!警告!
この小説は18歳以上を対象とします。18歳未満の方は移動してください











淫乱で…
作:死に逝く翼





 床に座り込んでいた黒川が立ち上がった。つられて立ち上がろうとした私を制したその手が、私の頬に触れてきた。触れるか触れないかの微妙なタッチ。脆いガラス細工でも扱うような丁寧さで、黒川の指が私の頬をなぞっていく。
 頬を滑り降りた指が、首筋からうなじに回り、私の髪を梳き上げていった。
「ん……」
 たったそれだけで、私はもうウットリとさせられてしまった。
 黒川は、明らかに女の扱いに慣れていた。しかし私は、それを悔しいと思うこともなく、黒川の指に身を委ねていた。
「あ……っ」
 黒川が、私の首に唇をそっと押し当てた。そこから送り込まれた微かなくすぐったさが、私の頭を痺れさせていった。どうしよう。黒川は、予想以上に慣れているみたいだ。
 気が付いた時には、唇に柔らかな感触があった。
 黒川の、唇。
「……ん……」
 その時の私は、黒川のキスを素直に受け止めてしまっていた。
 正直に言うなら、キスをさせるつもりはなかった。おかしいと思うかも知れないが、SEXとキスは別物なのだ。私にとってキスは、SEX以上に大切なものだ。
 けれども、私は黒川とキスをしていた。
 黒川の唇は、柔らかく、滑らかだった。
 私は目を閉じ、黒川の肩に手をかけて、そのキスを味わっていた。
 舌を触れ合わせることもしない、ただ唇と唇を重ね合わせるだけの、そんな優しいキスに、私は震えていた。頭の奥が痺れていたが、興奮の予兆とは別の、甘い疼きだった。
 長いキスだった。
 けれども、私はその初々しいキスに、満足させられてしまっていた。ようやく顔を離した黒川が、思いがけないほど優しい微笑を見せたりしたから、照れくさくなってしまったほどだ。
 思わず黒川に見とれてしまった自分をごまかすように、私はわざとふざけた口調で話しかけていた。
「黒川って、絶対慣れてるよね」
「何に?」
「女の子とこういうのするの」
「何で?」
「だって、キスがすっごい優しいもん」
 私が冷やかしてやると、黒川は小さく笑った。
「優しくされるのが、好き?」
 私も小さく笑いながら答えた。
「優しくて、それでいて荒っぽいのが好き」
「じゃ、ご期待に応えて」
 黒川が、もう一度唇を寄せてきた。私は、薄く口を開いて黒川を待ち受けていた。唇同士が触れ合ったと思ったら、黒川の舌が滑り込んできた。たちまち、私の舌は黒川に絡み取られた。私は黒川の首にしがみつき、必死になって黒川の動きに応じていた。
 痺れているのは、もう頭の芯だけではなかった。
 顔が火照り、身体が熱くなり、下腹部が熱を帯びてくるのが分かった。
 私の肩を抱く黒川の手が、背中をなぞる黒川の指が、黒川に触れられているというその実感が、ますます私の身体を燃え立たせた。
「んんんぅ」
 黒川が唇を離そうとしたが、黒川の首に回した私の腕がそれを許さなかった。離れかけた黒川を強引に引き寄せ、彼の舌を求めた。
 そんなこんなで、背中のラインをたどっていた黒川の指が、お尻の方からスカートの中に潜り込んできた時には、私の準備はすっかり整っていた。だから、黒川がショーツに指を掛けてくると、私は無意識のうちに腰を浮かして、黒川がショーツを脱がすのを手伝っていた。黒川が膝の辺りまでズラしたショーツを、後は自分で足をもじつかせて脱ぎ捨ててしまった。
 そこで、ようやく私たちは唇を離した。
「っぷはっ……ぁ」
 大きく息を吐いた私たちは視線を重ねると、同時にニヤッと笑っていた。
「激しかったろ?」
「まだまだ甘いと思うけど?」
「そう? じゃ」
 黒川は、だらしなく広げられている私の足下に座り込むと、いきなりスカートを捲り上げた。
「ちょっ、こらっ!」
 さすがに私も焦った。ショーツを脱いだところだから、つまりアソコが丸出しな訳だ。激しくするのと性急なのとでは意味が違う。とっさに私は足を閉じようとしたが、黒川はとっくに私の足の間に陣取っていて、私に足を閉じさせない。
 黒川の頭が、私の股間に近づいてきた。
「ひっ!」
 反射的に声を上げてしまった。
 けれども、伝わってきたのは思っていたよりずっと緩い刺激だった。
「え……? ……ぁ……、っく……」
 黒川が舐めたのは、アソコではなく私の足の付け根だった。
 いきなりソコを責められなかったことは、私を安心させた。そしてホッと緊張を解いた私の心の中に、黒川の愛撫はジーンと染み込んでいった。
 黒川の舌が、ネロ〜っと私の太ももを舐め上げていった。かと思うと、指先でツツーッと撫でられた。黒川は肝心の部分には決して触れてこなかったが、それでも私は黒川が動くたびに、身体を震わせ声を上げてよがってしまっていた。
「ずいぶん感じやすいんだな」
「うっ、うるさ……、ひゃんっ!!」
 余裕の口振りの黒川が憎らしく、言い返そうとしたのにできなかった。
 黒川が、私の膝の内側をペロッと舐めたのだ。
 それだけで、私はビクンと震えていた。そんなところが感じるなんて、思いもしなかった。ましてや、そんなところを舐められるのも初めてだった。なのに、私は感じてしまっていた。まだアソコは触れられもしていないというのに、私のソコは熱くって、濡れてしまっているのが自分でも分かっていた。
 そうすると黒川が、わざわざ私にそのことを指摘してきた。
「なあ、自分でも濡れてるの分かる?」
「この程度で濡れるわけないでしょ」
 私はバレバレの虚勢を張った。私がされたのは、キスと、せいぜい太ももを舐められるとか、その程度の愛撫に過ぎない。胸も、アソコも触られていない。それで素直に頷けるはずがない。それが、すぐにバレる嘘だとしても、私は嘘をつくべきだと、そう思う。
「ふ〜ん。俺には、十分濡れてきてるように見えるけどなぁ」
「……ぁっ」
 黒川が、初めて私のアソコに触れた。
 それは、愛撫の類ではなかった。多分、人差し指と中指を添えて、その指をVの字に開いたんだろう。私のソコに、触れるはずのない空気の触れた、ヒンヤリとした感覚があった。
 冷気を送られたというのに、私の身体は熱くなっていた。
 黒川に見られている。
 私のすべてを、隅々まで、全部見られている。
 そう思うだけで、私の鼓動はどんどん大きくなっていった。
 黒川の視線をソコに感じながら、私は唾を飲み込んだ。この先に与えられる刺激を思うと、否応なく興奮は高まっていった。
 けれども黒川は、たいがいにとぼけたヤローだった。
「いきなり俺を誘うから、遊んでるかと思ったけど、そうでもないみたいだな」
「そんなこと言わ……あひゃぁっ!!」
 今度は、太ももに歯を立てられた。そこから、ビリッとした電気が走っていった。
 私の奥から、ドプッと音を立てて、愛液が溢れ出るのが分かった。黒川に広げられたその奥から、正しく溢れだしてきた愛液が、糸を引いて流れ落ち、ソファーを濡らすのまで見えるようだった。
 いや。黒川は現にその光景を見ているのだ。
 私が濡れる様を、黒川が見ている。
 私は、黒川に見られている。
 もう、駄目だった。限界だった。
 私の身体はどうしようもなく熱くって、呼吸はどんどん荒くなっていた。拳を握ったり開いたりしてみても、もう何の意味もなかった。
「ねえ、黒川……」
 腰をもじつかせながら、私は黒川の名を呼んだ。
「何?」
 しれっとした様子で尋ねる黒川を、憎らしく思う余裕はもうなかった。
「その、私、もうちょっと……」
 私の声は、普段からは想像できないほど弱々しかった。顔だって、泣きそうになっていたと思う。
 そんな健気な女に、黒川は意地悪い笑みを返したのだ。
「あぁ、荒っぽいのがいいって言ってたっけ?」
 私は無言で頷いた。
「でもな、SEXていうのは意外性が大事なんだぜ? 激しくして欲しい相手に激しくしても、効果は薄いんだよな。だから、あえて優しく焦らす。分かる?」
「それは分かった……きひぃぃぃぃっっっ!!!」
 また引っ掛けられた、とか思う余裕などなかった。
 黒川が、いきなり私のアソコに吸い付いてきたのだ。
 それも、クリトリスに。
 何をどうされているのかなんて、全然分からなかった。ただただ、凄い気持ちよさが私に流れ込んできた。
「あぁっ、はぁっ、いあっ、っっ! ぃぃいいいっっ!!」
 私は股間に張り付いた黒川の頭を必死に押さえ込んでいた。もちろん、それで黒川が頭を離すはずもなかった。それに私の腰は黒川に抱え込まれていたので、私に逃げる術などなかった。黒川の愛撫に翻弄されるしかなかった。
「はぁぁっ、ちょっ、黒、川っ!!」
 黒川は、ここぞとばかりに私を責め立てた。舌と指で、私を翻弄した。クリトリスを舐められながら、アソコの中に指を突き込まれていた。私はもう声もなく、黒川に覆い被さるように身体を丸めて、ビクビクと身体を痙攣させるだけだった。
 膨らみきったクリトリスに、今までと比較にならない刺激が来た。
 多分、黒川の口の中に吸い込まれたんだと思う。
「っいぃっっっ!!!!」
 私は背筋を仰け反らせて、イッてしまっていた。


 黒川が、私の腰を引き寄せて、私をソファーに浅く腰掛けるようにさせた。
 私も黒川も、全裸だった。黒川に至っては、コンドームまで装着済みだ。気が付いたときには、もうそういう状態だった。何となくだが、自分も黒川に言われるままに身体を動かして、黒川が私の服を脱がせるのを手伝ったような覚えはある。
 だから、今さら私がすることなどなかった。言うべき言葉もなかった。
 出来るのはせいぜい、黒川に微笑んでみせるくらいだった。
 黒川も少し笑ってみせた。
 その黒川の顔が、そっと近づいてきた。
 何だか、恋人同士みたいだ。
 そう思うと可笑しいような気もしたが、私は素直に黒川とキスしていた。
「ん……」
 黒川が、いや、黒川自身が、私のアソコに触れてきた。
 クチャッ……。
 先端が触れ、私のソコを押し開こうとしたとき、そんな音がした。その音を聞きながら私は、背筋をゾクゾクさせていた。私の中にあるのは、黒川を迎え入れる期待だけだった。
「うっ、あぁぁぁ……」
 グググッと、黒川が私の中に突き進んできた。
 身体を下から突き上げられるような衝撃に、私は思わず声を漏らしていた。
 この圧迫感。
 この充足感。
 黒川のすべてを受け入れた私は、感嘆の吐息を漏らした。まさに埋め尽くされたといった感じだ。
 ことここに至っても、黒川は徹底的に私を焦らすつもりのようだった。根本まで差し込んだまま、動こうとしなかった。私の準備はとっくにできているというのに、だ。
 そして私は、自分の身体にそのような仕組みがあることを、初めて知らされた。
「あ……」
 私のアソコが、その、膣の中が、ピクピクと勝手に動き出したのだ。まるで、そこに差し入れられた黒川の存在を確かめるように。その結果、私はいよいよ、自分の中に黒川が居ることを強く感とる羽目になっていた。私の中が蠢いて、黒川に触れるたびに、私はそれだけで奇妙な安心感と、快楽への期待とを感じていた。
「はぁぁ」
 私は、自分でもどうしようもない、その自分の内側からの生じる動きに合わせるように、いつしか勝手に腰を揺すっていた。そんな自分に気付いたとき、私はひどく慌てて、赤面してしまった。そんな私の様子を黒川が黙って見ているものだから、私はますます赤くなってしまった。
 けれども、腰が動くのはどうしようもなかった。
 男が動かないのに、女が自分から動くというのは、この上なく恥ずかしいことのように思えた。思えたんだけど、黒川は動こうとしないし、私としては、早くそこに強い刺激が欲しくって、もうどうしようもなかった。
「んっ、ふぅ……、あぁっん」
 私ははしたないくらいに腰を揺すって、黒川を見上げた。多分、瞳は潤んでいたと思う。
「ふぁっ、はあぁっ!」
 ようやく、黒川が動いた。ズルズルッと引き抜かれていくその感触は、多分、男には分からないだろう。いや、突き入れられる感触も分からないだろうけど。とにかくそれは待ちに待っていただけあって、怖いくらいの快感になって私に襲いかかってきた。
 しかも。
「うはぁっ!」
 ほとんど引き抜きかけたソレを、黒川は今度は一気に根本まで突き刺してきたのだ。引き抜かれた余韻に浸る間もなく、すぐさま新たな、それも強烈な快感を叩き込まれた私は、とっさに黒川にしがみついていた。
「ひっ、ぐっ、うんっ、いぃっ、いっ!」
 黒川が、いよいよリズミカルに動き出した。黒川にしがみつくしかできない私は、ただただその動きに、送り込まれる快感に翻弄されるだけだった。
「あっ、ソコっ、ソコぉっ」
 黒川が、私の足を抱え上げた。それだけで、私の中を掻き回す、ソレの当たる角度が変わったのか、より鮮明な快感が私を襲った。しかも黒川は、ここぞとばかりに激しく突き入れてくる。
「ひんっ、ひっ、ひぐっ!」
 黒川に突かれるままに、私は身体を揺らせていた。自分ではもう、何もかもどうしようもなかった。私はまったく、黒川に支配されていた。私の胎内に埋め込まれたソレと、私を抱きしめる腕と。内と外から、私は黒川に占領されてしまっていた。
「うんっ、んっ、んあぁっぁっ!!」
 黒川が、ズンッと奥に突き込んだ。その勢いで、私は一気に絶頂にまで放り上げられていた。
 けれども、そこで終わりではなかった。黒川は私を、その頂から降りてくることを許さなかった。
 私の奥の奥まで突き入れた黒川は、そのままグリグリと腰を動かしてきた。つまり私は、自分でも決して届かない、自分の一番奥を、今初めて刺激されたのだ。
「黒っ、黒川ぁぁぁっ!!」
 もう本当に、どうしようもなかった。私の声は、喘ぎ声というよりも泣き声だった。快感にすすり泣いていた。次々に湧き起こる大波に流されないように、しっかり目を閉じて黒川にしがみついていた。けれどもきっと、私の顔はあまりの快楽にとろけきっていたことだろう。
 黒川の声が、初めて聞こえた。
「じゃあ、そろそろ」
 黒川が上体を倒してきて、私の身体をしっかりと抱きかかえた。
 すぐに、強烈な勢いで黒川が動き出した。
 それは本当に、突くというよりも抉るといった感じだった。
「ひぃぃぃぃ! し、しないでええ! もっ、もうぅっ、そんなあぁ!!」
 狂う、狂ってしまう……っ!
 私は泣き叫んでいた。一突きごとの衝撃が、恐ろしいほどの快感の波となって私に襲いかかってきた。私はもう、それに耐えることはできなかった。
「そんなっ、そんなにされたらぁっ!」
 私は必死になって、黒川にしがみついていた。そうしないと、バラバラになってしまいそうだった。自分を見失ってしまいそうな私には、黒川以外にすがるものはなかった。
 私の自慢の黒髪は激しく乱れていて、多少は自信を持っている顔も、汗と涎でベトベトだったと思う。
 なのに黒川は、今の今になってなお、キスをしてきた。
 私は夢中でキスに応えた。
 息が苦しくなっても、キスを止めようとしなかった。やがては黒川から口を離したほどだ。見上げた私は、黒川の顔に笑みを見たような気がした。
「いくぞ」
「ああ、あぁぁっ! ひぐぅ! ん、んああああっ!」
 それがラストスパートの合図だった。
 黒川の腰の動きに、私の全身が突き動かされ、うち振るわされてしまっていた。
 ソレはもう、私の全身を貫いているようだった。固く太いソレが、私の内臓のすべてを掻き乱しているみたいな気がした。
「ぎっ! ぐぐぅっ! うむんっっ!!!」
 私が覚えているのは、そこまでだった。
 黒川も、きちんとイッたのかさえ、私は知らなかった。
 悲鳴とも呻きとも取れない声を上げた私は、奈落の底に引きずり込まれていた。







ケータイ表示 | 小説情報 | 小説評価/感想 | 縦書き表示 | TXTファイル | トラックバック(0)


小説の責任/著作権は特に記載のない場合は作者にあります。
作者の許可なく小説を無断転載することは法律で堅く禁じられています。




BACK | TOP | NEXT


小説家になろう