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淫乱で…
作:死に逝く翼



18


 気が付いた時、私は床に這いつくばっていた。
 最初、「あれ?」って思ってしまった。私は拘束されて、ご主人様にお尻を犯してもらっていて……。
「あっ……!」
 朦朧としていたのも、少しの間だけだった。
 私は、イクなという命令を守れなかったんだ。
 どうしようと不安に駆られながら首を廻らせて、ご主人様の姿を探す。
 ご主人様は、ベッドの端に腰を下ろして私の方を見ていた。私は慌ててそちらへ駆けていこうとして、失敗した。立ち上がろうとして、ベチャッと潰れてしまう。
 拘束されていたから、じゃない。手足に革の拘束具は付いたままだったけれども、それぞれを繋ぐ鎖は外されていた。
 そうじゃなくて、手足が萎えてしまっていたから。今も私の身体には、さっきの絶頂が色濃く残っていた。立ち上がろうとしても膝が笑う。そもそも腰に力が入らない。
「うっ……くぅ、んっ……」
 このまま横になっていたい。そんな心地良い気だるさに逆らって、必死に手足に力を入れる。私はどうにか這いながら、ご主人様の元へ向かった。
「あ、あの……申し訳、ございません」
「何が?」
 ご主人様の足元に正座して、まずは謝罪する。答えるご主人様の声はいつもどおりで、怒ったようなところはない。けれども、それが余計に不安だった。
 私は、両手を付いて深々と頭を下げた。
「イクなという命令に背いて、勝手にイってしまって、申し訳ございませんでした」
 命令に従えなかった自分が、つくづく恥ずかしい。
 それに、今ようやく気付いた事実もあって、それがますます私をいたたまれなくしていく。
「私だけでイってしまって……ご主人様は、まだ、なのに……」
 私のお尻は今も、ジンジンと疼いていた。けれどもお腹の中に、私を灼くような熱さの名残は感じられない。奥から溢れ出てくるような感じもしない。
 つまり、ご主人様は射精していないんだ。
 私は一度ご主人様を振り仰ぎ、それからすぐまた深く、額を擦り付けるみたいに土下座をした。私はそうやって、ご主人様の慈悲にすがるしかなかった。
「反省はしてるみたいだな」
「は、はい……」
「けど、それで許しちゃあ躾にならないよな?」
「は、はい。あの、仰る……とおり、です」
 躾という言葉に、私はビクッと身をすくませていた。
 言い付けを守れなかった私は、お仕置きをされてしまうんだろうか。だとしたら、今度はいったい何をされるんだろう。ここには、そういう道具がたくさんあって……。
「んぅっ……」
 想像しただけで、身体が震えた。怖いのに、また、濡れてきていた。
「とりあえず、まずは綺麗にしてもらおうか」
「え……?」
「オマエが汚したんだろう?」
 顔を上げると、そこには丁度、服を全部脱いでしまわれていたご主人様のオチ○チンがあって、今さらなのに私は頬を熱くしてしまう。
 あんなに硬く熱かったものが、今はかなり力を失ってダランと頭を垂れていた。そしてそれは、全体が何だか少し、ヌルついているように見えた。
 私の……だ。
 お尻は綺麗にしてきたから、まさかソレは付いてないと思う。けれども、愛液とは違う、その私のお腹の中の汁にまみれていて、かなり乾いてきているんだけど、でも汚れているのは確かだ。
「そ、それでは、あの……失礼いたします」
 私は口を開けると、オズオズと首を伸ばして、ご主人様のオチ○チンを咥え込んだ。
「んふぅ、んむ……ふぅ」
 半分ほどの力も取り戻していないそれは、けれど口に飲み込むとやっぱりスゴイ存在感だった。
 それに、この匂いというか味というかを、どう表現すればいいのだろう。顔をしかめてしまうのを止められなかった。
 ご主人様のをお口でするのは、実は今はすごく好きで、得意でもあると思う。舌や口内に触れる感触も、その味だって、ちゃんと好きだと言える。もちろん、精液を飲むことも。
 でも、今日のはいただけない。
 乾き始めていたから余計になのか、何て言うかちょっと、うん。
 けれどもそれは他ならぬ私自身のアレなわけで、しかも私は今の今まで、ご主人様をそんな状態にしてしまっていたわけで。
 それは、マズイ。自分から綺麗にさせてもらうよう申し出るべきだった。
 私は本当に、奴隷としては全然ダメだ。
 ついメゲそうになったけれども、それでは何の意味もない。私は、ご主人様へのご奉仕に気持ちを集中させた。
 とりあえず、私はいったん口から吐き出すと、口の中に唾液を溜めるようにした。それからもう一度咥えなおして、その唾液の中にオチ○チンを浸した。汚れを取るには、いたずらに擦っても仕方ないと思ったから。
 そうしたら、ますますその匂いと味が口の中に広がっていくようだった。それに我慢しながら、唇をキュッと引き締め、ゆっくりと頭を回転させた。口の中でオチ○チンを転がしながら、同時に舌でも唾液を塗りこんでいく。
 口腔粘膜を擦られ、ゾクリとした感触が走る。
「むふぅ……ん、んぅっ、ん、んんんっ……んぶぅっ」
 温かな私の口の中で、オチ○チンがムクムクと大きく、熱くなっていく。私はそれを放さないように唇を締めなおすと、膝を立てて、鋭角にそそり立ったそれを根元まで咥え込んだ。
 先端が喉の奥に当たったが、そこをさらに押し込んでいく。喉奥を強く擦られてむせ返りそうになりながらも、私はどうにか根元まで呑み込むことに成功していた。
「んふぅ、ん、んー……ン、ンヴぅっ」
 かなり苦しくて、つっかえてるからホントにえづきそうだけれども、私はそれを我慢して、オチ○チンの根元をキュッと唇で締め付けた。そのままゆっくりと、頭を引いていく。
 唇が、オチ○チンの上を滑って捲り返りそうになる。私は唇を締める力を強めて、そうならないようにしながら、ご主人様のオチ○チンについた汚れを、根こそぎ削り取っていく。
「んむ、ん、んんんー……っぷあ、あは、はあ、あ……あむ、ん、んちゅっ、ぢゅるぷっ」
 亀頭まで来たところで、ズズズッと溜まった唾液を吸い上げていく。そのままチュポンと口の中からオチ○チンが抜けてしまった。私は、先端に残った汚れを慌ててすすり上げた。
 ご主人様のモノは、今はもう完全に硬くなっていた。私の奉仕の成果だと思うと、ちょっと嬉しい。
 私がチラリと上目遣いにご主人様を見上げると、それに気付いてくれたご主人様が、私の頭を撫でてくれた。それだけのことで、頭がフワッてなって、そればかりかアソコの方までキュッとなってしまう。
 そのままご主人様に身を委ねたくなるのを、私はそれこそ歯を食い縛って必死に我慢した。今は、ちゃんとご主人様に奉仕しないといけないから。
 私がまた見上げると、ご主人様が頷いてくれた。
 それで私は、ようやく奉仕の続きに戻ることができた。左手でオチ○チンを捧げ持つようにして、右側から顔を寄せていく。
 まずは亀頭に軽くキスをして、残してしまっていた唾液や汚れを拭う。それを、顔の角度を変えて何度も何度も繰り返しながら、少しずつオチ○チンを下りていく。
 ご主人様のオチ○チンを持ち上げて、裏筋にもキスとした時、ピクっと手の中で跳ねたりして、嬉しかった。
 それから、今度はご主人様の股間深くに顔を寄せていった。ご主人様は足を広く開いて、浅く腰掛けるように身体の位置もズラしてくださった。
「失礼いたします……れろ、れろれろ……くちゅ、ぴちゅ、あむ……ん、んんん」
 ご主人様に断ってから、私はタマの方へと舌を伸ばした。舌の上に乗せて転がすように舐めてから、チュルッと口の中に飲み込んでしまう。
 柔らかい、というには何と言うか。オチ○チンが独特の感触であるように、それにもなかなか的確な表現が見つからない。
 ただ言えるのは、そこさえも愛しいということ。
 今の私なら、ご主人様のお尻の穴だって舐められる自信がある。と言うよりも、むしろ舐めたい。ご主人様の全身を、このまま舌で舐め尽くしたいと思う。
 けれども、今はお掃除を命じられているだけで……。
 そこから口を離して三度見上げたご主人様は、私の思いを見透かしたようにニヤッと笑われた。その意図を察することができなかったけれど、でもひょっとしたら許可してもらえたのかもと淡い期待もあって、私は恐る恐るまた顔を伏せていった。
 ご主人様のオチ○チンを押し上げ、袋を脇に広げやる。そこが、私の目に映ってくる。ご主人様からは制止の言葉はない。
 私は、興奮に震える舌先を、ご主人様のそこへそっと押し当てた。
「んっ……」
 呻いたのは私の方。そこに本当に奉仕したのだと思うと、クラッと来ていた。
 けれども、ご主人様も脚がピクっと動いていて、ちょっと嬉しかった。
 そこは、ご主人様のお尻の穴は、別にそういう汚さは全然なかった。いわゆるソレの匂いや、ましてや味なんていうものはこれっぽっちも感じられなかった。感じられるはずもなかった。
 強いていうならば、そこというよりも、その周りには汗の味を感じられるくらいだったと思う。
 もちろん、私はそんなことはまるで気にせずに、そこを舌で愛撫していった。自分が前にしてもらったように、尖らせた舌先でツンツンと突付いてみる。
 そこが、その周りがキュッと収縮するのが分かった。反射的なものなんだろうけれども、やっぱり反応があるのは嬉しい。
 私はもっと奉仕をしようと、さらに身体を捻って首を伸ばしていった。いよいよ目の前に迫ったご主人様のお尻の穴に、チュッとキスをする。
 そうしたら、あぁ……。
 私は本当に変態で、奴隷なんだと実感できてしまった。ウソでも誇張でも何でもなく、お尻へのキスは私の胸を塞いでしまっていた。惨めな自分への憐憫とかでは間違っても全然なくて、ただただ、そこにまで奉仕させてもらえる喜びに私は胸がいっぱいだった。
 だって、普通はそんなことしないんだもの。
 オチ○チンを口ですることはあっても、その先にまで進むことはまずないと思う。けれど、私はその先に進めた。それをすることを、ご主人様に許してもらえた。
 涙が出るほどに嬉しかった。というか、ちょっと涙ぐんでしまっていた。
 私はもう一度キスをさせてもらってから、いったん顔をあげて涙を拭った。ふと見上げれば、何か愉快そうなご主人様の顔があって、それが何だか心の中まで見透かされてしまっていたように感じられて、今度は恥ずかしさに泣きそうになった。
 私はそれを飲み下すと、視界の端にあったご主人様のオチ○チンに向き直った。
 それはさっきよりも大きく、鋭角に、そして硬くなっているように見える。ちゃんと、ご主人様にも気持ち良くなってもらえていたんだ。
「よろしい……ですか?」
「ああ」
「あはぁ……はむ、ん、んぅぅっ……んむふぅ、ふ、ふぅぅっ、ふー……ん、んじゅ、じゅぷ、ズルルっ」
 私は大きく口を開けて亀頭を頬張ると、唇を滑らせながら根元まで呑み込んでいった。口の中を、ノドの奥まで埋め尽くされる存在感に、胸が苦しくなる。
 いったんそこで呼吸を整えると、もう一歩奥へ届けとばかりに私は身を乗り出した。亀頭がノド奥を擦ってきて、えづく感触に瞬間的に鳥肌が立ち、堪らず頭を引いてしまう。
 そうして私は、やたらと粘つく唾液を吐き出していた。ローションのようにヌルヌルする唾が、口から溢れてオチ○チンの上を流れ落ちていく。私はそれをすすり上げるようにしながら、頭を上下に振り動かした。
「はぁ、あ、あうっ……ん、ん、ん、んんん! ……ぷぁ、あむ、むふぅぅ……ん、んじゅぷ、ジュル、ジュプ……チュッ、ヂュルゥ」
 亀頭を舌で舐め回し、顔を傾けて頬の内側で擦る。溢れた唾液で濡れた袋を、手の中で優しく揉み解す。いったん口を離して、根元から裏筋を舐め上げる。
 ご主人様のオチ○チンが、ピクっと跳ねる。先端に、私の唾ではない液体が雫を作る。私はその雫を根こそぎ飲み干すように、オチンチンをゆっくりと頭から呑み込んでいく。
 口の中で唾液が掻き混ぜられ、濁った音を立てる。リズミカルなその音が、私をいっそう奉仕に駆り立てていく。零れた唾液をすすれば、自分自身がふわっと浮くような感じさえしていた。
「ずいぶん上手くなったよな。それに、美味そうにしゃぶるし」
「んぶ、ふ、んぁ……はぁ、あ……だって、ご主人様の、ですから……美味しいに、決まってます」
「ははは、なるほどな」
 ご主人様は私の頭をポンポンと叩くと、そのまま私の髪を梳き上げるように何度も撫でてくれた。誉められたのが嬉しくて、撫でられたのが心地良くて。奉仕することの、服従することの悦びに浸っていた私は、いよいよ切なくなってしまった。
 チラリと見上げると、ご主人様は頷いてくれた。
「あはぁ……ご主人様ぁ……はむ、ん、あんん、んふぅぅ」
 甘えた声を出しながら、私はご主人様のオチ○チンにむしゃぶりつくように舌を這わせた。ペロペロと何度も下から舐め上げ、亀頭のくびれをくすぐる。そこからさらに上へ上がり、尿道口をチュッチュッと音を立ててついばんだ。
 それから私は根元に手を添えると、また深々と呑み込んでいった。
「んぶっ、ぐぅ、ん、んんんっ……ジュルルリュッ、ジュプ、ヂュルゥ……むふぅ、ん、んはぁっ」
 根元を手で扱きながら、頭を上下に激しく振る。口端からは唾液がダラダラと溢れて指に絡み付き、グチュグチュと音を立てる。指に、舌に、唇に感じるご主人様のオチンチン。その熱が、硬さが、味が、私を酔いしれさせていく。
 自分が奉仕しているのか、それとも口を犯してもらっているのか分からなくなっていく。それくらい、私は恍惚の中に呑まれていた。
「いいぞ、そろそろ出すからな」
「……っぷあ、ああ、はい、来てっ……お口にいっぱい、出してくださいっ」
 射精を告げられると、私の中にも息苦しいような期待感が膨れ上がっていった。その思いに駆り立てられるように、私の動きはいよいよ激しさを増していく。
「はぶっ、ん、んぐっ、じゅ、ヂュルルル、ヂュチュゥ! んは、はあ、あ、ん、んん、んんんっ」
「いいぞ、イクぞっ」
 ご主人様の声に、私は思い切り深くオチ○チンを呑み込んだ。
 その瞬間、オチ○チンが膨れ上がるような感じがしたかと思うと、私のノドに熱い精液が叩きつけられてきた。
 その勢いに、私の視界が一瞬白く染められていた。
「んぐぅっ……ん、んぶ、んふううっ!」
 オチ○チンが跳ね上がり、次から次へと精液が溢れ出てくる。その直撃を受けるたびに、ふっと身体が落下するような感覚に襲われる。私はそのまま落ちていきそうになるのを必死に踏み止まりながら、口の中を一杯にするほど注ぎ込まれてくる精液を受け止め続けた。
「……ん、んふぅ……んん、じゅ、ジュルル」
 長い射精が、ようやく終わった。オチ○チンを咥えたまま、大きく息を吐く。鼻から脳天へ性臭が突き抜け、クラッと来てしまう。それでもどうにか、口に溜まった精液を零さないように啜りながら、私はオチ○チンから口を離した。
 唇と亀頭とを、唾液と精液の混ざった液体が橋になった掛かる。顔を寄せて、チュルッとその橋を吸い上げる。
「はふ……う、あ……」
 私は大きく口を開けて、中に溜まった精液をご主人様に披露した。
「よし、いいぞ」
 笑みを浮かべたご主人様が、またポンポンと私の頭を撫でてくれた。
 私も笑みを返すと、口を閉じた。
「んっ……んぐ、んっ……ゴキュ、んんんっ」
 ノドに絡み付く精液を、音を立てて飲み下していく。熱い塊がノドから胃へと落ちていき、私の身体もカッと熱を増していく。
 その疼きをまた飲み下して、私は空になった口をご主人様に見せた。
「よしよし、いいぞ」
「あぁ……ありがとう、ございます……」
 ご主人様が、ワシワシと私の頭を撫でてくれた。犬にでもするような扱いなのに、すごく幸せな気分になれる。私は鼻を鳴らしながら、ご主人様の股間に頬をすり寄せた。
 そこでは、溢れ出た私の唾液がイヤらしい匂いを立ち昇らせていた。口の中に残る精液の匂いとあいまって、私のお腹の奥がまた疼き出す。
 それでも私は、まずはご主人様を見上げながら、ペロペロと唾液を舐め取っていった。
 ご主人様の手が、私の頭に置かれる。
「ちゃんと綺麗にできたことは、誉めてやるよ」
「は、はい。ありがとう、ございます」
 ご主人様の細い指が、私の頬をなぞる。くすぐったさに、つい身を捩る私のアゴを捉え、ご主人様は私に上を向かせていた。
 ご主人様の瞳が、私を射抜く。
「けど、勝手にイった分のお仕置きは別だからな」
「……はい、もちろん、です」
 ご主人様の言葉に、不安と期待が湧き上がる。
 お仕置きって、いったい何をされてしまうんだろう。
 想像するだけで、身体がどうしようもなく熱くなっていく。
 そんな私に、ご主人様が手を差し伸べる。私はその手を取って、立ち上がった。ご主人様が、私の手を引いて歩いていく。お仕置きは、ベッドではしないらしい。
 連れて行かれた先にあったのは、ギロチン台だった。ギロチン部分は、黒く塗られた木製で、かなり雰囲気がある。
 やはり黒い革の張られた細長い寝台は、そこに身体を横たわせるのだろう。そうしたら丁度、頭の来る位置にギロチンがあることになるはずだ。中央には首を嵌める大きめの穴が、その左右にそれぞれ手を嵌める小さめの穴が開いている。
「あの……これに、ですか?」
「そうだよ」
 ご主人様はこともなげに言うけれども、私はさすがに足がすくんでしまった。一方で、頭の中にはもう、このギロチンに拘束された自分の姿が思い描かれていた。
 ギロチンに首を嵌めるには、膝立ちの体勢から、上体を寝台に預けないといけない。そうすると必然的に、私のお尻は大きく後ろへ突き出される。おまけに、寝台の脚にも拘束具が備え付けられている。このギロチンは、上半身だけでなく下肢の自由まで奪ってしまうのだ。
 だとしたら……また、お尻の穴を攻められるのだろうか。それとも今度は、お尻を打たれたりするのか。
「どうした。早くしろ」
「は、はい。ごめんなさい」
 ご主人様は、拘束板の上を持ち上げて、私が頭を入れるのを待っていた。もう、ためらっている暇はない。
 私はギロチンの前に膝を付くと、ゆっくりと身体を前に倒していった。
 ヒヤリと、革の冷たさがお腹に触れた。
 ゾクリと、悪寒以外のものが私の背中を駆け上がっていった。
 ギロチンの方は、本体は木製だったのだけれども、穴の内側にはちゃんとクッションが嵌められていて、そうそう肌に傷つくことはなさそうだった。
 私が身体をズラして首と手の位置を合わせると、ご主人様が上から板を下ろしてきた。
「んっ……」
 首の方は余裕があったけど、手はかなり窮屈だ。引っ張っても全然抜けそうにない。頭の方は、確かめるまでもない。クッションが効いているからか、そんなに痛いという感じはしない。
 耳の側で、ガチャリと音がした。首を捻ると、ご主人様が鍵を掛けたのが分かった。これでもう本当に、私は身動きが取れない。
 私を見下ろすご主人様と、目が合った。
「どんな気分だ?」
「ちょっと……怖いです」
 背中と言うか、腰の辺りが何かムズムズして止まらない。何となく、そう。ジェットコースターで最初の坂をゆっくり登ってる時のような感じ。
 怖いのに、期待してしまっている。
「嬉しそうだな」
「そんな……」
 私は恥ずかしくて目を伏せた。けれども、私の傍に膝をついたご主人様が、私のアゴに手をかけて上を向かせてしまう。
 ご主人様は、とてもとてもとてもとてもとても、嬉しそうに笑っていた。
 その笑顔を見て私は、心の底から思った。
 この人をご主人様と呼べて、本当に良かったと。
 そうして私は、愛液の垂れ落ちる感触に腰を震わせていた。







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