県立医大付属病院(橿原市)で進んでいた総合周産期母子医療センターの整備工事がほぼ完了し13日、報道陣に公開された。県は26日にセンター指定し開設する。同センターは、一定以上の専門病床を備え、高度な母子医療を提供する施設。一昨年の大淀町立大淀病院の妊婦死亡問題などを受け整備が急がれていた。看護師不足のため一部の新生児集中治療室(NICU)が稼働できないといい、課題も残る。【中村敦茂】
厚生労働省は各都道府県に今年3月までのセンター整備を求めていた。県も期限内を目指していたが、電源装置の容量増など追加工事が発生したため遅れた。全国では45番目となる。
センターは産婦人科・小児科が入るA病棟4、5階の計約3100平方メートル。整備費用は工事費と分娩(ぶんべん)監視装置、呼吸循環監視装置などの医療機器を合わせ5億6800万円。
母体・胎児集中治療管理室(MFICU)は、従来の3床から18床に増える。うち12床をMFICUを退出した母子を収容する後方病床に使う。NICUは従来の21床から31床に増え、うち10床が後方病床分。全国的な看護師獲得競争の激化のあおりで人員確保が間に合わず、当初は9床少ない22床(うち後方病床10床)の運用となる。
病院によると、NICU1床の稼働に看護師3人が必要とされ、フル稼働は現在より少なくとも23人の増員が必要。榊寿右院長は「毎月採用の努力をしており、来年度までにはフル稼働を目指したい。多くの患者が来た場合は、他科から看護師の応援を求め、一時的に稼働病床を増やす」と述べた。
医師はフル稼働に最低限必要な27人を確保。当直などが過酷になりすぎないよう、更に3人の増員を目指す。
荒井正吾知事は「難しいお産を含め、県内で対応できる態勢がほぼできあがった。看護師不足などの問題は14日に設置する(有識者らの)地域医療等対策協議会で検討したい」と語った。
毎日新聞 2008年5月14日 地方版