5月4日といえば、中国では1919年に起きた五・四運動の記念日。3年前の春に吹き荒れた反日運動では、この日に大変なことが起きるのではと危惧されたものです。
3年前は、NYTのオーニシさんのように、ここぞとばかり日本を糾弾する工作員もいれば、中国の悪乗りを非難する声もあれば、お決まりの喧嘩両成敗的な論調もありと、欧米の識者の意見は定まりませんでした。ただいずれにしても中国の反日活動は大きく報道され、「中国人と日本人はものすごく仲が悪い」という印象を市井の人たちに残したことは確かです。
去年の秋、東南アジアを旅行したときに、イングランド人のカップルと1日過ごす機会がありました。フットボール好きで、涼しい顔して超早食いで、ブリティッシュという単語は絶対に使わずにイングランド人であることを強調し、日本というと変な日本人モドキが出てくるバラエティ番組のことがまず浮かぶという、ごく平均的なイングリッシュ・カップルです。
日本について聞きたいことがあるという男性の方が、「失礼な質問やめなさいよ」という彼女の制止を振り切り最初にした質問は、「日本人てほんとにテレビで見るみたいなおじぎするの?」
そんな普通のイングリッシュマンが2番目にした質問が、「何で日本人と中国人は仲が悪いの?」でした。それほどまでに、あの事件の印象は強かったということです。
ところでぼくは、そう質問されて答えに困ってしまいました。シリアスに議論するというのだったらいくらでも説明できますが、彼はもっと軽い好奇心から聞いているにすぎません。
くどくどと長い説明をしても怪訝に思われるだけで、たぶん彼を納得した気にさせることはできません。論理ではなく、感覚で理解しあえる共通の「符号」が見つからないのです。
仕方がないので、「お隣同士というのはどこもいろいろあるんじゃないかな」とお茶を濁すと、「そうか、イングランドとフランスみたいなものなのかな」と、大いにずれてはいますが、とりあえず彼の持つ符号のレパートリーのひとつをクリックして、話題はフットボールに移りました。
今、中国国内のみならず、世界中の都市で紅い旗を振り回す中国人の異様な愛国活動を、3年前の反日活動に比べる論調をあちこちで見かけます。
もし今彼に「何で日本人と中国人は仲が悪いの?」と聞かれたら、答えは簡単です。
というより、たぶんそんな質問をする人はもういません。
どこの国の政治家や企業が中国人の抗議活動に屈しようと、中国人は今回の一連の愛国行動で、世界中に共通の符号をばらまいたのです。それは10年や20年では消えません。
2008年05月04日
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本当に有り難うございました。
というより、たぶんそんな質問をする人はもういません。
そうなんだ。ありがたい。
ついでに中韓と日本は全く別物だという認識も、世界中の人にしっかり根付いて欲しいです。
フランスのカルフールだけでなく、アメリカ企業相手にも一発かまして欲しいもんです。期待してますよ、中国様!
見た目がよく似ている人種というのは困ったもんです。
しかしコキントー来日報道を思うとまた気が重い。
「そこまで言って委員会」出演者らの在京キー局放送反対理由を知り、首都圏に住んでいるがゆえに今まで情報貧乏にされていたのかとショックでした。
然し現実にはあちらには支那も日本も似た様なモンだと思ってる人々はマダマダいっぱい居るんでしょうね。
今年MLBが支那へ行って大ゴケした様ですし。
そのため、「1000年以上、異なった社会制度と(欧米諸国と比べれば)ほとんど没交渉の中、全く異なった歴史や文化を育んだ二つの民族が、仲が良いと考える方がどうかしている。個人の倫理観すら全く違うんだから」というところから一々説明せざるを得ませんでした。ですから、今回のことで中国の『異質性』が世界中に広まったことは、日本にとってありがたいことです。このまま北京オリンピックまで狂騒が続き、100年や200年では消えない印象を残してもらいたいものですw
伝統的に支那の王朝は「対等な」外交関係を認めてこなかった、周辺諸国は東夷、西戎、南蛮、北狄として「野蛮で下等民族」(もっと言えば動物以下)なので、支那を「中華」と崇めなければならないと支那は勝手に思っている、ということをさらっとでも教えないと。
呼び出しを受けて中国出張をしてきた友人の話。
その後の夕食でそのイギリス人に対して曰く、
日本人の感覚から言えば、北京は距離的には近いのだけれど心理的には遠い所で、
きっとイギリス人にとってはパリじゃなくモスクワという感じじゃないのかな、
日本人にとってのドーバー海峡の向こう側はただのコンチネンタルなところじゃなく、
ずっと異質な世界だということを言ったら妙に納得されてしまったとのこと。
学校で魏志倭人伝や後漢書東夷伝のタイトルの意味は習うものの、今の中国人がどんな考えでいるのかはあまり伝えられる事がないですから。
それと80年代までの中国人もビックリの中国美化報道のイメージから未だに抜けられない人もいるでしょう。
天安門事件の少し後、中国人留学生に「中国には泥棒がいなくて、飛行機でボールペンを忘れても後で届けてくれる、と新聞で読みましたよ」と言ったら、仰天され「ハハハハハ、ウソですよ、そんなの絶対ウソですよー」と笑われました。あの記事は一体何だったのだろう・・・
80年代まで、中国に行ける人は限られていましたから、特別待遇の方の経験談かもしれません。その時期までの中国では、外国製品を入手することは困難で、もし持っているとすれば、個人的に外国と接触している=スパイ、という疑いをもたれたりしたようです。
「パスポートや財布(外国人用の特別紙幣しか入っていない)を置き忘れても盗られていない(使いようがない)。もし、盗むとしたら外国人だ。」なんて、今では信じられないようなことが実際にありました。
それほど、監視社会・密告社会は恐ろしいものです。
プログ作者の人柄が出ていて気持ちが良いです。
ただコメントを書く方々の感情的なものには賛成できません。
5月6日火曜日
・17:30(予定) 専用機にて羽田空港到着。
・19:00 福田康夫首相主催の夕食会=松本楼(千代田区日比谷公園)にて。
5月7日水曜日
・09:00 皇居にて歓迎式典。天皇陛下への謁見。
・10:30 首相官邸にて日中首脳会談(〜12:00)。
・12:00 日中共同記者会見。日中共同声明署名式(〜12:40)。
・13:00 御手洗冨士夫日本経団連会長主催の昼食会(〜14:30)。
・15:00 ホテルニューオータニにて各党幹部、創価学会の池田大作名誉会長と会談。
・19:30 天皇陛下主催の宮中晩餐会。
5月8日木曜日
・09:00(予定) ホテルニューオータニにて中曽根康弘元首相ら首相経験者との朝食会(但し小泉純一郎元首相は欠席)。
・10:00 議長公邸にて衆参両議院議長と会談(〜11:20)。
・12:00 日中友好団体主催の歓迎パーティー=グランドプリンスホテル赤坂(〜13:00)。
・15:00 早稲田大学大隈講堂にて講演。早稲田大学国際コミュニティ
センターで日中青少年友好交流年日本側除幕式に出席。
福田康夫と卓球(ピンポン外交)。
・19:30 首相官邸にて福田康夫主催の晩餐会。
5月9日金曜日
・09:00 ホテルニューオータニにて在日チャイナ大使館員や留学生、駐在員らと朝食会。
・10:00 天皇、皇后両陛下にホテルニューオータニへ訪問して頂く(〜10:30)
・11:20 JFEアーバンリサイクル施設(神奈川県川崎市川崎区水江町)を視察。
・12:30 松沢成文神奈川県知事主催の昼食会。
・14:00 横浜中華街や横浜山手中華学校を視察。
・16:00 羽田空港より専用機で伊丹空港へ移動。
・18:40 橋下徹大阪府知事と会談。関経連、関西経済同友会ら主催の歓迎レセプション=リーガロイヤルホテル。
5月10日土曜日
・09:00 リーガロイヤルホテルから奈良に向けて出発。
・09:50 法隆寺、唐招提寺、平城京跡を視察(〜12:15)。
・12:30 荒井正吾奈良県知事主催の昼食会=奈良新公会堂。
・14:40 大阪へ移動。
・16:00 松下電器産業尼崎パネル工場を視察。
・19:00 在阪チャイナ総領事館員や留学生、駐在員らと夕食会=リーガロイヤルホテル。
・21:00(予定) 専用機にて伊丹空港出発。
天皇皇后両陛下が胡錦濤の宿泊先ホテルに「御見送り」に行かれる件ですが、ネットなどに書き込まれた意見の中に「天皇陛下が国賓を御見送りをされるのは、通例なのだから、抗議の対象ではない」といった主旨のものが多くみられます。
しかし、既に中国によってこの「ご訪問」を政治利用されていることが5月4日付けのChannel News Asiaの記事によってわかります。