現在位置:asahi.com>ビジネス>ロイターニュース> 記事 インタビュー:若い世代に照準、低コスト国際分散投資ファンドで攻勢=楽天投信2008年05月13日18時25分 [東京 13日 ロイター] 国内最大のインターネットショッピングモールを運営する楽天<4755.Q>グループの運用会社、楽天投信の小川秀夫代表取締役社長は13日、ロイターとのインタビューで、これから資産形成が必要な若い世代をターゲットに、低コストで長期的な資産形成が可能な国際分散投資型ファンドを提供していく考えを示した。 「すべては10年先に向けてのプロジェクト」と語る小川氏は、楽天グループの顧客基盤を活かし、これまで投資とは縁のなかった顧客層に、投資信託を通じ長期投資が定着していくことを期待している。 インターネット利用者の2人に1人が楽天グループの会員といわれる中、楽天グループの新たな挑戦が静かにスタートを切った。 インタビューの内容は以下のとおり。 ──会社設立の経緯は。 「グループ全体の話に及んでくる。インターネット利用人口が9000万弱と言われる中で、楽天市場をはじめ楽天のグループ会員は約4400万人となっている。2人に1人が何らかの形で楽天を利用している格好だ。最大の顧客基盤は20─40歳台で全体の4分の3を占めている。一方、楽天証券の口座数は4月末現在で78万強。母体がDLJディレクトだったこともあり、どちらかというと玄人好みのオンライントレード証券だった」 「そのような中、世の中で面白い現象が起きている。若い世代の貯蓄性向が高くなっている。社会全体に地殻変動が起きていると言っても過言でない。年収250万円の若者が年間100万円を貯蓄しているという話さえ聞く。将来に不安を覚えるからこそ、今から備えなければという意識が高まってきているのではないか」 「他にも金融商品取引法の施行で、ネット上での投信販売に意味が出てきた。多忙な若い世代が日中に窓口に並ぶことは難しい。ましてや長時間にわたり説明を受けてからでないと商品が購入できない窓口販売は若世代には煩わしい。50─60歳台でさえ、基本的なことを長時間にわたって聞かされては煩わしいと感じる人もいるほどだ。ネットなら情報の取捨選択は自由。知りたければ自分で納得するまで答えを探しに行ける。(金商法の施行により)楽天証券が投信の取り扱いでネット証券最大の本数を揃える意味が出てきたといえる」 「ネット人口の増加や若い世代の貯蓄性向の高まりなど、日本の社会現象の急変は、そろそろ(これまであまり投資とは関わりのなかった)一般の顧客層を取り込む時期に来ているのではないか、ということだ」 ──楽天投信が立ち上げるファンドについて。 「これまで投資とはあまり縁のない、これから資産を形成しようとする層をターゲットにしている。楽天投信のオリジナルファンドなので、できるだけシンプルで行きたいと考えた。また、若い世代の将来の資産形成を考えるなら20年、30年といった長期でのお付き合いとなる。国際分散投資型のファンド・オブ・ファンズが最適と判断した。長期でお付き合いいただくためにも、投資コストもできるだけ低くしようとノーロード(無手数料)ファンドとした。信託報酬も抑えた」 「楽天証券が取り扱ってきた従来の投信とは違うスタイルの投信を立ち上げることで、楽天証券の顧客基盤を拡げることにもつながり、楽天市場の顧客を呼び込むことにもつながればと思っている。顧客基盤の拡大は投資家層のすそ野の広がりを意味する。日本の証券市場の拡大にもつながる」 ──今後の組み入れファンドについて。 「当面は日本株と欧州株、エマージング諸国の株式に投資する3本のファンドの組み入れで行く予定だ。国際分散投資といいながら、最大の投資先である北米が投資先に入っていないことに関しては、サブプライム問題をはじめ現在の米国の状況から判断し、当初は組み入れないことに決めた。もちろん、常に組み入れ対象となりうるファンドはリストアップし、状況に応じ組み入れられるような体勢にしておく」 ──今後の新ファンドについて。 「会社として、現時点では『楽天株式ファンド』1本のみの設定でやっていくつもりだ。スロースターターでいい。まずはファンドの金額(規模)うんぬんではなく、小口でもたくさんの顧客が定期買い付けでファンドを購入してくれることのほうが嬉しい。定着してくれることが先決だ。今は小口でも、それが将来につながっていくことを期待している」 (ロイター日本語ニュース 岩崎 成子)
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