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iPS細胞、50種類あれば日本人の9割に適合

2008年05月12日

 京都大の山中伸弥教授らが開発した万能細胞(iPS細胞)を再生医療に使うには、あらかじめ50種類用意しておけば、日本人の9割が拒絶反応をほぼ心配せずに移植治療を受けられることがわかった。患者ごとに万能細胞をつくると時間とコストが膨大になると指摘されていたが、50種を供給できる「万能細胞バンク」を整備することで、スムーズな移植が期待できる。京都市であったiPS細胞の国際シンポジウムで12日、京都大再生医科学研究所長の中辻憲夫教授(発生生物学)が明らかにした。

 中辻教授と東京大の徳永勝士教授(人類遺伝学)らが、拒絶反応の強さにかかわる白血球の型(HLA)に着目して試算した。最も日本人に多い型の万能細胞をつくれば、19%の人が一致。上位の10種の型を合わせると半数以上に当たる58%で、ほぼ拒絶反応のない移植ができる。上位50種の組み合わせを合計すると、91%の日本人に対応できることになるという。

 中辻教授は、残り1割の人も、似通ったHLAの型の万能細胞を使えば、大きな拒絶反応は起きないと予想している。「たった50種の万能細胞でほとんどの人が恩恵を受ける。細胞バンクをつくることに意味がある」と話している。(木村俊介)

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