12日午前8時半ごろ、長崎県平戸市主師(しゅうし)町の県道で、同市生月町の介護助手松山由梨恵さん(24)の乗用車と、本四バス開発(広島県尾道市)の観光バスが正面衝突した。松山さんが左足に大けがをしたほか、バスの乗客8人が頭や肩などに軽傷を負った。
平戸署の調べでは、現場は片側1車線の坂道で緩やかなカーブ。同署は、松山さんが「運転中に携帯電話のメールをしていた」などと話したことからハンドル操作を誤り、中央線を越えたとみて、自動車運転過失傷害の疑いで事情を聴いている。
バスは11日朝、広島市内から観光客や添乗員ら37人を乗せて出発し、同日夕に平戸市入り。12日は朝から生月町観光の後、佐賀県伊万里市などを回って帰る予定だったという。
■携帯使用中 事故が増加 福岡県など
運転中の携帯電話使用による交通事故は九州各地で発生。2004年11月の道交法改正で罰則が設けられた直後の減少から、増加に転じている現状もあるという。
福岡県警によると、07年に県内で起きた携帯電話使用中の人身事故は、06年より21件増の47件。うち24件が通話中か、その前後に発生。前方不注意が原因とみられる追突事故が26件と半数以上を占めた。
佐賀県では07年中に人身事故が10件発生。同年2月には伊万里市で、携帯電話を使用しながら交差点を右折中の男の車が、道路を横断していた男性に衝突し両足骨折の重傷を負わせる事故が起きた。今年も3月末までに3件が発生し、計5人が軽傷を負っている。
長崎県では07年、携帯電話使用が原因とされる交通事故は14件。うち8件は画面を見ながらの操作中で、残る6件は車内の携帯電話を手に取ろうとした脇見で起きたという。今年も4月末までに、画面を操作中の事故が3件起きている。
福岡県警交通企画課は「運転中の携帯電話の使用は、注意力が散漫になるので絶対にやめてほしい」と呼び掛けている。
=2008/05/13付 西日本新聞朝刊=