死因究明制度に「原則賛同」―日病協

 日本病院団体協議会(日病協、山本修三議長)はこのほど、厚生労働省が創設を検討している「死因究明制度」の第三次試案について、「原則賛同」との見解を表明した。ただ、加盟団体からは、「再発防止」と「責任追及」にはそれぞれ別組織が当たることや、医療安全調査委員会(医療安全調、仮称)の調査結果を捜査機関への通報などに使用せずに、「公表にとどめる」ことを求める意見が出ており、医療安全調の運用については異論を示している。

 日病協は「医療の安全の確保の観点から、医療死亡事故についての分析や評価を専門的に行う機関を設ける必要がある」として、「原則賛同」との見解を表明した。その上で、加盟団体からの意見を列挙して、早急な検討を求めている。

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■調査結果は「公表にとどめるべき」―加盟団体
 加盟団体からは、医療安全調の運用について再検討を求める意見が多く出た。
 「試案の枠組みでは、安全確保と再発防止という目的達成は不可能」として、安全確保と再発防止は医療安全調が担うが、責任追及や処分などについては別の組織が行うべきと主張した。
 また、試案では、医療安全調が故意や重大な過失であるかどうかを判断することについて、「この判断は医学的な判断で、法的評価を行うものではない」とする一方で、「捜査機関に適時、適切に通知を行う」との文言が盛り込まれているため、「矛盾する」と指摘。その上で、再発防止に役立つような匿名性を確保した公表にすべきで、捜査機関への通報に使われないような仕組みを求めた。
 「重過失」の定義があいまいで、誰が判断するかなども定まっていないため、運用上混乱を招くことへの懸念も示している。
 「届け出」に関する考え方を示した試案の図についても、「『明らか、明らかではない』『予期しなかった、していない』の定義が非常にあいまい」と指摘。定義に紛れがないよう、医療関係者にも理解できるよう明確に記述すべきとした。解剖については、医療安全調による解剖が病理解剖や行政解剖、司法解剖などのうち、どの位置付けに当たるかをはっきりさせるよう要望した。
 試案は「(医療安全調は)責任追及を目的としていない」としているが、調査結果が行政処分の根拠として用いられる内容のため、「行政処分の範囲を拡大する」として、これを削除すべきと主張している。


更新:2008/05/14 21:53     キャリアブレイン

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08/01/25配信

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医師の山田規畝子さんは、脳卒中に伴う高次脳機能障害により外科医としての道を絶たれました。しかし医師として[自分にしかできない仕事]も見えてきたようです。