米軍解雇 無効と提訴へ/元従業員、国相手に
米軍キャンプ瑞慶覧(北中城村)にある在沖米海兵隊福利厚生施設MCCSの元従業員安里治さん(46)が、米国人上司からパワーハラスメントを繰り返され、不当に解雇されたとして、二十二日にも国を相手に解雇処分取り消しを求める訴訟を提起する。十三日、沖縄防衛局を訪れ、趣旨に賛同する同僚や支援者ら五千七百三十二人分の署名を提出した。
安里さんによると、二〇〇三年ごろからパワハラを受け、心身に不調を来した。同様に嫌がらせを受けたという別の上司に対し、慰める目的で方言で「何かあればウチクルスサー」と発言したところ、上司に報告され、米軍側から「殺すと脅迫した」と見なされた。
〇七年、暫定出勤停止処分、その後も「職場の秩序を乱した」との訓戒を受け、弁明書や苦情申し立ても却下されたという。同年十二月、懲戒解雇処分となった。
十三日、防衛局側と面会した安里さんは「防衛局は独自に調べず、『米軍の調査を基に解雇を決定した』と明言した。雇用主としての誠意が見られず、責任も果たしていない」と批判。「米国人上司の都合で嫌がらせを受けて苦しむ仲間がたくさんいる。司法に訴えることで人権を取り戻し、これ以上被害者を出さないようにしたい」と訴えた。
同行した全駐労マリン支部の仲里修委員長は「裁判に向け、支部として可能な限りの支援態勢をつくっていきたい」と話した。安里さんの解雇をめぐっては、全駐労組合員を中心に地域住民などが撤回を求めて署名した。
米軍基地従業員の解雇の最終責任の所在について、沖縄防衛局は「日米間で合意した労務提供契約に基づき手続きが行われ、日米が合意した場合に、従業員への解雇を含む制裁措置が取られる」としている。
米軍側は安里さんへの解雇予告通知書で、上司や同僚への聞き取りなどから「殺す、もしくは危害を加える、という脅迫は深刻で信じるべきである」と結論付けている。