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淫乱で…
作:死に逝く翼



13


 薄く開かれた黒川の唇に、舌を挿し入れる。すぐに黒川の舌が出迎えてくる。絡め取った黒川の舌は、ビックリするくらい熱く感じられた。
 激しく絡ませ合ってから、舌を離す。そうして黒川の口の中、上顎や歯茎を舐めようとしたけど、それを邪魔するように黒川の舌が追いかけてくる。私が舌を引いても、黒川は追いすがってくる。
 チュルッと音を立てて、黒川の舌を私の口の中に吸い上げた。軽く歯で噛みながら、舌先でくすぐる。それからタップリの唾液を乗せた私の舌と一緒に、本人の口の中に送り返す。
 私の唾を黒川が飲み下す音が、やけに大きく聞こえた。
 それからまた、激しく舌を絡ませ合う。唾液の混ざり合う音が、頭の中で反響する。頭の芯が痺れて、顔が火照ってくる。せっかく手足に戻ってきていた力が、また抜けていってしまう。
「ん……ふぅ、あっ」
 背中を指で撫でられ、つい背中を仰け反らせて口を離してしまった。見下ろすと、微笑んだ黒川が私の髪を撫でてきた。その手がまた、背中へと下っていく。
「も、もう……ダメだってば」
 私は喘ぎそうになるのを我慢して、怒ったように言う。笑った黒川を睨むと、その手を取ってベッドに押さえつけた。
「私がするって、言ったでしょ?」
 子供を叱るように睨んでから、黒川の顔を両手で包み込む。
 ゆっくりと身を屈めて、額にそっと唇を押し当てる。
 身体を起こして黒川を見下ろすと、黒川は手を伸ばして私の頬に触れてきた。その腕に抱かれるように、私はまた身を屈めていき、黒川の額にキスをする。
 額に、頬に、唇にキスを繰り返す。黒川に抱きつくようにして、頬と頬をすり合わせる。
「ふふふ……」
 何だかホントの恋人同士みたいで、つい笑ってしまっていた。けれど、こういうのも全然イヤじゃない。むしろ嬉しい。
 裸で抱き合っているので、肌と肌が触れ合う。私の胸が、黒川の胸に押されて形を変える。硬く尖った乳首が擦れて、ちょっと気持ちいい。
 私はそんな気持ちのままに、黒川に愛撫を施していく。頬をペロリと舐めて、耳たぶを軽く噛む。耳の中を舌でくすぐる。
「くっ……」
 呻いたのは、黒川。
 その身体が、何かに耐えるみたいに硬くなった。
「ね……気持ちいい?」
「もちろん」
 恐る恐る聞くと、黒川はニヤッと笑って頷いた。
 なぜか鼻の奥がツンとしてきて、私は黒川にキスをした。
 舌を絡ませ合ううちに、私も高まってくる。
 もっと、もっと黒川に気持ち良くなってもらいたい。
 私は黒川の口の中から舌を引き抜くと、そのまま顎を舐め、首筋を這い降りていく。唾液の跡が付くように首を舐めて、鎖骨のくぼみを舌先でくすぐる。大きく口を開けて、カプッと肩に歯を立てる。
「んっと……」
 黒川の身体がビクッと震える。でも、痛がってはいない。ほんの気持ちだけ噛む力を加えてから、口を離す。残った歯形を見ると、なぜか嬉しくなってきた。
「ふふふ……」
 触ってるだけでも、けっこう楽しい。感じてもらえると、やっぱり嬉しい。黒川も、今の私と同じ気持ちで、触ってるだけでも満足だと言ってくれたのだろうか。
 そうだと、いいんだけれど。
「ふぅ……」
 吐く息が熱くなっていた。黒川に触れるのは、楽しいだけでなく興奮もする。黒川にも、私を触って欲しくなってしまう。
 でも、そうするとまた一方的に私が責められることになるのは目に見えてる。
 私は、黒川の胸に頬をすり寄せた。意外に厚い黒川の胸板は、乗り心地がいい。
「黒川、ひょっとして緊張してる? すごい心臓の音が大きいけど」
「緊張ってか、興奮してるからな」
「じゃあ、もっと興奮させたげるから」
 そう言って、胸に吸い付く。何度も何度も、ついばむようなキスを繰り返す。乳首を軽く指先で撫でてから、口に含む。
「男でも、固くなるんだ」
「そりゃ、作りは同じだろうしな」
「てことは、気持ちいいからなんだよね?」
 乳輪の縁を指先でカリカリと引っ掻きながら尋ねる。
「そういうのって、何度も確認するようなことか?」
「あ。そういうこと言うんだ」
 私は、黒川の固くなった乳首に歯を立てた。反射的に黒川の身体が強張って、私の頭を押しのけようと腕を伸ばしてくる。私はその手から逃れるように反対の乳首に顔を寄せる。そこを舐めしゃぶりながら、黒川の股間に手を這わせていった。
「あっ」
 これは、私の声。
 驚いて声を上げてしまうくらい、それは熱く大きくなっていた。私の片手だと持て余してしまうくらいに。
「ふ、ふふん。やっぱりこんなにしてるじゃない」
 手の中に収まりきらない、圧倒的な存在感。それにドギマギしながらも、どうにか余裕ぶった笑みを作って黒川を見る。
 私以上に余裕のある笑みが返ってきた。
「そっちこそ、どうなんだ?」
 黒川が私の腰を抱くように手を伸ばしてきて、私は慌てて身体を離した。
 アソコは、とっくに濡れてきている。黒川に触れていると胸の奥が熱くなってきて、熱くなるのは胸だけじゃなくなってしまう。お腹の下の方がキュッとなって、アソコが熱く濡れてしまう。
「こら、逃げんなよ」
 黒川が起き上がろうとしたので、私はとっさにその肩を押さえて寝転がせた。
「あのなあ」
「……しょうがないなあ。じゃ、特別サービス」
 あきれた顔の黒川に、ちょっとぎこちなく微笑む。
 私は右足を上げて、黒川の右足をまたいだ。そして黒川の胸の辺りに手を付くと、その太ももにゆっくり腰を下ろしていった。
「んっ」
「お?」
 私と黒川の声に、クチュッという音が重なった。アソコが、太ももに触れた音だ。
 体重をかけすぎない程度に腰を下ろすと、私は前後にゆっくりと腰を振り始めた。引き締まった太ももでアソコが擦られて、クチュクチュと音をさせる。
「ど、どう……?」
「う〜ん。これは、かなりいい感じかも。けっこう気持ちいいし、何より見た目がエロい」
 黒川が頬を緩める。
 私も笑みを浮かべたけれど、実はそんなに余裕はない。最初は小波のようだった快感が、腰を動かすたびに大きくなっていく。喘いでしまうのはどうにか我慢してるけど、もうこの状況をゆとりを持って楽しめない。だけど、ここで普通に動きを止めただけだと、何だか負けたような気になってしまう。
 どうしようかと思った時、サイドテーブルの上に綿棒と一緒に青いボトルが置いてあるのに気が付いた。
「あ……。ねえ、あれって……」
「ん? ああ、ローションだよ」
 私の目線を追った黒川が、予想通りの答えを教えてくれた。
「んふふ」
 私は悪戯っぽく笑うと、腰を上げた。内心でホッとしつつ、手を伸ばしてボトルを取った。
 蓋を開けて、ほんの少しだけ手のひらに出してみる。色は付いてないし、匂いもない。それでも指で触ってみると、かなりヌルヌルする。糸を引くほどではないけど、けっこういい感じ。試しに指に付いたのをちょっと舐めてみたけど、微妙に甘いというか、そんな感じ。全然、舐められなくない。
 ふと見ると、黒川が面白そうに私を見ていた。私もニンマリと笑ってやった。
 私は、黒川の足の間に陣取った。膝立ちになって、黒川に私が良く見えるようにする。そうして、手にローションを垂らすと、自分の胸に揉み込むように塗り始めた。
「んっ……ふぅ、ぁ……」
 ヒヤッとしたのは最初だけ。塗っているうちに気にならなくなる、というより気持ち良くなってくる。ヌルヌルした感触もだけど、塗った場所がテラテラと光って見えるのが、どうにもエッチっぽくて興奮してくる。
「ふふ、ふ……んふ……」
 胸に重ねて塗って、お腹や太もも、アソコにまで塗り込んでいく。媚薬効果なんてあるはずないのに、塗る面積が広くなればなるほど、私の興奮は高まっていく。アソコなんて、塗る必要はなかったくらい。
「じゃ……いくね」
 潤んだ瞳で黒川を見下ろしながら、ゆっくりと身体を倒していく。黒川の身体に、自分の身体を重ね合わせる。
「んぁっ」
 厚い胸板の上でニュルンと乳首が転がって、堪らず喘いでしまう。少し動いただけでも、ローションのぬめりが大きな動きにしてしまう。
 ヌルヌル、ヌルヌルと私の乳房が黒川の胸の上で動き回る。
「はは。サービス満点だな」
「んふ」
 黒川の首をかき抱くと、首を伸ばしてキスをする。ローションのせいで身体ごと動いてしまい、乳首を擦られた私はまた喘いでいた。
 気持ちいいのは、胸だけじゃない。
 騎乗位みたいな形で黒川にまたがったので、股間に熱い塊が感じられる。ちょっと腰を動かしたら、そのままツルッと呑み込んでしまえそうな気がする。
「黒川の……すっごく、熱くなってる」
「そっちこそ」
 視線までも、ネットリと熱く絡ませ合う。
 身体を起こした私は、軽く腰を浮かした。そうして黒川のソレに手を添えると、アソコに触れ合うように腰を下ろした。いわゆる素股というヤツだ。
「んぁっ……あぁっ」
 熱い。
 元々火照っていたそこに、火の棒を押し当てられたみたい。そこから一気にカッと全身が燃え出していく。
 身体が、熱くなる。ドクンドクンと身体中が脈打っているみたい。
「ひゃぅっ、くっ、はぁぁっ……!」
 アソコがすごく疼いて、つい腰を揺すってしまった。私自身の愛液とローションの力とで、想像以上にズルッと擦られて、快感が鋭い電流となって私を撃った。
「くろか、わ……黒川ぁ……」
「ああ、すごい気持ちいいよ」
 涙声で黒川を呼んでいた。黒川はそう答えてくれたけど、声が優しかった。気持ちいいのは嘘じゃないだろうけど、私ほどに切羽詰ってそうにない。私はもう、このまま入れてしまいたくて堪らないのに。
「はぁ、あぁ……あふっ……」
 素股を諦めた私は、また黒川に覆い被さった。胸を黒川の身体に押し付けながら、少しずつ身体をズリ下げていく。
 私の胸が、黒川の胸からお腹へと下がっていく。
 黒川のアレが、私のアソコからお腹へと上がってくる。
「あぁっ……んっ、んぁっ!」
 胸の谷間に、ソレがやって来た。
 私は両手を踏ん張って身体を支えると、ローションまみれの乳房をソレに押し当てた。
「ふっ……ふぁっ、あっ……な、何か……んぁっ!」
 ヌルヌルの胸で擦ると、こっちまで気持ち良くなってくる。ぬめりのせいで、触れる場所を上手く固定できないけど、それが返っていい感じがする。思いもしないタイミングで乳首を擦りつけたりすると、つい声を上げてしまう。
「あぁ、あ……ん、んふ、ふぅ……い、いい……」
 むしろ自分が気持ち良くなるために、私は夢中で身体を動かしていた。ヌメ光る白い胸が、赤黒いそれで形を変えられる様は、見ているだけでも興奮する。おまけに、触れるたびに快感が送り込まれるのだから、もう堪らない。
「ホラ……」
「……ん?」
 黒川が、私の髪を撫でてきた。顔を上げると、黒川は顎をしゃくるようにした。
「ん……」
 意図を察して、私は名残惜しかったけど身体をずり下げた。
 目の前で見るそれは、何だか本当に『そそり立つ』といった感じがする。身体の一部というにはあまりに異様で、でも……すごく……。
「はむ……ん、んふぅっ」
 吸い寄せられるように私は口を寄せ、いきなり含んでいた。
 先っぽを咥えただけで、口の中がいっぱいになったみたいになる。すごく熱くて息苦しくて、頭がクラクラする。黒川のは、いつも私を興奮させる。最近に私は、口でするのが好きになっているくらいだ。
 だから、と言うわけではないけれど、いつもと違うのにもスグ気が付いた。
 微妙に甘い味がする。私の身体に塗ったローションが付いたんだろう。
 私はその甘味を舐め取るように、口の中で舌を回した。
「んっ……」
 黒川が呻くと同時に、口の中でそれがビクンと動いた。
 こんな風に気持ち良くされてると、もっと気持ち良くなって欲しいと思う。
 私はグッと喉の奥まで咥え込むと、強く吸い上げながら頭を引き上げた。全部は吐き出さず、先端だけを口に残して先っぽを舌でくすぐる。それからまた、根元までを口の中に招き入れる。
「んっ、んふっ、ぶ、じゅぷっ……んむぅ、じゅるっ」
 唾液を溢れさせながら、激しく頭を振る。唇や喉の奥で締め付け、時には頭の角度を変えて頬の内側で擦ったりもする。
 そうしてるうちに、私の身体もどんどん熱くなっていく。黒川を口で気持ち良くしてるのか、それで口の中を気持ち良くしてもらってるのか、その境界が曖昧になっていく。
「はぁっ、ん、んんんっ……ちゅっ、んふぅ、ん、んん……」
「い、いいぞ……何かホントに、上手くなったよな」
 行為に没頭していても、黒川の声は耳に届いた。少し動きを緩めて目を動かすと、黒川が手をきつく握っているのが見えた。
「ん……ふぅ、はぁ……ね、気持ちいい?」
 口を離して、熱っぽい瞳を黒川に向ける。その間も、手では根元をちゃんと扱いている。
「ね、黒川ぁ」
「うん。けっこうきてる」
 正直な感想に、笑みが零れる。
 いつもより早い気がするけど、考えてみれば黒川は、今日は一度も出してないわけだし、ここを舐める前もいろいろしたのが実は効いてたのかもしれない。
「……じゃあさ」
「ん?」
「いっぺん、口に出してよ。それから……ちゃんと、ね?」
 肘で身体を支えて私を見下ろしていた黒川が、バタッと寝転がった。
 私は根元は手で扱きつづけながら、先の方から口の中に呑み込んでいった。
「ふっ……んっ、はむっ……んっ、んちゅ、んむっ、んんっ……じゅるっ、ちゅぅぅっ」
 手と頭の動きをシンクロさせる。激しく吸い上げながら、根元を小刻みに擦る。舌で先端を舐る間に、袋を手のひらで転がす。
「んっ、そろそろ……」
 その言葉に、私はまた深く咥え込んだ。ジュプジュプと唾液を掻き混ぜる音を立てながら、勢いよく頭を振る。零れる唾液のすべりを借りて、手の動きも速くなっていく。
「ん、んん、んぅ……はふっ、ふっ、んむぅっ、んっ……ちゅっ、ちゅるっ、ずず……ちゅっ、んんん……」
「だ、出すぞっ」
「うんっ、んっ、んんんっ、じゅるっ」
 最後に大きく吸い上げた時、それが膨張したような感じがした。そして次の瞬間には、喉の奥に熱い精液を叩き付けられていた。
「んんっ、ん、んむむぅ、んぅっ……」
 熱さと、その独特の匂いと味が、私の脳髄を直撃した。
 懸命に飲み下しながら、私も軽い絶頂に押し上げられていた。黒川のが断続的に脈打ち、吐き出すたびに、頭の奥が痺れて視界が白くなっていくのを感じる。
「ふぅ……」
 満足そうに息を吐いた黒川が、私の頭に手を置いてきた。私は唇を引き絞ると、チュルッと吸い上げながら黒川のモノから口を離した。
「ん……んんっ、ん……はぁ、ん……」
 大きく喉を動かして、口に溜まった精液を飲み下す。舌を使って、口の周りや中に残った分も掻きだすようにして、出されたものをすべて飲み込む。
「はぁ……やっぱ中身は苦いかな」
「ん?」
「ああ、うん。ホラ、私の塗ったローションが付いてたでしょ、黒川のに。で、外はちょっと甘い感じもしてたけどってね」
「ははは、なんだそれ」
 黒川があきれたように笑う。私も笑い返したけど、すぐにその質を変えてやった。小首を傾げて、誘うように。そうしながら、まだまだ元気な黒川のを指で触った。
「……ね?」
「ま、そういう話だったし」
 私は笑みを深めると、黒川の股間に顔を埋めた。
 精液の匂いが残るそれを、ためらいもせず口に含む。
「くぷ……ちゅっ、じゅゅるるる……ちゅぅぅぅぅ……」
「んっ」
 中に残ったのを吸い出すと、黒川が呻いた。口を離さず目だけで笑いかけて、最後にもうひと吸い。全部吸い出してから、先っぽの出口の部分を舌でくすぐる。
 かなり力を取り戻してるけど、まだ完全じゃない。
 私は一旦顔を離すと、今度は舌で胴体を舐め始めた。下から上へ、汚れを舐め取るように舌を使う。そうして何度も舐め上げてから、先端部分を口に含む。頭を回すようにしながら中で舌を動かすと、それはさっきよりも熱く、硬くなっていた。
 口から吐き出すと、それは私の唾液に濡れ光っていた。
 女は視覚的には興奮しないっていうけど、今の私のこの気持ちはどうなんだろう。見ていてすごく、興奮しくる。それは、口でしてたからだろうか。
 とにかくコレを入れたくて、身体が疼いてしまう。
「……はぁ」
「どうかしたのか?」
「……何でもない」
 適当に誤魔化すと、それにチュッとキスをした。
 顔を上げて、その感触の残る唇をなぞる。その形も大きさも硬さも、私の中にありありと刻み付けられている。
 背筋をゾクッとした快感が走り抜けて、私は愛液を滲ませていた。
 本当に、もう欲しくて堪らない。
 だけど、やっぱり……。
「それで……さ、黒川。そろそろ、その……やっぱり……お尻で、してみ、たい……けど」
 小指を軽く噛むようにしながら、黒川の様子を窺う。黒川は笑って頷いてくれた。
「そうだな。じゃあせっかくだし、このまま準備してもらおうか」
「準備って?」
「ゴムつけて、ローションを塗る」
 言われても、すぐに動けなかった。もちろん、恥ずかしいとかイヤだとか、そんな理由じゃない。
「あの……さ」
「ん?」
「ゴムって……付けないとマズイ……よね?」
「生でやってみたいのか?」
「……う、うん」
 女性としては間違っているんだろうけど、私はコンドームが好きじゃなかった。前はちゃんと付けてたけれど、黒川とするようになってから、付けない方がいいと言うか、好きになってきていた。
 ただ、後ろは雑菌だらけだから、避妊とは全然別の理由でゴムは必要だと読んだこともある。黒川なら当然、その辺は熟知してるだろうけど、それでも私は生身の黒川が欲しかった。
「……ダメなら、いいけど」
「ま、いいか。じゃあ、ローション塗って」
「う、うんっ」
 我ながら現金なもので、声の調子が一変していた。黒川に不安を拭われた私は、即座にローションの入ったボトルを拾い上げていた。
 タップリと手のひらに垂らして、それを両手で擦り合わせるようにする。そうやって手に馴染ませながら冷たさを取ったローションを、黒川のにまぶしていった。
「ふふ……何かすごいね」
 ニュルニュルと、私の手の中で黒川のそれが動き回る。普段、手でする時とは比べ物にならない滑り具合が何だか面白くて、そして興奮させられる。
 黒川も興奮してるのか、さっきよりそれが熱く硬くなってきたような気もする。
「こんな感じ、かな?」
 満遍なく塗り終え、それでもゆっくり扱くように手を動かしながら黒川に尋ねる。
「オレの方はな。じゃあ、そっちはオレが塗ってやるよ」
「え?」
「お尻の穴」
「なっ!?」
 驚くようなことでもないのに、つい黒川のを握り締めてしまった。ローションのおかげで、手がヌルッと滑って離れてしまう。
「い、いいわよ。自分で、するから」
「ふーん?」
 顔が赤くなってるのが分かる。そんな私を、黒川がニヤニヤと見ている。
 そりゃあ、さっきまで指や舌でさんざん触られたけど、その準備のために触られるというのは心の持ちようが違う。それをされるのは、やっぱり恥ずかしすぎる。何だか耳まで熱くなってきた気がする。
「まあいいけど。でも、中までちゃんと塗っといた方がいいぞ」
「わ、分かってるわよ」
 ドモリながら答えた私は、黒川のの根元に溜まってたローションを指ですくった。テラテラと光る指先を見て、唾を一つ飲み込む。それから、背中の方からゆっくりとお尻へと手を伸ばしていった。
「んっ」
 そこに触れただけで、声が漏れてしまう。お尻の穴も、触れられるのを拒むように反射的に窄まっていた。
「ふぅ……」
 息を吐いて、身体から力を抜く。それから改めて、そこへ指を這わせた。
「んっ……はっ、あぁ……」
 ヌルヌルと、私の指が粘膜を這う。お尻をほぐすように指を動かすうちに、ムズムズした感じも気持ち良さに変わっていく。
「ふっ、くぅぅっ……んっ」
 眉根を捩じらせて、快感に喘ぐ。さっき黒川にさんざん弄られたせいか、ホントにお尻がいい。前に自分で触った時よりも、ずっと。
 そうだ。ここまでは前に自分でしたことがあるわけだ。ただその時は、怖くて指を入れるまではできなかった。
 でも、今日は違う。
「んぁっ、あはぁぁっ!」
 驚くほど簡単に、私のお尻は指を受け入れてしまった。それも、根元までスッポリと。
「はっ、はぁっ……あっ、入っ……てる」
 胸がドキドキする。いけないことをしてる気分で、すごく気持ちが昂ぶってくる。
「どんな感じだ?」
「う、うん……。入口が、ギュッて締まってて……」
 気持ち良かった。
 お尻の穴も、締め付けられる指も、両方が。
「はぁ、あぁ……あんっ、ん、んぁっ」
 誘惑に駆られて、指を出し入れさせる。私の指は細いのに、引き抜くときは本当にフワッと腰が浮くような快感が走る。挿し入れる時は、その捻じ込まれるような感覚が背中を震わせる。
「こ……こに、あ、あぅっ……これ、これがっ……」
 指を使いながら、私は黒川のモノを握っていた。私の指なんかとは、比べ物にならないほど太くて長くて熱い。
 指でさえこんなに気持ちいいのだから、もしもコレが入ったりしたら……。
「ね、ねえ……黒、川ぁ」
「もう堪らなくなってきたか?」
「う、うん。もう、もう私っ……」
 すがるように黒川を見る。その間も、お尻を弄る指を止められない。グチョグチョと音を立ててローションを掻き混ぜながら、お尻の穴を指で抉る。
「い、いいでしょ、黒川……お願い、欲しいの」
 お尻から湧き上がる快感が、私に黒川を求めさせる。
「入れて、いいよ、ね……。黒、黒川の、オチ……オチ×チン……お、お尻に、お尻の穴に、入れたいの」
 言われもしないのに、はしたない言葉でおねだりをする。その時には、お尻を抉る私の指は二本になっていた。
 もう本当に、我慢できない。お尻の穴は、ドクドク脈打ちながら私の指を締め付けている。アソコもさっきから熱く疼いてたまらない。
 もっと、もっと強い刺激が欲しい。黒川に入れられないと、このまま自分の指を激しく動かしてしまいそう。
「し、したいの……黒川、私……お尻で、したいの……入れたいの」
 瞳が熱く潤みだしてきた私は、黒川のを扱きながら訴える。黒川がようやく起き上がろうとしたけど、私はそれを制していた。
「どうした?」
「……入れて、いいよ、ね?」
 いぶかる黒川に、逆に問い掛ける。私の意図を察した黒川は小さく笑うと、起こしかけていた身体をまた寝転がらせた。
 指で招かれた私は、黒川の腰の辺りをまたぐようにして膝立ちになった。アソコから零れた愛液が、黒川のに垂れていった。
 硬くそそり立つ黒川のモノに手を添えて、ゆっくりと腰を落としてく。
「んっ」
 お尻の穴に、先端が触れる。互いに塗り込んだローションが触れ合い、クチュッと音を立てる。
 すごく熱い。
 鼓動の音がうるさいほど、私は緊張していた。
「じゃ、じゃあ……黒川」
「どうぞ?」
 黒川の答えは、あくまで軽い。私は小さく頷くと、グッと腰を沈めた。
 ミシッと軋むような音がした気がして、苦痛に顔を歪めてしまう。想像以上に、太い感じがする。
「はっ、はぁ、はぁぁぁ……」
 一度腰を上げて、大きく息を吐く。深呼吸を繰り返して強張った筋肉をほぐしてから、再度挑戦する。
「ふぅぅ……はぁぁ……ふぅぅ……んんんっ!」
 呼吸に合わせて腰を落とすと、今度はズズッとめり込んでくる感触があった。
「うぁっ、あ、あ、あぁ、あああぁぁぁ……」
 大きく口を開け、呻きながら一気に腰を沈めた。
 ヌヌヌヌっと、熱く硬いモノが私のお尻の穴をこじ開け、中に突き進んでくる。背筋を何かが這い登る感覚に、ゾワッと全身に鳥肌が立つ。
「ひっ、ひぁ、ああぁぁっ!」
 すべてを呑み込んだ私は、涙を流していた。
 お尻の穴が、ギチギチに広げられている。お腹が重く、圧迫されてる感じもある。お腹をさすると、本当に入っているのが分かった。痛みもあるけど、耐えられないほどじゃない。
 むしろ、痛みさえも気持ちいい。
 初めての快感に、身体がゾクゾクと震え出す。私が自分の身体を抱き締めていると、黒川が手を伸ばしてきて涙を拭ってくれた。
「どうだ? 処女喪失の感想は」
「……馬鹿」
 悪戯っぽく笑う黒川に、ぎこちないながらも笑みを返した。
 身体から右手を離して、お尻の方からソコをそっと触ってみた。
「お尻……ホントに、入ってる」
 ドクドクいってるのは、黒川のなのか私のお尻なのか。限界まで広げられたソコが、たまらなく熱い。
「ど、どうしよう……黒川、私、何か……」
「ん?」
「お、お尻……入ってるだけで、もうっ……気持ち、良くてっ……」
 キュッとお尻に力を入れると、その締め付けを引き千切るような存在感が誇示される。お腹の奥で、熱い塊が大きくなっていくみたい。黒川のがビクッと震えるだけで、理性を吹き飛ばされてしまいそう。
「ははぁ。だけどな、もっと気持ち良くなれるんだぞ? それとも、もう止めとくか?」
「……う、ううん」
 小さく首を横に振る。
 私は唾を飲み込むと、黒川の胸に両手を置いた。そうして足に力を入れて、私の中に埋まった黒川のモノをゆっくりと引き抜き――。
「ひぁぁっ……あぐっ!」
 ほんの少し引き抜いただけで、栓が外れたようにドッと快感が押し寄せてきた。お腹が抜けるような快楽に私は呆気なくイってしまって、力を奪われた私はまた、黒川のを根元まで咥え込んでいた。
「ひっ、ひぃっ、いっ……」
「おいおい、大丈夫かぁ?」
 黒川に答えることもできない。私は黒川の胸に顔を埋めるように身体を丸め、息も絶え絶えに喘いでいた。
 お尻がこんなに、こんなにすごいなんて……。
「おーい」
「いあぁぁっ!」
 下からズンッと突き上げられ、私は背中を仰け反らせた。不意打ちの快楽に、身体がバラバラになりそうだった。
「はっ、はぁっ、はぁぁっ……あ……」
「いや、動いてもらえないと、オレ的にはあんまり気持ち良くないんだけどな?」
「ご、ごめん……」
 黒川に言われて、自分の気持ちを思い出した。
 私は、黒川にも気持ち良くなってもらいたかったんだ。
「じゃ、じゃあ……いくね」
「どうぞどうぞ」
 呼吸を整えて、黒川の胸に手を付く。奥歯を噛み締めて、キュッとお尻に力を入れる。黒川のを強く締め付けておいて、立ち上がるように腰を浮かせる。
「あっ、あああぁぁっ!」
 お尻の穴を、黒川のが滑り出て行く。ズルズルっと、内臓ごと引き抜かれそう。お腹が軽くなる感じがとても、とてもとても気持ちいい。
 これを途中で止めるなんて、絶対に無理。
「んはぁっ!」
 堪らず私は、一気にすべてを引き抜いていた。壮絶な爽快感にひときわ大きく叫ぶと、黒川の上に突っ伏した。
 絶頂の余韻に、身体がビクッビクッと意思と無関係に震えている。
「……あのなあ」
 黒川のあきれたような声が聞こえた。
 緩慢な動きで、顔を上げる。黒川と目が合うと、さすがに気まずさが込み上げてきた。
「ご、ごめん……」
「まあ、感じないより感じるに越したことはないけどな」
 フォローしてもらっても、さすがにバツが悪い。お尻には、まだまだ硬いままの黒川のが当たっている。
 私はひとまず黒川の上から降りると、黒川の手を引いた。身体を起こした黒川が、ベッドの上にあぐらをかいて座った。
 チラッと見ると、アレがピンとそそり立っていた。おまけに黒川の下腹の辺りはベットリと濡れている。マズ間違いなく、私の愛液だ。その濡れ具合に、ますますいたたまれなくなる。
 でも、だからこそ。
 私だけが気持ち良くなってちゃいけない。
「あの……さ」
「ん?」
 こういう時、黒川は決して急かしてこない。黒川から求めてくることも、滅多にない。
「す、好きにしてくれて、いい……から」
 何をと問われる前に、私は姿勢を変えた。
 上体を倒した、四つん這い。お尻だけを高く上げて、黒川に突き出す。
 これから口にする言葉を思うと、胸が苦しい。なのに不思議と、不快じゃない。恥ずかしいのに、泣きたいのに、それでも身体が熱く疼く。
 私は両手を伸ばすと、お尻の肉をキュッと掴んだ。その合間にある小さな穴を、黒川に差し出す。
「お……お尻で、気持ち良く、なって……」
 声が震えていた。
「おね……がい」
 涙のにじんだ顔を、ベッドに擦りつける。
 その時、ベッドが軋んだ。黒川の手が、私のお尻に添えられた。
「それじゃ、遠慮なく」
「ん……んぐぅぅっ!」
 同じ物が入ってきたはずなのに、角度が違うせいか感触も違うように思えた。
 さっきよりもまだ、熱くなっているみたい。本当に燃えた火の棒を突き込まれたように、お尻が、お腹が爛れるほどに熱い。
 その熱が、前の方にまで伝わってくる。ジンジンと疼くアソコから、愛液が零れていくのが分かった。
 熱い。
 熱いのが、気持ちいい。
 私が歯を食いしばり、握った拳を震わせた。
「じゃ、動くからな」
「あっ、あぐっ、うっ、ああぁぁっ!」
 ズンッと奥まで突かれてから、ズズッと引き抜かれ始めた。
 太く硬いのが、私の中から出て行く。代わりに、腰が抜けるほどの快楽を私の中に残して。
「ああっ、あ、んぐぅっ!」
 一気に奥まで埋めなおされる。空洞を埋め尽くされていく感じに、お尻の穴を擦り上げられる痛みに、私は喉を引き絞って悲鳴を上げていた。
「ひぁっ、あっ、ああぁっ、いあぁっ!」
 すぐにまた引き抜かれる。本当に内臓ごと引きずり出されそうで、全身が粟立つ。ジェットコースターの急降下にも似た、息を呑むほどの快感。
「どうだ? 気持ちいい?」
「は、はぁっ……あ、いっ……いいっ、気持ち、いっ!」
「どこが、気持ちいいって?」
「あっ、あっ……あぁっ、おし、お尻がっ、いぃっ! お尻、お尻の穴が、私っ……あ、あぁっ、あぐぁぁっ!」
 黒川が一気に腰の動きを速め、私は大声で吼えた。
 埋められ、そして吐き出される。
 その快感に、強烈な熱が加えられた。
 激しく動かれることで、お尻の粘膜が抉られるように扱かれていて、熱いんだか痛いんだかもう分からない。
 熱いのに、身体がブルブルと震えている。
 腰の、下半身の感覚がズクズクと溶けていく。
「くぁぁっ、あ、あああっ! お尻が、お尻がいいのっ」
「いいのは、お尻だけじゃ、ないだろ?」
「ひぎぃっ!」
 黒川の指が、私のアソコに潜り込んできた。お尻の熱が伝導していたそこを掻き回され、私は呆気なく達してしまう。
 けれども、それで黒川が終わるはずもない。いよいよ激しくお尻を犯される。
 快感のゲージが振り切れて、私は泣きながら喘ぎ続けた。
「いぁぁっ、あ、あ、あぁぁっ! こんな、お尻、お尻が、私、もうっ……」
「どうした? またイクのか?」
 黒川が腰を叩き付けるようにしながら、アソコを指で掻き乱す。
「ひぅっっ…………うあっ、あ、ああぁぁっ!」
「ほらほら、イク時はちゃんと言わないとダメだろ?」
「あ、あ、あ、ああああっ!」
 もうホントに、わけが分からない。気持ち良すぎて、何も考えられない。
 気持ちいい?
 それさえも定かじゃない。とにかく、熱くって白くって、私は……私は……っ。
「わ……たしっ、やっ、ダメっ……こんなっ……」
「待ってろ、オレももう、イクからな」
 溶けていく世界の中で、黒川だけが確かな形を保っていた。黒川の声は耳に届いたし、お尻を突く動きもますます速くなったのが分かった。
「ね……ねっ、くろ、かわっ」
「もうっ、限界、か?」
「うっ、うんっ……んっ、んあぁっ、ダメ……い、いく、イっちゃっ……あ、あかっ、はっ、はぁぁぁぁっっ!」
 私が限界を超えた瞬間、お腹の中で黒川がドクンと膨れ上がった。
「うぁっ、ああああああっ……!」
 黒川が脈打つたびに、私の中に熱い塊が放たれる。そう。それは液体を注がれるなんてものじゃない。まるで火の玉を撃ち込まれるようで、最後に残っていた私の意識も呆気なく焼き尽くされてしまった。
「ふぅぅ……良かったよ、ホント」
 白く染まっていく世界の中、黒川の笑う顔が見えたような気がした。







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