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【主張】一般財源化 与野党が協議し実現せよ
道路特定財源を平成21年度から一般財源化する基本方針が閣議決定された。改革の核心となるテーマについて、福田康夫首相が閣議決定にこぎつけた意義は大きい。
政府・与党は今後、関係閣僚会議や与党協議会で特定財源廃止に伴う法改正や、一般財源化した後の税収の取り扱いなどの具体論を話し合う。引き続き十分な道路予算を確保したい道路族との綱引きも激しくなるだろう。これからが勝負である。
閣議決定の一方、特定財源の使途をさらに10年間、道路建設に限定する道路整備特別措置法が与党の賛成多数により再議決され、成立した。来年度から一般財源化する話と矛盾するため、来年度からは同法を適用しないことを政府は閣議決定に盛り込んだ。
一般財源化を担保する意味で、法案修正により1年限りとする方が好ましかったのは言うまでもない。閣議決定は重いといっても「10年間」を定めた法律の効力はそのまま残るからだ。
しかし、ねじれ国会で与野党が鋭く対立する状況で、民主党は修正協議に応じる姿勢を見せなかった。成立が遅れれば、特定財源から地方自治体へ約7000億円の臨時交付金を配れない状態が長引く。政府としては、やむを得ずとった緊急避難措置だろう。
道路財源改革は小泉、安倍両内閣でも踏み込めなかった。道路特定財源を力の源泉としてきた道路族を押さえ込み、着実に準備作業を進めることで、首相は不退転の決意を示すべきだ。
それを具体化する一例が、暫定税率を含めた揮発油税の税率水準を維持するかどうかである。
首相は環境問題や社会保障費用の増大を念頭に置けば、軽減は難しく、現行水準を維持すべきだとしている。妥当である。また、一般財源化した一部を環境税とするかどうかの議論も本格化させる必要がある。
もともと一般財源化は民主党が熱心だった。今国会で不透明な道路行政を追及し、首相に道路特定財源廃止を決断させた点は、民主党の功績だともいえる。
民主党は道路整備特措法の再議決に対する首相問責決議案の提出は見送るという。審議拒否や国会空転につながる戦術を転換するなら歓迎だ。国会審議や与野党協議を通じて首相の本気度を厳しくチェックし、一般財源化を実現しなければならない。