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中国大地震:北京五輪前に貧困層の不満爆発の恐れも

 【北京・堀信一郎】中国四川省で起きた大地震は、今年初めの豪雪に続く大災害となった。約50年ぶりの豪雪は内陸部のインフラ整備の遅れが被害を拡大したと指摘された。豪雪に続いて貧しい内陸部で発生した大地震は、北京五輪を前に貧困層の不満を爆発させる引き金になる恐れもあり、共産党指導部にとって大きな試練になっている。

 中国は今年、豪雪被害で始まり、中国製ギョーザの中毒事件、チベット暴動、五輪聖火リレーの混乱と続き、先月は列車の正面衝突事故も発生、事件と事故が相次いでいる。一方で物価上昇などによる社会不安も募り、共産党指導部にとっては、五輪を前にどのように社会を安定させるかが最大の課題になっている。そうした中で発生した大地震は、指導部がいかに迅速な対応をとり、人的被害を最小限に食い止められるかどうかが問われている。

 胡錦濤国家主席は12日、地震被害を最小限度に抑えることに全力を挙げるよう指示。国営新華社電によると「時間が命だ」と述べ、人民解放軍や武装警察、医療関係者を現地入りさせた。温家宝首相が12日夜に四川省入りして陣頭指揮をとっているのも、指導部の迅速な対応を国民に示すためだ。

 地震の発生が比較的少ない中国の建物は、耐震構造になっていない。特に内陸部の学校などの公共施設は簡素な構造になっているため、被害が甚大になる恐れがある。今年初めの豪雪被害の時も、故障した発電施設への道路が未整備のため電力復旧工事が大幅に遅れ、社会不安が増大した。

 こうしたインフラ整備の遅れが被害拡大につながると、貧困層からは「弱者を置き去りにした」という不満が噴出しかねない。貧しい内陸部での大地震は、迅速な救援、復旧作業だけでなく、指導部がいかに国民本位の対策を取るかが問われている。

毎日新聞 2008年5月13日 11時00分(最終更新 5月13日 11時05分)

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