厚生労働省は14日、後期高齢者医療制度で導入した「高齢者担当医」の届け出数が、4月14日現在8876件で、同省が届け出を当て込む内科開業医(3万7356カ所)の23.7%にとどまっていると発表した。地域別では青森県は届け出が1件もなく、医師会が担当医反対の急先鋒(せんぽう)の茨城県が6.1%にとどまるなど10府県が10%未満。最も多い鹿児島県は86.3%で地域間で普及度合いのばらつきが目立つ。
高齢者担当医は月に1度、新設の診療報酬「後期高齢者診療料」(月6000円)を請求できる。糖尿病など慢性病患者のかかりつけ医として年間治療計画を作成し、継続して診療することが条件だ。治療や検査費の一部を定額にし、過剰診療を防ぐのが狙いだが、多くの地方医師会は反発し、担当医の届け出をしないよう会員に働きかけている。
届け出が少ない背景には、厚労省が「主な病気を診る医師は1人」と説明し、地方医師会の間に「患者の奪い合いになる」との懸念が広がっていることがある。厚労省は14日、広域連合の担当者を集め、低所得者への負担軽減策などの見直し案作りに着手したが、茨城県広域連合代表は「今まで通りの医療を受けられるというなら、医師会は反発しない」と発言した。【佐藤丈一】
毎日新聞 2008年5月14日 19時01分(最終更新 5月14日 19時08分)