後期高齢者医療制度の最初の年金天引きから1ヶ月が経ちました。厚生労働省は制度開始後初めて全国の地方自治体の担当者を集め、制度の円滑な運用への協力を求めましたが、地方からは国への要望が相次ぎました。
「分かれば分かるほど、いかにひどい内容であるか・・・」。降りしきる雨のなか、厚生労働省前に集まった600人のお年寄りたち。
「手直しなんて必要ないですよね。(制度を)なくすことですよね」(抗議活動に参加した80歳の女性)
お年寄りが声をあげて反対しているのは、後期高齢者医療制度です。
そうした中、国は制度開始後、初めて全国47都道府県の担当者およそ190人を集めた会議を開きました。冒頭、挨拶した厚労省の江利川毅 事務次官。「骨格は変えないが、運用上、改善を図りながら制度を定着させたい」と協力を求めました。しかし、この制度を直接扱う地方からは、国への不満と要望が相次ぎました。
<年金からの保険料天引きは継続してほしい>
「(天引きをやめると)システム上、本当に間に合わない。それで苦情が来るのは市町村。“国が勝手に”と言ったら悪いが、上の方で決まりまして、おりてきて困るのは市町村、都道府県」(奈良県の担当者)
<これまで被扶養者として扱われていた人の情報がない>
「情報が来ないとなると、凍結対象者なのに対象者でない人が出てきてしまう」(福井県の担当者)
さらには、「周知の面で高齢者の方に 理解してもらえなかったのが問題」(大分県の担当者)。高齢者向けに制度を分かりやすく説明するための資料、時間、費用がなかったというのです。
会議の最後に、厚労省は、天引きの見直しは現在、検討していないと明言。その上で、制度の改善のため保険料がどう変化したのか調査を行うので、協力をお願いしたいと要請しました。(14日18:30)