【お笑い峰打ちコラム】一発屋では終わらない？　エド・はるみの柔軟性

　人気絶頂のエド・はるみ（よしもとクリエイティブ・エージェンシー）。グゥー！が聞こえない日はないほど、各種メディアに引っ張りだこだ。同時期に人気の高まった芸人の中では、いまだ活躍しているにもかかわらず、すでに“一発屋”の称号を手にしている者も多い。エドもまた、一発屋としてはかなく消えてしまうのだろうか。

　芸人の一発屋は、一つのギャグが大流行し、それを使い倒して消えていくパターンがほとんど。変わった芸風自体が持てはやされ、ギャグの代わりとなるケースもある。とにかく、一つのことをやり倒してろうそくの炎が消えるようにフェードアウトしていくのだ。これは当然といえば当然の現象で、同じことばかりやられては視聴者だって飽きる。珍しかった物ほど飽きが早いのも特徴だ。

　エドはどうだろうか。持ちギャグ“グゥー！”が世間をにぎわせているが、同じことのくり返しには見えない。ネタの前フリ、ネタ自体のディテール、少しずつではあるがマイナーチェンジしている。　結局最後は“グーグーダンス”に行き着くわけだが、毎回同じルートをたどっていくのと、少しでも違う所からたどり着くのではまったく違う。新しいパターンを見せられた時の小さな驚きと、最終的にゴールが同じというお約束は、安心感の中にも新鮮味が感じられる。

　グーグーダンスも番組や放送時間帯によって細かい部分が違うので、そこに注意して見るとおもしろい。以前はスカートを脱ぐたびに引っかかっていたハイヒールをローヒールに変えたことも、ネタをもっとおもしろくしようという向上心の表れではないだろうか。エドは常に前を見ている。新ネタらしい新ネタはまだ出てきていないが、決してひとつ所に落ち着いてはいない。少しずつだが確実に変化しているエドは、カメレオンのごとく、視聴者が飽きる前にこっそりとその色を変えることも可能ではないか。

　また、エドは視聴者を不快にさせることがない。きちんとスーツを着こなし、美しい日本語で滑舌よくしゃべる様は、年配の方でも快く見ていられるのではないだろうか。これも長く出続けるための重要なポイントになるだろう。エドは舞台よりもテレビ向きの芸人だ。できる限り長く、私たち視聴者を楽しませて欲しい。

（編集部　三浦ヨーコ）

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