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チベット「状況わからず心配」
四川大地震の震源地、アバ・チベット族チャン族自治州●川(ぶんせん)県は、四川省北部に位置しチベット人などさまざまな民族が混在して居住している。同州のほかカンゼ・チベット族自治州などチベット自治区と接している四川省北西部にはチベット人が住む町が多い。被害が伝えられている成都でもチベット人が多く暮らしていることから、日本国内の関係者は騒乱に続く同胞の安否に不安を募らせている。
「どういう状況になっているのか。まったく情報が入ってこない」。東京都新宿区のダライ・ラマ法王日本代表部事務所では、焦燥感を募らせる。同事務所によると、四川省内では厳しい取り締まりが続いてきた。地震に乗じた騒乱警戒と称して、当局がさらに厳しい取り締まりに乗り出す恐れもあるが、「今はインドからの情報を待つしかない」。
チベットに詳しい大谷大専任講師の三宅伸一郎氏によると、●川から北へ約100キロの松潘(しようはん)を境に、チベット人だけが暮らすエリアとなる。さらに北部にある九寨溝は観光地として有名だ。三宅講師も「九寨溝がどのようになっているのか情報がなく心配だ」と情報不足を指摘している。
チベット文化研究所名誉所長で、桐蔭横浜大学大学院教授のペマ・ギャルポ氏が確認したところ、●川では大きな被害はなさそうだという。都市部に被害が集中したとみられ、「成都の親戚(しんせき)とまだ連絡がとれない」と不安な胸中をのぞかせた。
(●はさんずいに文)