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ブロガー・プロフィール

中 寛之
中 寛之
アクセンチュアに勤務。先端技術グループ所属で、システムインフラのコンサルをメインに、業務領域まで幅広く見ています。

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2008/05/13

障害発生が「当たり前」という銀行システム統合、本当にそれでいいの?

ビジネス
 
社会
 

昨日、東京三菱UFJ銀行のシステム統合に絡む障害が発生し、セブン銀行(セブンイレブンのATM等) から東京三菱UFJ銀行への入出金、残高確認が一切行えなくなりました。

ITmediaの記事に拠れば、原因は「三菱東京UFJ銀行とセブン銀行の間でデータの受け渡しがカタカナではなく漢字であった」 からだそうです。

 

 

この件に関するmixiや世の中のブログを見回してみると、多くの人が「銀行のシステム統合だから仕方ないよね」 という論調で語っているように思えました。しかし、それって本当に正常な感覚なのでしょうか?

重要な社会インフラを担うシステムというのは、たった数秒の停止でも大変な影響を社会に及ぼします。 ATMというのもまさにその一つであり、今回、朝9時から11時55分頃まで復旧できなかったために、2万件以上の取引(預金・引き出し・ 自動振替等)が成立しなかったことが明らかになっています。

これが鉄道の管制システムであれば、たった数分間システムが止まっただけで、 衝突によって多くの人命を失うという事態も十分起こり得えます。これはあってはならないことであり、だからこそ、 些細なミスも見逃さないような鉄道各社は手厚い体制を敷いているのです。

これはIT業界にも十分当てはまることだと思います。ここ数年、 コスト削減の名の下にあらゆるIT投資の贅肉が削られて様々な問題を誘発しているように私は感じています。万全の体制というのは、 全体最適の観点からすれば、どうしてもムダがあるように見えてしまうわけですが、実はそのムダな部分が安全・ 安定というものを支えている存在なのではないでしょうか。


あなたの目の前に、幅10メートルで両端がガケになっている一本道があるとします。あなたの幅は0.5メートルもありませんから、 きっと全力で走り抜けることができるでしょう。

しかし、その道幅を体の幅と同じ0.5メートルまで狭めたらどうなりますか? 全力で走った場合、 ちょっとバランスを崩しただけでガケに転落してしまうかもしれません。

今回の三菱東京UFJ銀行のシステム統合は、最盛期の開発要員6000人、開発工数11万人月、 投資額2500億円にも及ぶ壮大なプロジェクトでした。それこそ、みずほ銀行の前例を反面教師として、 絶対に失敗できない状況にあったものと推察します。

しかし、最も容易な部類に入る今回の(旧)東京三菱系→(新)東京三菱UFJへのシステム統合で、 電文文字列の内容が異なっていたという基本的な見落としが発覚した今となっては、そもそものテスト品質の甘さを追及されてもムリからぬこと。 テスト肯定のスペシャリストが全てレビューしていたらなら、多分今回の障害は未然に防げた、もしくは短時間で解決できたと思います。

オルタナブロガーの谷さんが「テストが甘いのよ」 で指摘している、「不具合は絶対にある、という感覚でテストをすること」という姿勢で臨む人材を揃えることは本当に重要なことです。ただし、 そういった人材をテスト工程で大量に投入してしまうとコストもかかるし、リソースが限られているなら開発部分が手薄になる可能性もあります。

プロジェクトメンバーのスキル偏差が気になった事件でした。

NAKA

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コメント

f
2008/05/13 10:15

>これが鉄道の管制システムであれば

と書かれていますが、銀行システムの障害で「多くの人命を失うという事態も十分起こり得えます」のでしょうか?
こちらの記事などを読んで、再考されてはいかがでしょうか。
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20071018/284916/

a
2008/05/13 10:42

銀行のシステム障害で、何百人かは死ぬ恐れはあるでしょう。期限までに入金できなければえらいことです。銀行のせいだと相手が分かればいいですが、そうでない方もいるでしょう。自殺や脅迫、窃盗も発生する可能性が無いとはいえませんね。
ちなみに鉄道の場合は障害が発生すれば止まりますから人命は失わないことがほとんどでしょう。

とおりすがり
2008/05/13 10:45

自動車のエアバッグだとコンマ何秒で人命に関わる。
電車のATSだと路線により大きく異なり、数秒~数分。時には数時間でも人命には影響しない。
銀行システムだと人命に関わることはほとんどない。ただし企業経営においては「不渡り=>倒産」という可能性もなくはないので、やはりトラブルはない方が良い。
個人レベルだと前もって必要な金を引き出しておくか、他の銀行カードやクレジットカードで凌げば良いのでさしたる問題はない。

とおりすがり
2008/05/13 11:35

「テスト肯定のスペシャリスト」?

blogじゃ誤字脱字あっても仕方がないよね

ケン
2008/05/13 12:33

欧米等の事例とかでは、今回の案件レベルでの事故や対応はどないないんでしょうか?
コンサルタントの豊富な経験をお持ちの方は詳しいかと思うのですが、今後のために例でも教えていただければ助かります。

[追伸]
日本のPJ管理技術の未熟さとか、開発要員の劣化とかが問題なのか、はたまはままあることなのか…
それとも投資額を倍にすれば、単純に解決するのか…

一言
2008/05/13 13:06

私はUFJのシステム開発に携わったことがありますが夜間動くプログラムだけで4千近くあります。
この時点で鉄道と比較するのはどうかと・・・
日中動いているプログラムもは上記以上あると思いますがそれらのプログラムをすべて把握するのは不可能に近いと思います。
ましてや開発要員6千人といってもその多くは常駐者ではないでしょうし、システム全体を把握しているのはほんの一部の人でしかないはずです。
私の時の場合は移行完了後に作業員がATMまで走って本番事前テストなども行いました。
今回の場合だと、本番稼動しているので
移行最終段階でバグが発生したと考えれると思いますが最終段階まで行っていると、ロールバックするよりプログラムを修正したほうが早いと考えたのでしょう
一言で信販といっても残高照会から入金・振込み・ショッピング・クレジット・ETCカード・他銀行との連携など多くの業務があるかと思います。

追加
2008/05/13 13:34

>カタカナではなく漢字だった
個人情報保護法で見れなかったんでしょう

反論
2008/05/13 13:43

「2万件以上の取引が成立しなかった」と書かれているが、発生条件から考えて限定的と言えるだろう。
(詳報によれば、セブン銀行ATMで取引をした、未記帳が10件を超えている口座が発生対象)
むしろ、当該時間帯の総取引件数を取材した上で、割合として何%と提示するべき。

鉄道の管制システム(恐らくATOSとかCTCとかのことを言ってるのでしょうが)と
比べていますが、それこそ「それって本当に正常な比較なのでしょうか?」

コメント欄の下部には「オルタナティブ・ブログは、専門スタッフにより、企画・構成されています。」
という注釈が書かれていますが、専門スタッフが聞いてあきれますよ。

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