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【神奈川】

『地元で出産』要望応え 鎌倉に全国初の医師会立産院

2008年5月14日

調印式を終え、握手する石渡市長と細谷明美市医師会長(右)=鎌倉市役所で

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 「地元で安心して出産できる環境を整えてほしい」−。そんな市民からの切実な要望に応えて鎌倉市内に来年二月、全国初となる医師会立産院が開設される運びとなった。鎌倉市医師会と市が一昨年から話し合いを進め、二年越しで実現のめどが立った。出産施設の不足は全国的にも深刻な問題であり、医師会立産院は一つのモデルケースとして注目されそうだ。 (松平徳裕)

 医師会によると、産院はJR鎌倉駅から徒歩二分の旧デイケア施設を活用する。約四百五十平方メートルの敷地に、二階建て延べ床面積約六百四十平方メートルの建物で、市が一億七千六百万円を投じて八月から改修工事に入り、来年一月にしゅん工する。九床程度のベッドを備える予定だ。

 スタッフの体制は、産科医三人(常勤二人)に小児科医一人(非常勤)のほか、常勤の助産師七人と看護師五人、薬剤師一人(非常勤)、事務五人など。これらのスタッフは医師会が今後募集し、雇用する。

 出産取扱件数は初年度の二〇〇八年度は、オープンする来年二月と翌三月の二カ月間の診療で計六十件の予定だ。これ以降も「医師確保のため、医師の負担軽減に配慮する必要がある」として、月間三十件程度にとどめる計画で、〇九年度以降は年間三百人台としている。

 市は人件費や薬品・衛生材料費などを含め運営費として、〇八年度は一億二千五百万円を補助するほか、産院の収益が見込まれる翌年度以降も年間三千万円程度を補助する。

 十三日に鎌倉市役所で石渡徳一市長と同医師会の細谷明美会長が調印した協定書には、産院運営に伴って紛争や訴訟が起きた場合には、市が支援するという一項も盛り込まれた。

 産科医は、長時間労働やお産事故に伴う訴訟のリスクなどを背景に、各地で不足。市内でも出産を取り扱うのは〇六年四月の時点で湘南鎌倉総合病院だけとなり、年間約千三百人の新生児のうち七割が市外の医療機関で出産している。“里帰り出産”もままならず、市民から市などに産院開設の要望が数多く寄せられていた。

 協定調印式で石渡市長は「市内で安心して出産できる環境づくりに一歩前進できた」と笑顔を見せ、細谷医師会長も「全国的に産科医不足は危機的な状況。モデルケースになれれば」と話していた。

 

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