福井県コミュニティビジネス推進協議会

~この街に住まう人が、安心して安全に優しい気持ちで暮らせるような福祉住環境整備を提案~

○申請団体名: 特定非営利活動法人 ふくふくネット
○認証事業名: 福祉住環境コーディネーターによる福祉住環境整備事業

~福祉住環境コーディネータ~

 NPO法人ふくふくネットは高齢者のいる住宅を住みやすい住環境にしようと、建築士、医師、介護福祉士、福祉具販売業者等、各分野の有資格者が集まり2004年の3月に発足しました。理事長の谷口さんは一級建築士であり、福祉住環境コーディネーターの資格も持っています。福祉住環境コーディネーターとは、高齢者・障害者・健常者に対してバリアフリーの提案や福祉用具の提案などを行い、総合的な視点で住みよい住環境を提案するアドバイザーです。
  ふくふくネットではこれまで高齢者、障害者の住まいの相談室を始め、福祉住環境コーディネーター試験対策講座も開催するなど人材養成も行ってきました。

 

~家具転倒対策事業~

谷口さん ふくふくネット理事長の谷口さん

 福井県は1948年の地震による被災から今年でちょうど60年経ています。統計上では福井県で30年以内に地震が起きる可能性は約0.2~0.4%と低いものの、ゼロではありません。阪神・淡路大震災や、能登半島沖地震のように突然地震が発生する例もあるので、地震に対する防災の知識を蓄え、対策を考える必要があります。また、谷口さんは地域の消防団員として防火診断等で住宅を訪問することがありますが、単身高齢者、高齢者夫婦だけの住まいも多く、地震が起きた際の防災が十分ではない住宅が多々あると言います。

  地震による人的被害の中でも、「家具類の転倒や落下物」による負傷者は多く、家具転倒によっての打撲等直接的な被害はもちろん、転倒した家具が逃げ道を塞いでしまい逃げ遅れてしまう等の間接的な被害もあるため、最近の地震では、人的被害の全体の5割近くを占めていることが判っており、家具転倒防止対策の重要性が再認識されています。東海地震の被害が想定されている太平洋側の地域では、防災意識が高まってきており、特に静岡県では、行政の補助もあり、家具転倒防止や家屋の耐震化に対する意識も非常に高く、家具固定率も5割以上に上っています。しかし、太平洋側とは反対に、日本海側のほとんどの地域では地震への危機感が薄く、実際に家具転倒防止をしている住宅も少ない状況にあります。そこで、福井県でも家具転倒防止事業を行うことにより、地域住民の防災の意識を高め、家具転倒による被害を少しでも減らしていくことを目指し、今年度から、コミュニティビジネスとして家具転倒防止事業を始める事にしました。この家具転倒防止事業を始めるのは福井県ではふくふくネットが初であり、福祉住環境コーディネーターの活動の場も広がると考えています。

 事業としては、家具転倒防止の重要性を知ってもらうために、公民館等で基礎講座(座学)を開催、その後、基礎講座受講者を対象に窓ガラス飛散防止フィルム張り替え等、実際に家具転倒防止器具取り付けを体験してもらう実践講座との二段階での講座を予定しています。実践講座の受講者は、ふくふくネットの家具転倒防止ボランティアとして登録することも出来ます。

 また、家具転倒防止の依頼には、ふくふくネット所属の建築士が事前調査、概算見積りに行きます。家具転倒防止には、家具を固定することが効果的なのですが、固定する金具の種類も多様で、それぞれの家具の固定に適したものを、適した場所に取付なければ、効果があまり得られません。また、家具の転倒を防ぐための固定も必要ですが、家具の置き場所を見直すだけでも防災になると谷口さんは言います。専門家による調査で、依頼者の意向と予算に合わせた提案を得られ、転倒による被害も最小限に止めることが出来ます。その後、説明を聞き、実際に施行を希望された際にはふくふくネットの登録ボランティアが施行を行います

~第一歩!~

 福井県内では地震がしばらく発生しておらず、家具転倒防止は元より防災に対しての意識も低いため、今年は啓発広報活動を中心に行う予定です。その第一歩として今年の3月に「福祉住環境コーディネーター協会」との共催で、『家具転倒防止の視点から、福井の住環境を考える集い』をテーマに福井タウンミーティングをAOSSAにて開催しました。当日は、福祉住環境や、家具転倒防止に興味のある約30人の方が参加し、中には学生さんや、高齢者の方もいらっしゃいました。

 基調講演では、徳島市と協働という形で家具転倒防止事業を積極的に展開している「NPO法人阿波グローカルネット」の代表理事である本田圭一さんから、家具転倒防止事業の啓発活動には行政との協働が必要であること、その難しさなどについて講演がありました。続いてパネルディスカッションでは、コーディネーターに福祉住環境コーディネーター協会理事である芳村幸司さん、パネリストに本田さん、谷口さん、そして、消防署から加藤正一さんを迎え、家具転 倒防止の視点から福井の住環境について意見交換が行われました。芳村さんは、「一人一人の防災への意識を変えていくことにより、視点が変わっていく。視点が変わることにより、気持ちが変わり、アクションに繋がる。マニュアルに頼らず、要支援者としてではなく、自分も要援護者に十分なり得るという気持ちを持たなければならない。」と呼び掛けていました。参加した方達にとって家具転倒防止の重要性を知るいいきっかけ作りになったのではと思います。

~福井大震災から60年~

 今年は、福井大震災からちょうど60年ということもあり、行政・メディアなどの関心も高く、年末には全国の活動組織が集まる福祉住環境ネットワーク会議が福井県にて行われるなど、ふくふくネットでは家具転倒防止を始めとする、防災意識を高める絶好の機会と考えています。これを機に、いろいろな組織と協働関係を図り、家具転倒防止事業の実例を作りたいと谷口さんは言います。その実例を、地域住民に公表することにより家具転倒防止の重要性の認知を広め、ひとりひとりの防災、住環境に対する意識を高めることによって、ふくふくネットの目指す安心安全の街づくりに繋がっていくのではないかと期待されます。

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