米低所得者向け高金利住宅ローン(サブプライムローン)問題をきっかけにした国際金融市場の混乱で、三菱UFJフィナンシャル・グループ(FG)が保有する証券化商品の含み損が3000億円規模に達したことが13日分かった。20日発表する08年3月期決算で公表する。
三菱UFJはこれまで、サブプライムローンを担保にした証券化商品だけで08年3月期に950億円の損失が確定すると公表してきた。だが、サブプライム以外の資産を担保にした証券化商品にも価格下落が波及したため、追加損失の恐れがある含み損として公表する。
市場混乱のあおりで損失が膨らむ可能性が出てきたことで、三菱UFJの収益を圧迫する恐れもある。ただ、三菱UFJは積極的に財務内容を公表し、市場の不安を一掃したい考えだ。
4月に開かれた先進7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)は、市場の疑念を解消するため、主要金融機関に100日以内に損失リスクの開示を徹底するよう促しており、同様の動きが他の金融機関にも広がりそうだ。
三菱UFJが含み損を抱える証券化商品は、社債や商業用不動産向け融資などを担保に組成され、07年末の残高は約3兆6000億円。こうした証券化商品の価格が下落し、取得時の価格(簿価)を下回ったため、含み損が発生した。市場の動揺が続いて、価格が今後、簿価の半分を下回ると損失が確定する。
これとは別にサブプライムを担保にした証券化商品の残高は07年末で約3350億円。価格が簿価の半分を下回った約950億円を08年3月期の損失として確定する見通しだ。【斉藤望】
毎日新聞 2008年5月14日 2時30分(最終更新 5月14日 2時30分)