規模な送別会をやった。小規模といっても30人ぐらい集まった。この際だから糸柳との関係も全て終わりにしようと思って、tokuhiromに頼んで手回しのシュレッダーを買ってきてもらった。100万円の借用書をシュレッダーにかけて*14、細切れになった借用書を記念品として参加者に配ろうと思っていたのだが、糸柳が全部食べてしまった。そんなわけで、糸柳は翌朝のうんこをタッパーに保存して冷凍した。100万円がうんこになった。

その後の流れはこんな感じ

http://d.hatena.ne.jp/kotorikotoriko/20080327/1206624579

http://q.hatena.ne.jp/1206690838

http://d.hatena.ne.jp/kotorikotoriko/20080409/1207674335