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そこにある憲法:/4 景観巡り権利が衝突 /京都

 ◇マンション建設紛争

 西京区の桂坂地区。この閑静な住宅街の入り口となるロータリーの背後は緑の丘、遠くには山の稜線(りょうせん)を望むことができる。1年前、ロータリーに面してマンションが建つと知った住民は驚き、そして「桂坂マンション対策会議」を設立した。

 地区のほとんどは「第1種低層住居専用地域」で、住民らは「こう配屋根」「高さ10メートル以下」など厳しい建築協定を結んで環境を維持してきた。しかし、建設予定地は隣接する「近隣商業地域」の一角。5階建て15メートルの高さも違法ではない。業者と住民側の話し合いが続き、市への開発許可申請は出ていない。

 対策会議世話人の一人、千村盛幸さん(60)は「見えて当然だったものがさえぎられる。利益の侵害だ」と憤る。「問題が持ち上がってから、京都市内であった景観紛争の体験者に会ったりして勉強しました」と世話人代表の田中守さん(65)。それでも、憲法とのつながりを意識したことはなかった。「憲法を意識するととたんに話が大きくなり過ぎるような気がする」からだ。

 だが実際には、景観紛争は憲法を避けて通れない。地区の住民で弁護士の坂本正寿さん(66)によると、関係するのは「生命・自由・幸福追求の権利の尊重」を規定した13条、それに25条の「生存権」も絡む。一方、開発する側にとっては29条の「財産権」がバックボーンになるという。

 立命館大学の見上崇洋教授(行政法)は景観紛争の解決について「開発側が地域の特性に配慮しないのは問題だし、住民側が感情的に排除するのもおかしい。地域によって景観の内容が違い、その地域ではどの程度のものが可能なのか話し合うべきだ」と指摘。その上で「自分の権利だけでなく、他者の権利にも目を向けて考えること。それが憲法を具体的に感じる方法でもある」と話す。【大西康裕】=つづく

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 ◆憲法第13条

 すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。

毎日新聞 2008年5月4日 地方版

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