アヘンの原料、咲き乱れ アツミゲシ自生急増 徳島2007年06月16日 アヘンの原料となるアツミゲシの自生が徳島県北部で広がっている。空き地や路肩など、あちこちで目につくようになり、保健所の職員が処分に追われている。元々繁殖力が強いうえ、温暖化の影響もあってか、近年、急増しているそうだ。花はきれいだが、放置はできず、手が足りない保健所は自治会やNPOなど民間への協力依頼も検討し始めた。
アツミゲシは地中海原産の帰化植物で約6センチほどの紫や赤の花を咲かせる。花期は4月中旬から5月下旬。背丈は50〜100センチになる。ついつい花がきれいで、自宅に持ち帰って植えてしまうこともあるほどだが、麻薬成分を抽出することもできるため、あへん法で栽培は禁止されている。 日本でみつかったのは比較的最近のこと。1960年代前半、名前の由来ともなった愛知県・渥美半島で自生が確認された。この時は警察に加え自衛隊も動員され、火炎放射器などを駆使して駆除作業にあたった。それでも根絶せず、全国各地に広がったことでも繁殖力の強さがうかがえる。 その一因は、種子が非常に小さいうえに数も多いこと。アツミゲシは花が終わると子房が膨らみ「ケシボウズ」となる。その中には、約1万個近い種子が包まれている。「芥子粒(けしつぶ)」と例えられるように数ミリ程度で、風に乗って、どんどんと生息域を広げていく。 さらに、成長するまで目立たないことも繁殖の拡大を後押ししている。空き地や中央分離帯など、他の雑草に紛れ、こっそり根付く。誰かが気が付いた時にはかなり大きくなっている。保健所の職員でさえ、「花が咲くまでは、わからない」と言うほどだ。 県薬務課によると、昨年の県内での処分数は北部を中心に約6万本にのぼり、前年の7倍以上だった。今年も既に開花期をほぼ終え、同じようなペースだという。急増の原因として推測されるのが、温暖化と少雨だ。「成長が早くなり、花に気がついて抜こうとした時には、もう種子が飛び散っているのではないか。少雨だと、種子も飛びやすい」と同課はみている。 生来の繁殖力と、最近の急増傾向。徳島保健所鳴門支所長補佐の蟻井緑郎さんは、4月上旬から、連日のように除去作業に追われている。多い日で約8千本。「どうしても人手が足りない。啓発活動や民間団体などと協力することも視野に入れている」と話す蟻井さんが求めているのは、違法だと知らずに「うっかり栽培」をしないことだ。 そもそもケシの中にはヒナゲシやブルーポピーなど違法ではなく観賞用として人気の高い種類もある。見分け方は大きく分けて二つ。蟻井さんによると、「葉の形がキザキザ」で、「茎上部の葉が茎を抱え込んでいる」場合は違法なアツミゲシだという。「そういったケシを見つけたら、すぐに近くの保健所に通報してほしい」と呼びかけている。 PR情報この記事の関連情報コミミ口コミ
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