大阪版「夜スペ」無料で教員OBら指導 橋下知事PT案2008年04月30日06時21分 大阪府の橋下徹知事直轄の重要政策プロジェクトチーム(PT)が、小中学校での放課後学習の実施や小3〜中3への習熟度別授業の導入、進学に実績のある府立高校の強化など、大がかりな教育改革案をまとめた。放課後学習は東京都杉並区立和田中学校の夜間授業「夜スペシャル」の大阪版という位置づけで、文部科学省によると、都道府県全域で試みるのは全国でも非常にめずらしい。 一方で大阪府は08年度に1100億円規模の財政再建をめざしており、6月末に編成する同年度の本格予算にどこまで反映させるかは橋下知事が判断する。 「おおさか・まなび舎(や)」と名づけた放課後学習は、指定市(大阪、堺)と中核市(東大阪、高槻)を除く府内の小学校約530校と指定市を除く中学校約290校が対象。小学校は平日の放課後に週2回、中学校は平日の放課後と土曜日に1回ずつ、授業の復習や宿題を教える。教科は小学校が国語と算数、中学校は数学と英語。 和田中の夜スペは有料(月1万8千〜2万4千円)で塾講師が教えるのに対し、大阪では無料で地域の教員OBや大学生が教える。講師には府が1回1千〜2千円程度の謝礼を支払う。 原案をまとめた府教委は学習する習慣ができていない子どもたちの底上げを想定しているのに対し、橋下知事は和田中と同様、学習意欲はあっても経済的な理由で進学塾に通えない成績上位層の引き上げに意欲をもっており、さらに調整する。 理解度に応じてグループ分けする習熟度別授業は、府内の全小中学校が対象。小3〜小6は国語と算数、中学生は国語、数学、英語で進める。習熟度別授業をすでに実施している市町村や学校もあるが、橋下知事は教育委員との懇談で「なるべく多くの学年と教科でやるべきだ」と話していた。実施には少なくとも200人程度の教員が必要で、今後、開始時期などを詰める。 進学校の強化は、難関大学をめざす生徒が学区を越えて通える府立高校の数を増やす。現在、大手前(大阪市中央区)と天王寺(同市阿倍野区)の理数科で府内全域からの受験を認めている制度を拡大し、進学実績のある高校4〜10校に文系と理系の進学コースを設ける。2010年度入試からの導入をめざす。 これら施策に、府全域での小学生によるスポーツ大会などを加えた教育改革に必要な総事業費は、数十億円にのぼる見込みだ。 重要政策PTは5月中にも内容を公表する予定。個々の施策は橋下知事の意向にほぼ沿ったものだが、府民の反応やその他予算の削減状況などをふまえ、知事が、すぐに実施するのか来年度以降に回すのかなどを判断する。(斎藤利江子、小河雅臣) ◆橋下知事「最後は政治的に決断」 橋下徹知事は29日、朝日新聞の取材に「僕は『教育日本一』を掲げ、教育委員会とも制度の枠組みの話をしている。(重要政策PTの案を)どこまで予算に盛り込むかは、全国でも例のないことなら認めるなどと、最後は政治的に決断したい」と語った。 PR情報この記事の関連情報政治
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