2008年05月14日
中国は四川大地震をどう報じたか?
――新華社独占報道の功罪
たとえば、ある研究者はネット上の書き込みやブログを通して2月の時点で地震発生の可能性を指摘していた。彼は潮の流れなどを分析して5~6月の地震多発の可能性を示唆し、同時期の胡錦濤の日本訪問に疑問を呈している。
確かに、仮に今回の地震が少しずれていたら国家主席不在のままの緊急事態になっていたはずだ。ちなみにこの研究者は5月15日、そして20日から22日にかけてまた強い潮が起こることを指摘して注意を促している。
突然画面が切り替わった
国務院の記者会見
これに関連して、なんと一部の地方地震局が事前に地震の情報を察知していたという未確認の情報もネット上を飛び交っている。また、ある地方震防災機関のサイトが5月初頭に住民の間に広まっていた地震の噂を否定する告知をしていたということが一部で取りざたされている。だが、これに関する記事はネット上でもブロックされてみることができなくなっている。
さらに、13日の午後に行われた国務院の公式記者会見でも、地震の予測に関しての質問が出たが、記者の質問中に突然画面が切り替わって記者会見は終了したという。
ある中国人研究者は、筆者との電話インタビューの中で、中国政府は公式には地震は予測不可能という立場をとっていること、明確な地震予測の発表は違法であることを挙げ、地震情報の扱い方の難しさを指摘した。
いずれにせよ、事実上の報道管制を敷いている中国でも、情報の配信や分析が集団知性に任されるようになってきているのは事実である。後は、今回の地震が、本質的な意味で、中国を情報公開に積極的な国にしていくターニングポイントになるかどうかだ。
(ジャーナリスト 三田村穂世)
第2回 | 中国は四川大地震をどう報じたか? ――新華社独占報道の功罪 (2008年05月14日) |
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第1回 | 情報セキュリティのコストが高すぎることはない (2008年04月14日) |
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