京都市へ出向いた先日のこと。岡山県和気町出身で、奈良末期から平安初期に活躍した高級官僚・和気清麻呂(七三三〜九九年)をまつる護王神社を訪ねました。別の仕事の合間に突然訪問したにもかかわらず、笑顔で気さくに応対してくれた若い神職さん。「実は僕も岡山出身なんです」
岡山、広島、香川県をエリアとする山陽新聞社だけに、新聞の発行されていない関西、東海地域では取材の際に社名を告げても、どこかの全国紙と勘違いされたり、会社の素性を尋ねられたり…と、なかなか手間のかかることも多いです。それだけに、思いがけない県出身者との出会いはうれしいものです。
大阪支社では、四月から月一回程度の連載で、関西・東海エリアで活躍している岡山県出身者を紹介する一ページ特集「ふるさと人語り〜関西・東海編」を始めました。毎回、テーマごと五人に登場してもらいます。
「食」に携わる企業幹部や料理人に登場いただいた第一回で感じたのは、古里への思いの熱いこと。若いエネルギーをもてあまし家出同然で県外に出たが、「やっぱり古里が好きなんですよ」と話した男性の言葉が妙に印象に残ります。今月末掲載予定の第二回は画家の皆さん。独自の世界観を持つ人たちのアトリエ訪問は、非常に興味深いものがあります。
今回の連載では、以前に取材した方の紹介で“発掘”できた県出身者も登場。紹介リレーでゲストを迎える昼のテレビ長寿バラエティー番組よろしく、新たな出会いを求めて…。“ふるさと人”万歳―。
(大阪支社・大本哲弥)