急激な高齢化による医療費の過大な伸びを抑制するため、和歌山県は「医療費適正化計画」を策定した。国の基本方針を踏まえ、生活習慣病予防と療養病床の再編成を柱とする。5年間の計画で、目標通り平均在院日数を短縮すれば、2012年度には医療費89億円の削減効果があると見込んでいる。 県の高齢化率は1975年に10・4%だったのが、05年の国勢調査では24・1%と増加。全国平均(20%)を上回っている。国立社会保障・人口問題研究所の推計では35年には全国2位の38・6%に達するという。 県の1人当たりの老人医療費は80・8万円(05年度)で全国平均(82・1万円)を下回っているが、入院、入院外日数は上回っている。人口10万人当たりの主な生活習慣病(がん、糖尿病など)の死亡率も全国平均を上回っている。 県の05年度の基本健康診断受診率は34・1%で、過去3年で3・5ポイント低下。全国平均を約10ポイント下回っている。 計画では12年度にメタボリックシンドロームに着目した特定健康診断の実施率を70%以上、診断で特定保健指導が必要と判定された対象者の指導実施率を45%以上にすることなどの目標を掲げている。 生活習慣病対策は発生率の引き下げが期待できるが、現在の患者が減少するわけでなく、医療費に効果が出るには一定の時間がかかる。目標達成の鍵になるのは平均在院日数の短縮となる。 県の06年の平均在院日数(介護保険適用の療養病床を除く)は34・2日で、全国平均より2日、最短の長野県より9・2日長い。入院者が比較的多く、いったん入院すると長期化する傾向がある。計画では3・1日短縮し、12年度時点で31・1日を目標にしている。 対策の一つが療養病床の再編成。医療の必要性の低い人には介護施設などによる適切な介護サービスを提供することで、長期入院を見直し、医療費の伸びを抑制する。 計画では医療療養病床2026床、介護療養病床867床(06年10月現在)の計2893床を、12年度末までに医療療養病床1551床にすることが目標。残りの1342床分を円滑に介護保険施設などに転換する方策で在宅医療・在宅ケアの早期充実、病院連携を課題に挙げている。