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淫乱で…
作:死に逝く翼



19


 ご主人様が、私の前に膝をつく。そうしたら丁度また、目の前にご主人様の股間が来た。ギロチン台に拘束されたせいで身動きが取れないけれども、でも首を伸ばせば届きそうなところに、それはそそり立っていた。
 私に、精液を飲ませてくれたオチ○チン。さっき出したばかりのソレが、目の前でビクッと跳ねた。
 私は子犬のように鼻を鳴らすと、不自由な体勢から精一杯に首を伸ばして、ご主人様を見上げた。
「欲しいのか?」
「は、はい。ご主人様のオチ○チン、もっともっと、おしゃぶりしたいです」
 私の言葉に、ご主人様がニヤッと笑った。それだけで、お腹の奥が疼いた。意地悪されるのが、分かったから。
 ご主人様は、軽く腰を突き出してくれた。おかげで、オチ○チンがまた少し私に近づいた。私はそれが欲しくて、もっと首を伸ばして、舌を伸ばして触れようと頑張った。
 なのにご主人様は、舌の触れるその寸前で腰を引いてしまう。私の舌は、かすることさえできなかった。
 ささやかな意地悪。けれども今の私には効果は絶大で、もどかしさに胸が苦しくなっていく。
「ご主人様ぁ……」
 私は、泣き出しそうな情けない声でご主人様にすがった。
「オレが良いと言うまで、口をシッカリ閉じてろよ」
 私は小さく頷くと、命令どおりにキュッと唇を引き結んだ。
 そこに、熱の塊が押し付けられた。
 もちろんそれは、ご主人様のオチ○チンだった。私は反射的に口を開こうとしたが、下されたばかりの命令を思い出し、慌てて踏み止まった。
 ご主人様は、その硬くなったオチ○チンで、私の唇を弄る。先端で軽く唇をなぞると、今度は強く押し付けてきた。下から上に唇がめくれ、白い歯に、唇の内側に、その熱が触れてくる。
 咥えたい咥えたい咥えたい。舌で、歯で、頬の内側で、喉の奥で、その感触すべてを確かめたい。
 込み上げる衝動を、私は必死に噛み殺していた。
 そんな私を笑うように、ご主人様は執拗なくらい、私の唇を攻めてくる。上唇だけでなく、下唇の内側にも擦り付けてくる。唾液に濡れたそれを、私の鼻のスグ下に持ってきて匂いを嗅がせる。それからまた、唇の結び目をこじ開けるように、横に何度もスライドさせてくる。
 ご主人様の腰が、ピクっと震えた。その痙攣に、つまり収縮した筋肉に押し出されるように、オチ○チンの先から、いわゆる先走りの汁が滲み出てきた。
 それは私の唾液と混ざり合い、口の中に広がっていく。
 それでもう、限界だった。
「あむぅっ、ん、んぶぅ……んあ、あ、やああっ」
 我慢できずに、ご主人様のオチ○チンにしゃぶりついた。舌に、口腔に、ご主人様の味が、それの持つ熱がようやく伝わってくる。私は嬉しくて嬉しくて、夢中で舐めしゃぶろうとして、けれどもスグに動きを封じられてしまった。
 ご主人様は私の顔を押さえ、腰を引く。
 私の口の中から、オチ○チンは呆気なく抜き出されてしまった。私がどれだけ唇を締めても、何の役にも立たない。拘束された身では、追いすがることなどできなかった。
「ご主人様ぁ……」
 私はまた、泣きそうな声で愛しいご主人様にすがった。けれども今度返されたのは、さっき見た時よりももっともっと意地悪になった、ご主人様の笑顔だった。
「オレは、良いと言うまで口を閉じてろって言ったよな?」
「あぁ……」
「さっきの分と合わせて、お仕置きは3割増だな」
「ご、ごめんなさいっ……!」
 謝ってももう遅い。ご主人様は立ち上がると、私のお尻の方へと歩いていってしまった。私も懸命に首を捻ってみたが、そもそも首を固定されている上に、その固定する板が完全に邪魔になっていて、お尻を振り返るなんてことは不可能だった。
 目隠しをされてるわけじゃないのに、見たいものが見えない。それは何とももどかしくて、胸の中がモヤモヤしてしまう。
「ご主人様、ごめんなさい、ご主人様……」
「動くなよ」
 私の謝罪など、アッサリと無視されてしまう。けれど、代わりにご主人様は、また一つ命令を投げてくれた。今度こそと思って、私は身を硬くした。
 ジャラッと音がして、太ももに冷たいものが触れた。
「ひっ?」
「動くな。今、足を縛ってるんだから」
「は、はい。ごめんなさい……」
 右足に続いて、左足にも同じ感触が伝わってくる。さっき見た、台の脚に備え付けられた革の拘束具が、私の足を縛り上げていっているのだ。
「いいぞ。ちょっと横に開いてみろ」
「はい……んっ、あぁ」
 遊びはほとんどなかった。横だけではなく前後にも、私の足はろくに動いていかない。いよいよ、立ち上がることさえ封じられたわけだ。
 ……キュンっと、お腹の奥が疼いた。
「さて。それじゃあ、っと」
「うっ……」
 ご主人様が、私のスカートを一気にウェストまで捲り上げてしまった。パンツはさっき切り取られているから、私のソコを隠すものは何もない。
 ぐしょ濡れになったアソコに、ご主人様の視線が突き刺さる。
「ずいぶんと濡れてるな。さっき、尻でやった時よりもまだ濡れてるんじゃないのか?」
「だ、だってそれは……」
「それは、何なんだ?」
 尋ね返す声に、特に変わった様子は感じられなかった。だから、それは私の被害妄想かも知れないのだけれども、私はそこに有無を言わさない響きを感じ取っていて。
 だからもう言い訳なんてできなくて、恥ずかしい告白をする以外、他になかった。
「ご主人様に、ご奉仕して……それで、こんなに拘束されたから……」
「大したマゾっぷりだな」
「は、はい……ごめんなさい」
 ご主人様に笑われてしまう。いたたまれなさに、胸が詰まる。
 それなのに私は、アソコが熱くなっていくのを感じていた。ホントにもう、どうしようもない変態だ。
「さてと。それじゃお仕置きを始めるとするか」
「はい……お願いします」
 そう言っても、私の側からは何をされるのかまるで分からない。ご主人様の立てるわずかな音に耳をそばだて、不安と期待とを勝手に掻き立てていく。
「ん……んぅっ」
 ご主人様の手が、私のお尻に触れた。左手の親指と他の指とで、お尻の間にあるその穴を丸見えにしてしまう。
 さっきご主人様を迎え入れたその穴に、何か冷たいものが触れてきた。私は反射的に息みそうになるのを堪えて、お尻から力を抜いていった。
「はうっ、く、あ、ああ……はあんっ」
 ググッと、お尻の穴が押し広げられる。痛みに私は拳を握っていたが、それでもどうにか下半身からは力を抜いたままにしていた。
 小さな穴に、ご主人様は、おそらくはバイブを捻じ込もうとしてくる。何度も調教を受けてきた私は、バイブに塗られていたローションの滑りも借りて、さしたる苦労もなく、まずは亀頭部分を呑み込んでいた。
「……は、ぁぁ、ん……くぅぅ」
「ホントに、尻が好きになったよなぁ」
「は、はい……お尻、気持ちいいです」
 まだ先端を入れてもらっただけなのに、本当に気持ちいい。開くはずのない所を、無理やり広げさせられている、これは被征服感とでも言うのだろうか。犯されているという実感がお尻には強くて、それが私を興奮させる。
 そして、その精神的快楽に、肉体的快感が重なってくる。
「じゃあ、残りは一気に行くぞ」
「はい、お願い、しますっ……んぁ、あうっ、はあっ……んく、くふぅっ、うあああっ」
 ボコッ、ボコッとバイブの丸いくびれが私のお尻を通り抜けていく。胴体部分は先端より細身に作られていたけれども、わざわざ凹凸が刻まれているらしく、それが通過していくたびに、私はお尻を抉られる快感に腰を跳ねさせてしまう。
 それに、このバイブ、かなり長い。
 お腹の中にどんどん入ってくるのが分かって、それがまた鳥肌が立つくらいに、何て言えばいいのか、怖いんだけれども、でも……でもっ!
「はぐっ、くあ、あ、あ……ああああ!」
 意識を一気にまた、お尻の穴へと持っていかれた。ひょっとしたら先端部よりも大きなものが、私のお尻をこじ開けてくる。
 私は苦痛に呻きながらも、やっぱりそれを、ズルっと呑み込んでしまっていた。
(後で見せられたら、それは根元部分に用意されたコブだったわけなのだけれども)
「はぁ、あぁ、うんん……」
 いったい、どれだけ入れられたのだろう。お腹が少し苦しいくらい。
 腰を浮かせて、無意識のうちにさすろうとしたけれども、両手とも顔の脇にギロチン台に拘束されているので、それもままならない。それに、足も固定されていたので、腰自体浮く余裕がほとんどなかった。
「苦しいか?」
「い、いえ……平気です」
「そうか。そりゃ良かった」
 その瞬間に、来た。
「はうっ、う、く、くあ、あ、あああ」
 お尻に収まったバイブが、振動を始めた。ただし、かなり弱い。ブゥゥンって、かすかに震える程度、だと思う。
 ただそれが、バイブ全体が震えているせいで、お尻のスグ入った所からお腹の奥まで全部が揺さぶられていくのが、かなり来る。
「んくっ、うぅ、あはぁぁ! ……は、ああ、ご主人様、これ、お尻がっ……!」
 特にやっぱり、入口スグのところで震えられると、思わず腰が動いてしまう。全然弱い刺激で、本当はこんなのはくすぐったいんだけれども、ご主人様に調教してもらった私のお尻は、そのくすぐったさを性的な快感として捉えていて。
 ギロチン台に固定された私の腰が、うねるバイブに合わせてビクッビクって震えたりする。
 微弱な振動に攻め立てられながら、私はけれど、早くも次の攻めを待ち望んでいた。
 ギロチン台に拘束されて、バイブを入れられて、スイッチも入れられて。
 これはお仕置きだって分かってるけれども、やっぱり私は、この次を期待してしまっていた。
 ご主人様は、次はどんな風に私を責めてくれるんだろう、と。
 バイブの振動は、どれくらい強くなるんだろう。そのままバイブを出し入れされたりするのかも。前には、ひょっとしてご主人様が……。
「あ、あんっ……ん、んふぅ、ふ……はあっ、あ、ああ!」
 けれども、しばらく待ってもご主人様は、私に何もしてくださらない。多分、私のお尻を眺めているんだろうけれども、バイブのスイッチを切り替えるでもなく、ただ黙って見ているだけみたい。
「ご、ご主人、様……?」
 私は後ろを振り返ろうとしたけれど、もちろんできるはずもない。せめてと耳をそばだててみたけれど、私の立てる物音、喘ぎや息遣い、拘束具のきしみ、それに身体の中に埋められたバイブの振動以外、聞こえてこない。
「ご、ご主人様?」
 途端に、不安になった。まさか私が気付かない間に、ご主人様は私を置いて出て行ってしまった……?
 その懸念を、私はすぐに打ち消した。
 ご主人様が何もせず、何も言わない理由に思い至ったからだ。あるいは本当に出て行ったのにしても、やっぱりそれは同じ理由からだと思った。
 つまりこれは、焦らしなんだ。
 敢えて弱い刺激だけを延々与えて、後は放置する。
 これは、そういう責めなんだ。
「あ……う、あぁ……」
 急に、身体にむず痒さのようなものが感じられた。
 焦らされてるっていう認識が、私の感覚を変えてしまった。弱い振動が、その意味を持ってしまった。
 さっきまでは、ちゃんと気持ち良かったのに。
 今だってもちろん、気持ち良いのは気持ち良いのに。
 それなのに、でも。
 身体の奥が、内側からムズムズしてきて!
「や、やあっ……お願い、お願いです、ご主人様ぁっ」
 私はもどかしさに、呆気なく屈していた。情けない声でご主人様を呼び、それでも答えがないと悟ると、自分でどうにかできないものかと、半ば無意識のうちに手を抜こうとしていた。だけどもちろん、ギロチンに挟まれた手も首も、どう引っ張ったって抜けるはずがない。脚の拘束も、どんなに力を入れても緩みもしない。
 そうして腰を揺すろうが、内ももに力を入れようが、バイブの振動がどうにかなることもなかった。
「はうっ、うう、ああっ……こんなぁ、いや、やあああっ……ご主人様、助けてくださいぃ」
 お腹の奥から、お尻から広がったむず痒さが、全身に染み渡ってしまう。肌の下がヒリヒリして、とにかく思い切り掻き毟りたい。
 もちろん、どこよりも疼いているのはお尻だった。
 こんな、手が届かないのに、全然。なのにバイブはムズムズを煽るだけの強さしかなくって。お尻、お尻がジンジンして熱いのに、それ以上にはなってくれない。
 もっと、もっと欲しいと身体が叫び出す。
 それなのに与えられるのは、一滴一滴垂らすような、その程度の刺激だけで。身体の中に、ウズウズがどんどん溜まっていく。
「あ、ああああっ……ご主人様、お願いします、もっと、もっと強くしてくださいっ」
 姿の見えないご主人様に、私は必死に懇願する。
 私は、知っているから。
 お尻に埋まったバイブの振動を、もっと強くしてもらえたら、どれほど気持ち良くなれるかを。
 このバイブで、お尻の穴を抉るように激しく出し入れされたら、絶頂のさらに上にまで行けるのを。
 クリトリスを、痛いくらいに摘み上げられたら、それだけでイってしまえるのを。
 愛液を垂れ流しっぱなしのアソコに、ご主人様のオチ○チンを入れてもらえたら、それだけで気絶するほど気持ちいいということを。
 私は、全部知っている。
 それなのに、そのどれも与えてもらえない。
 ただただお尻の、お腹の中でバイブが弱い振動を続けているだけ。
「ご主人様ぁっ……ああ、お願いです、奥まで犯してくださぃぃぃっ……!」
「うるさいぞ」
「ひあああああっ!?」
 衝撃がいきなり襲い掛かってきた。
 前触れもなく、お尻がカッと燃え上がったみたいになって、その弾みで伸び上がっていた私は、肩をギロチン台に思い切りぶつけてしまっていた。
 それを痛いと思う間もなく、私はその炎に呑まれてしまっていた。
「くふぅぅぅ……ん、んぇっ、ん、ぐふっ、ふ、んっ……はぁぁぁ……」
 瞬間的に意識を失っていたようで、私はギロチン台に挟まれたまま、ガックリと項垂れていた。だらしなく開いた唇から、涎まで垂れ落ちようとしていた。
 私は慌てて拭おうとして、その動きもギロチン台に阻まれて、それでようやく自分の状態を再認識できた。
「あ、あああ、はぁ、あ……ご主人、様?」
 何が起きてるのか、実はまだよく分かっていなかった。だって、私には何も見えていないんだから。視界は奪われていないけれども、私に見えるのは壁や他の器具だけで、後ろにいる肝心のご主人様が見えないままだから。
「うっ……ん、くふぅっ……ん、はぁ、あっ」
 ただとにかく、お尻が熱く、ジンジンしていた。その熱痛い感じが、私は叩かれたのだと教えてくれていた。
「はぁ、ぁぁ……んっ、うぅ……ご主人様ぁ……」
 私の漏らす吐息は熱く濡れて、声は甘えきっていた。もちろん、叩かれたのをヒドイなんて思う気持ちはどこを探してもなくって、ただ私は、ようやく帰ってきてくれたご主人様のことが嬉しくて、そして、そう。
 痛いのに、叩かれたところが熱を持つのが痛いのに、気持ち良かった。今も低く唸りつづける、お尻の中のバイブの疼きが吹き飛ぶくらいに。
 ふと、お尻に冷たいものが触れた。
 ご主人様は、ゆっくりと私のお尻を撫で回してくれていた。だけどこれは、手じゃない。もっとスベスベしていて、それで……。
「痛あああっ!?」
 撫でまわす手(?)が離れたと思った次の瞬間には、衝撃がお尻から頭の先にまで駆け抜けていった。
 電気を流されたみたいに、視界がパッと白く瞬いた。
 お尻が、お尻が熱いっ。
「んああああっ! あはっ、ああ、あぐふぅぅっ……」
 風を切る音と、私のお尻の打たれる音は、ほぼ同時だった。
 お尻の熱い箇所が広がっていく。それで、さっきとは反対の、左のお尻を打たれたと分かった。けれども感じるのは、やっぱり痛みというよりも熱だった。
「ふっ、ぅぅ、ん、あ、あぁ……くふ、ふぅぅ……んああああああっ!」
 お尻がジンジンと疼くほど熱を帯びて、そこをまた上から叩かれ、私は堪らず叫んでいた。
 あまりの熱さに少しでも逃げようと伸び上がったけれども、首と手を固定するギロチンのせいで、身体を前に逃がすなんて不可能だ。おまけに足まで固定されているから、左右に逃げることもほぼ不可能。
「ふぐううっ! うん、んふ、あはああああ!」
 どれだけ身を捩ろうとも、拘束は決して緩まない。かえって、手首や肩が痛むだけ。
 汗が噴きだし、首周りや手首がぬるついてくる。もちろん、それでギロチンから引き抜けるはずもない。
 私のお尻は、どうあってもご主人様の物なんだ。
 ああ、また、またそこに思考が行き着いてしまう。
 私はご主人様の物。
 お尻だけじゃなしに、身体中が内側から熱くなっていって、私はどろりと、愛液を零していた。
 それを見計らったように、ご主人様が私のお尻を打ち据えた。
「きゃふううううぅぅぅぅっ!」
 一瞬で、視界を真っ白に染め上げられてしまう。
 認識が追いついたところへ体感が重ねられて、私はアソコから、本当に、プシュッとおもらしでもしたみたいに愛液を吹き零していた。
 視界に色と形が戻っても、私の世界は涙に滲んで見えていた。
 感覚が、どんどん怪しくなっていく。固定された腕も肩も首も足も、痺れて痛いんだか熱いんだかよく分からない。
 分かるのは、とにかくお尻が熱くて、身体も内側からどんどん熱くなっていってて、アソコはどうしようもなく疼いて、まだまだムズムズしていて、それで……。
「んああああっ! ……あ、ああっ、やだ、ダメぇっ!」
 むず痒さを吹き飛ばすような、強烈な一撃。
 爽快ともいえる快感に私は喘いだけれども、その一撃は同時に私のタガを壊してしまっていた。
 今度は“みたい”なんかじゃない。
 私は本当に、おもらしをしてしまっていた。
 じわっと来る感触があって、最初は、それが何か分かってなかった。出る間際になって「しまった!」って思って、慌てて股間に力を入れたけど、最初の一筋は止めるのに間に合わなくて。
 ジョロッと、私は股間をおしっこで濡らしてしまっていた。
 もちろん、すぐに止めた。股間というか、下腹に力を入れて、最小限の被害で食い止めた。
 それなのに。それなに……。
「はぐうぅっ! や、やああっ……ダメ、今は叩かないでっ……んはあっ! あ、あぐぅぅっ! やっ、いやっ、あ、ああ、出ちゃう、出ちゃうからぁぁっ!」
 少し漏らしてしまったのを無理やり止めた私は、出口のすぐ際にまでおしっこが来てしまっている状態で。
 それなのにご主人様は、容赦なく私を叩いてきて。衝撃で、私の身体は揺さぶられて。一生懸命、我慢しているのに。それが、もうっ!
「んああああっ! あ、ああっ、ダメぇぇぇっ……見ないで、ご主人様っ、見ないでくださいぃぃっ! いや、や、やああああっ、ごめ、ごめんなさいぃぃぃっっ……!」
 我慢の限界はとっくに過ぎていたけれども、それでもどうにか我慢を続けて。そうして私は、ご主人様の一打ちを合図に、塞き止めていたオシッコを開放してしまっていた。
「あはぁぁぁぁぁぁぁー……」
 今まで感じたことのないくらいの、安らぎに満ちた開放感に包まれる。腰の辺りがジーンとして、すっごく心地がいい。止まることなく溢れ出るおしっこだって、温かくって気持ちいい。
 けれども、そんな風に思えたのはほんの一時のことだった。
「いや、やっ、やあっ! もういやっ、もうダメなのぉっ……止まって、お願い、止まってよぉぉぉぉっ……!」
 私の叫びも虚しく、おしっこはジョロジョロと音を立てて流れ出ていった。



「うふぅっ……ぐす、ひっく、ふ、ふくぅぅ……」
 すぐに、この年になってまでおもらししたという現実が突き付けられてくる。それは、心を押し潰すほどの大きな後悔となって私に圧し掛かってきた。
 私は、これ以上の恥をさらしたくないと、今さらながらだけど、必死におしっこを止めようと頑張った。けれども、開放の喜びに弛緩しきった筋肉は、その用を為してくれない。ちょっとだけ止まっても、すぐまたジョロっと溢れ出してしまう。
「いや、ああ、いやぁぁ……」
 私はもう呻くだけで、排尿の抑制ができなくなっていた。我慢しようと思っても、それも一瞬のことで、恥ずかしさと情けなさにすすり泣きながらも、おもらしのもたらす解放感にすがってしまっていた。
 けっこう長く、断続的に続いてしまった。瞬間的に勢いよく出ると、その分シートの上に溜まっていたおしっこが押し出され、太ももを伝い流れ、あるいはパタパタと床に落ちていく。
 跳ね返りもあって、私の足はもう、それはそれは悲惨な状況になってしまっていた。おまけに、伝い流れた跡が、そろそろ痒くなってきていた。
 だけど私は、今も拘束されたままで。
 隠すことも出来ないまま、私はおしっこに汚れた自分の下半身を、ご主人様にさらけ出しつづけていた。
 そうすると不思議なもので、私は今だってちゃんと、おもらししたことを、その跡をご主人様に見られているのを泣きたいくらいに恥ずかしいって思っている。本当に、泣きじゃくりたいくらいに。
 それなのに、私は、ご主人様の視線を感じ取っていた。恥ずかしくて恥ずかしくて、そんな余裕あるはずないのに、ご主人様の視線は、ちゃんと感じ取れた。
 視線は真っ直ぐに、私のアソコを貫いてくる。おしっこまみれの、そこを。
「ふぅっ、ぅぅ……んっ、くぅっ」
 視線の突き刺さるソコから、ブワッと熱が広がってきた。
 身体が、熱い。
 それに、ああ、どうしよう。こんなにこんなにこんなに恥ずかしいのに……また、濡れてきてる。
「あぁっ……んぅっ」
 堪らず私は身じろぎしていた。そうすると、台の上からおしっこがまた溢れ落ちていく。ご主人様の瞳は、その雫を追いかける。床に落ちて、私の足に跳ね返るのを。
 視線はそのまま、私の足を這い登ってくる。なぞられるようなむず痒さに、腰の奥が疼いてくる。
 ご主人様の視線はジワジワと太ももを上り、今度はアソコではなく、お尻の方まで進んでいった。何度も叩かれ、真っ赤になっているはずの私のお尻。
「くぅぅっ」
 スイッチを入れなおしたみたい。おもらしのせいで意識の外に追いやられていたお尻の痛みや熱が、一気に戻ってきていた。
 お尻全体が、熱く腫れぼったくて、ジンジンしている。
 そうして、戻ってきた感覚は、それだけではなかった。
「んはぁっ……あ、ああ、ん、んぅっ……ん、はっ、はぅぅっ……」
 お尻に埋まった、長いバイブ。それがジージーとモーター音を立てながら、私のお尻を、身体の中を掻き回す。緩やかだけれども、決して止まることのない動き。
 そのもどかしい快感も、私の中に戻ってきてしまった。
「や、やぁぁっ……あ、ああ、いやっ、や、んんっ」
 ご主人様の視線と、バイブの振動。
 その2つが、お尻叩きとおもらしのせいで、いったん下がった私の快感度数を、また少しずつ上げていってしまう。決して焦らず、緩やかに、けれど着実に。
「ぐっ、くぅぅっ、う、ん、んくっ」
 胸の奥がザワザワして、私は不安に耐えるように拳を握った。唇も引き結んで、淫らな喘ぎが漏れないようにする。萎えきっていた下半身にも命令を送って、キュッとお尻を引き窄めた。
 けれども、それで快感を無視できるはずもない。ヒタヒタと、視線とバイブは私の身体に快感を注ぎつづけてくる。お腹の奥が、ムズムズして落ち着かない。
「けっこう溜まってたみたいだな」
「くぅぅ……ん、あ、え? ……は、はい、申し訳、ありません……」
 焦らしに怯えていた私は、ご主人様の言葉に慌てて答えていた。
 背後で、ご主人様の動く気配があった。今の答えに粗相があったのだろうか……と不安に思った時には、ジュブッと音を立てて、ご主人様の指が私のアソコを貫いてきた。
「あはああああっ!」
 我慢する暇もなく、私は大きな声で喘いでいた。視線と、そのすぐ真裏からバイブで炙られ続けていた私のアソコは、喜び勇んでご主人様の指を食い締めにかかる。
 ギュウギュウと締め付けていくと、頭の中にご主人様の指の形が浮かんで来てしまう。
 その指が、クニッと私の中を引っ掻いた。
「んくぅっ! は、ああ、ん、ああっ」
 動きは逐一、リアルタイムに頭の中でも再現されてしまって、私は肉体と思考と、両方から快感に犯されていく。
 私の中はいやらしく蠢いて、抱え込んだご主人様の指を蜜まみれにしていく。ご主人様が指を動かすたびに、ニチャネチャといやらしい音がしてしまう。
「これは、小便の音じゃないよな?」
「あ、あぁ……ん、は、はい……違い、ますっ……」
 ご主人様にだって、答えは分かりきっているはず。それでも私は、答えなくてはいけない。それがどんなに恥ずかしい言葉になっても。
「愛、液っ……私の、愛液が、あ、んっ……愛液の、掻き混ぜられる音、ですぅっ……うあああっ!」
 アソコが、さらに広げられてきた。
 ちゃんと答えられたご褒美とばかりに、ご主人様が指を増やしてくれた。内側から押し広げられると、私の身体はそれに対抗するように、そこの締め付けを強めていく。ご主人様の2本の指を、シッカリとそこに咥え込む。
「んはうっ……あ、ああ、やあっ! ん、んはっ、は、はぐぅぅっ……そ、そこ、ああ、ダメぇっ、いや、ダメですぅっ!」
 ご主人様の指が、私の中を掻き回す。入り口の浅い所で天井を引っ掻かれると、気持ち良いのに、何か少し怖くって、つい腰を引いてしまう。
 けれども私はほとんど身動きできない状態だから。すぐに動きを止められて、ご主人様の指の餌食になる。好き放題に弄られて、震えるほどの快感に、私は不自由な身体を揺すりながら泣き叫ぶ。
 ご主人様が指を動かすたびに愛液がグチャグチャと音を立て、私が身悶えするたびに、おしっこがパチャパチャと音を立てる。
「どうしてこんなに濡れてるんだ?」
「はああっ……ああ、そ、れはっ……ご主人様が、私の中、指でっ……!」
「そうか? 指を入れる前から濡れてただろう?」
「いひいぃぃっ!」
 勢いよく腰が跳ね上がる。手首を返したご主人様が、今度は指先で私の子宮口を押し上げてきた。後ろからバイブで押し付けられていたソコを、指でグリグリと押し揉まれる。
 バシッバシッと続けざまに電気が流れたみたいになって、私は必死に歯を食い縛った。
「どうなんだ?」
「んあああああ! ご主人様に、ご主人様に叩かれたから、濡れてしまいましたぁっ!」
 前と後ろから子宮を圧迫されて、私はいよいよ涙まで流してしまっていた。自分では触れることの出来ない場所を触れられて、しかもそこは性器というより内臓というべきものなのだろうに、どうしようもなく気持ちがいい。
 腰はトロトロになって感覚が怪しいのに、お腹の奥が熱くて熱くて熱くて、それなのにご主人様の指の動きはハッキリと感じ取れてしまう。
 現に今、「なるほどなぁ」と笑ったご主人様は、2本の指で円を描きながら私の子宮口を撫でている。文字通り、急所を握られた私は、戦々恐々としながら次の言葉を、次の刺激を待ち構えていた。
「叩かれて気持ち良かった、か。それじゃあひょっとして、今そうしてギロチン台に拘束されているだけでも気持ち良かったりするのか?」
「あ……んん……はい……最初に、台の前に連れて来られた時、これに縛られるんだって思っただけで……お腹の奥が、キュンっとなって……」
「濡れたのか?」
「は、はい……」
「ホンット、筋金入りのマゾなんだな、オマエって」
「あうぅぅ……」
 ご主人様に揶揄されて、私は恥ずかしさに呻き声を上げる。けれどもその嘲笑めいた言葉さえ、私の官能を刺激してしまっていて。
 私の腰は勝手にピクっと動いて、ご主人様の指をより強く食い締めていた。
「ふふ……」
「ぅぅぅ……ごめんなさいぃ……」
 どこまでも浅ましい自分の身体が恨めしい。
 そうやって涙ぐむ私の頬を、汗の雫が伝い落ちていった。
 今の私は、とても見れた状態じゃない。全身にビッショリ汗をかいてるし、下半身なんて愛液と、それとおしっこのせいでグショグショもいいところだ。上半身はそりゃあ汗だけだけれども、その、顔が、涙と、それに涎とで、やっぱりグシャグシャになっているのが分かる。
 せめて袖ででも拭えればマシなのだと思うけれども、ギロチン台に嵌められた身ではどうすることもできない。
 私は、絶対に誰にも見せたくないような姿を、ずっとご主人様に晒しつづけている。誰よりも誰よりも誰よりも大切なご主人様に、自分の一番情けない姿を見られている。隠したくても、隠せない。
 正直、それだけでもう泣きたい。
 それなのにご主人様は、丁寧すぎるくらいにジックリと私の身体を見つめてきて……。
 恥ずかしさと、いたたまれなさとが、私の胸を熱くする。どうしようもないもどかしさに私は身を揺すり、そうしてまた、奥からトロッと、愛液が溢れ出てくる。
「あ、あああああ……」
 何もされてないのに、見られてるだけなのに。
 どうしてこんなに、感じてしまうんだろう。
 それも、絶対に見られたくない、汚れた恥ずかしい姿を見られているというのに。
 私は自分の身体の浅ましさに涙し、ご主人様はそんな私を見て笑う。
「拘束されて濡れて、叩かれて濡れて、それどころか見られてるだけでもまた濡れて」
「うぅ、う、くふぅぅっ」
「でも、その他にもあるよな?」
「え……?」
「オマエがこんなに濡れてる原因だよ」
「あ、う、く……」
 ご主人様が何を言わせたいかは、もちろんスグに分かった。けれども、さすがに答えが躊躇われる。
 ご主人様は、その躊躇を許してくれなかった。
「あぐうううっ! んあ、ああ、ああああああ!」
 2本の指が開いて、私の奥で子宮口を挟み込む。そのままグルグルと掻き回すように動かされた。
 触れられると、そこが他より硬い筋肉なんだと自分でも分かる。それを、グリグリと乱暴になぞられると、そのまま腰が溶けていってしまいそうだった。
「ホラどうした? こんなに濡れたのは、何のせいなんだ?」
「んふうっ、んあ、あうぅぅぅっ……んあ、あ、ああ、おもらしっ……おもらしをした、せいですっ……!」
「何だ? 小便をするのも気持ち良かったのか?」
「はいっ、はいぃぃっ……おもらし、気持ち良かったですぅっ!」
 乳首でもクリトリスでもなく、子宮口を弄られる私は、その快感に溺れかけながら夢中で叫んでいた。ズルっと奥をなぞり上げられれば、怖いくらいの快感に鳥肌が立つ。おののくように身体が硬直し、その内側を快楽の電流が駆け巡る。
「あひぃぃぃっ……! ああああ、御主人、様ぁぁぁっ!」
「そうだな。ちゃんと答えられた褒美をやろうか」
「え……あ、あああっ!? ふぐぅっ、ん、んはっ、はあ、ああああああああ!」
 衝撃はやっぱり、突然きた。
 お尻で、お腹の中で小さく震えるだけだった、お尻用のバイブ。それがいきなり、大きく身をくねらせ、頭を振り回し始めた。
 お腹の中が、掻き乱される。
「うああああああっ……いや、やあっ、助けてええええええっ!」
 圧倒的な快感に、目がくらむ。
 お腹の中を、腸の中を撫でくられ、内臓を押し上げられるようなおぞましさに全身が泡立つ。それなのに、その異様な感触に私は引き寄せられていく。
 しかもバイブはお尻の入り口の方でも身をくねらせている。狭い入り口を内側からこじ開けようとするような動きは、痛みと快楽を同時に送ってきて。
 こんな、もう、わけ、わから、ない。
「ご主人、様ああっ……わた、私っ、あぐっ!? くはああああああ!!」
 ゴリッと、お腹の中で音がしたみたいだった。
 瞬間的に私の視界は白く焼き尽くされ、身体の感覚も消失してしまう。私は世界に溶けていく。
 ゴリュッ!
「ひぐうぅぅうっ! うは、はあ、あ……んおぉぉっ!」
 けれども、そんなことは許さないとばかりに、またもその鈍い音が私の中で鳴り響いた。一定のリズムで繰り返し。拡散していく私を追いかけ、追い抜くように、生肉を揉みしだくような音と、鮮烈な熱が襲い掛かってくる。
「ご主人様っ、ご主人様ああああああああっ!!」
 私はもう、夢中で泣き叫んでいた。
 拘束された身体を、死に物狂いで跳ね回らせる。けれどももちろん、手や首や足の拘束が緩むことはなく、単に私が痛い思いをしただけだった。
 だけど、それを痛いなんて思う余裕はその時は欠片もなくって。とにかく暴れずにはいられなかった。
 それほど、子宮を前と後ろから挟み込み、捏ねられる感触は強烈だった。
「あぅあっ、ああっ、あひぃぃいぃっ!」
 髪を振り乱し、涎まで垂らして意味のない叫びを上げる。
 それでも、責めは止まらない。
 ご主人様は前に突き入れた指で私の子宮を押し上げ、そこを後ろで暴れまわっているバイブが、皮膜越しに叩いてくる。
 こんな、刺激が、あったなんてっ……!!
「ごひゅっ、ごひゅひんはまぁはぁぁぁぁっ!」
 イキっぱなしにされた私は、いよいよ呂律も怪しくなっていた。
 そんな状態になってさえ、ご主人様の存在はちゃんと感じ取れて、その刺激は、その声は、ちゃんと受け止めることが出来て。
「おいおい、褒美はまだ残ってるんだぞ?」
「ひぐぅっ…………あがああああああっ!?」
 ゴリッと、また子宮口を擦られて、その衝撃に流されまいと必死に歯を食い縛っていたところへ、来た。
 お尻を、身体全体を震わせるような強烈な一撃。
「やあああああっ、痛ああああああああ!!」
 目から火が出そうという比喩を、私は初めて体感した。今までのスパンキングなんて、子供だましもいいところ。それほどに激しい一撃を私は喰らっていた。
「ぐああっ、あう、うあうっ、うはあああああ!」
 骨まで痺れさすような打撃の連続に、私は涙を流して吼える。
 痛みなんて、最初の瞬間に通り越していた。
「ごひゅひん、はまああっ……ひぬっ、ひんひゃうううううっ!」
 お尻を容赦なく打ち据えられ、その衝撃で身体がバラバラになってしまいそう。
 それなのに、それなのに……!
 死ぬほど気持ち良いっ……!!
「らめえへぇぇぇっ、こえ、こえ、らめなのおぉぉっ!」
 私はただただご主人様に訴える。
 もっともっと痛くしてください、と。
 優しい優しいご主人様は、微笑みを浮かべて私の願いを汲んでくださる。
「んぎぃぃぃっ……ひぐっ、ぐ、ぐああああああああ!!」
 ご主人様のスパンキングと、お腹を犯すバイブの動きとがシンクロをした。
 子宮を叩かれると同時に、お尻を思い切り打たれて。
「ひくうぅぅぅっ……ごひゅ、ごひゅひんさまぁっ、ごめ、ごめんらさいっ、もう、もうイキまふうぅぅぅぅぅぅううっ……!!」
 ビクビクビクッッと、私の身体が勝手に躍り上がる。
 そのまま全身が硬直し、その中で私の意識はブツンとブレーカーが落ちたみたいに途切れてしまう。
 ただその最後に、空になったはずの膀胱から、またおしっこが漏れ出て行くのがかすかに感じられていた。







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